不動産投資で「物件の良し悪し」を見分けるポイントは?

スルガ銀行、レオパレス21……。名だたる企業が今ニュースに登場し、惨憺たる不動産業界の現状が露呈しています。しかし、これらは公表されていなかった「不動産業界の闇」の氷山の一角に過ぎません。本連載では、全ての不動産投資家がこれらを対岸の火事として受け止めず、自らが融資地獄への一途を辿らぬよう、事件の発端を振り返りながら、万が一の際の救済方法を伝授します。※本連載は『融資地獄「かぼちゃの馬車事件」に学ぶ不動産投資ローンの罠と救済策 』(幻冬舎MC)の内容を一部抜粋・改編したものです。

「満室想定」ベースの表面利回りはアテにならない

今回のテーマは、物件の良し悪しを決める条件です。収益性を見るためにはどこを見るか、損をしないために注意するところはどこか。そのような視点から物件購入時の条件や契約について考えてみます。

 

まずは物件の購入を検討するときにどこを見るか、です。「満室賃料」という言葉があります。これは、文字通り満室だった時にいくらの売り上げになるかを表すものなのですが、実はほとんど参考になりません。なぜなら、物件の資料には「満室想定賃料」と書かれているケースがほとんどで、不動産会社が独自に「想定」しているものに過ぎず、きちんとした根拠がないからです。

 

そもそも満室になるかどうかわかりません。家賃が「想定」の金額になるかどうかもわかりません。不動産業者のなかには、半年間の満室保証を売りにして販売している業者もありますが、想定した家賃で入居が付かない場合もありますし、そもそも半年過ぎたあとのことはわかりません。

 

つまり、満室想定をベースとする表面利回りはまったくアテにならなくなるのです。

 

複数の物件を持つ場合、家賃が数千円安くなるだけでも収益へのダメージは大きくなります。「満室想定賃料」をどのように計算し、どれくらい現実的な数字なのか疑う必要があります。

「サブリース契約」はどこに問題があるのか?

収益を得るための仕組みとして、損しやすいのはサブリース契約です。

 

サブリースの問題点についてはすでに周知されるようになりましたが、重要なのは、サブリース契約が、そもそもオーナーにとって不利な契約であるということです。

 

例えば、オーナーから見ると、契約したサブリース賃料で長期で借りてくれるのが魅力です。しかし、契約そのものが「30年一括借り上げ」といった長期のものでも、賃料に関しては、たいてい「2年ごとに家賃を見直す」といった内容が契約書に記されています。

 

サブリース会社としては賃料減額の交渉をするのが当たり前で、大手と呼ばれる会社の中には、交渉によって減額した賃料を社員の成績に反映していることもあるのです。減額交渉に反対すれば、サブリース契約を解除しますと言われるでしょう。サブリース会社は、オーナーが長期で安定的に家賃収入が得られることに大きなメリットを感じているとわかっています。わかっているからこそ、それを盾にして減額交渉に臨んでくるのです。

 

仮に減額に応じなかったとしても、物件の魅力がなければ空室になります。減額すれば収益が減り、減額しなくても収益が減るのがサブリース賃料の更新で、どちらに転んでもオーナーには不利になるのです。

 

また、サブリース会社は契約を解除しますと言えますが、オーナーからサブリース契約を解除するのは至難の業です。なぜなら、サブリース会社は借地借家法で守られている入居者側の立場にあるからです。この関係性があるため、オーナーの立場は弱くなりやすく、物件を売却したい時などにも自由度が制限されます。

狭いけれど安い…物件の魅力を上げるには?

サブリース契約が流行った背景の1つは、オーナーが空室リスクを抑えたいと思うからです。

 

では、なぜ空室になるのでしょうか。主な理由は、物件の魅力(商品力)が弱いことです。

 

例えば、駅から遠い、部屋が狭い、近くに似た物件がたくさんある、設備が古い、間取りが悪い、住民の質が悪いといった問題は商品力に関わることです。自分の物件が現状として空き家になっている場合、その原因もおそらく上記の理由の中にあるはずです。

 

まずは原因を突き止め、解決できるかどうか考えてみましょう。解決できるのであれば、どんな手段があり、どれくらいの費用がかかるかを考えます。

 

実は、商品力に関わる要素は自力では変えられないものがたくさんあります。前述した条件の場合、駅から遠い、部屋が狭いといった条件は変えられませんし、近くに似た物件がある環境も変えられません。

 

このような場合、空室を埋めるには家賃を下げるしかありません。駅近の物件より安くてお得、狭いけれど安いといった価格面での強みを作って、他の物件と競争するということです。

 

一方、設備が古い、間取りが悪いといった原因はリフォームや設備交換などによって解決できます。物件への投資費用はかかりますが、長い目で見れば家賃を下げるより収益の安定化につながることが多いため、商品力を高めて入居に結びつける方法を考えてみると良いと思います。

 

入居者の問題については法的な手続きが必要になる場合があり、非常に難易度が高い問題といえます。このリスクを避けるために、入居者を審査したり、すでに入居者がいる中古物件の場合は購入時するときに慎重に検討することが重要です。

ダメな収益物件を買ってしまう人の特徴

家賃設定については、相場内で競争力を保てる価格にすることと、急な修繕に対応するためのキャッシュをプールできるようにしておくことが重要です。

 

物件は経年劣化しますので、定期的に大きな修繕費がかかります。また、経年劣化とは別に、電気・ガス・水道などインフラ周りが故障したり、雨漏りや水漏れが発生することもありますし、複数の物件を持っている場合、何戸かの入居者が同時期に退去することにより、まとまった額の原状回復工事の費用がかかります。

 

このような出費に対応するために、家賃設定は相場を踏まえつつ、同時に、月々の家賃収入で修繕費を貯めていけるようにしておくことが重要です。

 

物件は、不動産投資で収益を手に入れるための稼ぐマシーンです。優秀なマシーンほど多くの収益を生みますから、マシーンの条件を吟味するのは投資家として当たり前のことです。ところが、実際には条件を細かく見ずに購入してしまう人がいます。

 

そのような人たちには、以下のような特徴があります。

 

・物件を直接見ずに買ってしまう

・「サブリースだから」という理由で安心し、賃料相場を調べない

・赤字になりやすい新築区分物件を買ってしまう

・複数の不動産会社に相談しない

・特定の不動産会社やコンサルタントの言うことを鵜呑みにする

・不動産投資に興味がなく、1カ月程度の短期間で購入を決めている

 

どれか1つでも当てはまる人は、いま一度、買おうかどうか検討している物件を細かく調べましょう。見る、聞く、調べるといった手間がかかる作業を避けたり、「良さそうだから買う」「勧められたから買う」といった理由で安易に買った人のなかに、うまくいった人はいないのです。

一般社団法人首都圏小規模住宅協会 代表理事

1983年、東京都生まれ、埼玉県出身。大学卒業後、不動産投資会社勤務を経て、2012年に独立し起業。2018年1月には業界の健全化を図る目的で、一般社団法人首都圏小規模住宅協会を発足。代表理事に就任。『「融資地獄」行き予防サロン』を設置して投資家の無料相談を受け付けるなど、あくまで公平・中立な立場から各方面に提言を行い、業界の健全化にむけて活動している。主な著書に『不動産会社が書けない「有名大家」の裏話』(幻冬舎メディアコンサルティング)がある。

■一般社団法人首都圏小規模住宅協会運営サイト「不動産投資塾
 (https://ft-school.com/

著者紹介

連載融資地獄「かぼちゃの馬車事件」に学ぶ不動産投資ローンの罠と救済策

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