大手広告代理店マンも騙された…不動産投資の「数字トリック」

「節税」や「不労所得」を謳い文句に、多くの不動産営業マンが、サラリーマンにマンション購入を促しています。しかし、不安を煽られ、言われるがまま物件を購入した結果、利益どころか赤字になってしまう例が後を絶ちません。そこで本記事では、収益不動産を通じ、購入から運用・売却まで一貫した資産形成をサポートしている大和財託株式会社の代表・藤原正明氏が、実際にあった不動産投資の失敗例を解説します。

失敗例:利回りの良いアパートを購入したつもりが…

Cさん 32歳 会社員(広告代理店勤務) 既婚(奥様) 兵庫県在住

 

Cさんは大手広告代理店に勤務するサラリーマンです。昨年結婚したのを機会に、将来のお金のことをいろいろ考えるようになりました。20代のときは、株式投資やFXをちょっとかじったものの、儲かるときもあれば大きく負けこむこともあって、仕事に集中できないこともあり、他の投資方法を検討していました。

 

Cさんは経済雑誌を定期購読しており、その経済雑誌の記事に不動産投資特集が組まれていました。Cさんはそこで不動産投資であれば時間を取られることなく運用できるのではと思うようになりました。インターネットやブログ、不動産投資関連本などで情報収集しましたが、中古は利回りは良いが修繕費用がかかるので、最終的には新築が良い、とCさんは思うようになりました。

 

その後、広告が多く出ていた大手アパートビルダー会社のセミナーを受講し、物件を提案されたので購入することにしました。物件は大阪府内の単身者向けの6戸の木造アパートでした。

 

収益物件ポータルサイトでは中古物件の利回りは8%台が多く掲載されているのと比べ、この新築アパートは利回り7.5%と会社が作成した物件資料に記載があったので、かなり良い投資ができると思っていました。

 

融資もこの会社からの紹介で金利2.5%前後、期間30年のフルローンを組むことができました。実際物件が完成し賃貸経営がスタートし、入居者募集に少し時間がかかりましたが、何とか半年かけて満室になりました。しかし、当初思っていたより手残りが少ないと感じました。物件価格と購入諸費用合わせて8,000万円程度に対し、年間の手残りが100万円に満たない状態です(所得税・住民税控除前)。

 

その後、Cさんはご自身でも書籍やセミナーで情報収集をしたり、大家の会へ参加をしたりなど、勉強を続けていました。そこで分かったことは、利回りの正しい計算方法です。表面利回りに意味がないこと、そして不動産会社・建築会社が提示する表面利回りには数字のトリックが組み込まれているケースがある現実を知りました。

 

具体的には、Cさんご自身の新築物件の実質の利回りは7.5%などではなく、4%台後半であることが判明しました。表面利回りとして見た場合でも、数字のトリックに騙されたことに気が付きました。Cさんは見かけ上の利回りに騙されたと後悔していますが、前向きにとらえ次の物件購入に向けて動き出しています。

 

「不労所得」という甘い罠
「不労所得」という甘い罠

失敗例:地方激戦区の物件を購入

Dさん 45歳 会社員(製薬会社勤務) 既婚(奥様、お子様1人) 神奈川県在住

 

Dさんは3年前から不動産投資に興味を持ち、書籍やインターネットで情報を集めていました。自分なりの尺度を持ってポータルサイトで物件を探していましたが、購入までの決め手に欠け、ただパソコンの画面を眺める日々を送っていました。そんなとき、東京都内の不動産業者が不動産投資初心者向けにセミナーを開催するということを知り、参加することにしたそうです。

 

セミナー後には個別相談があり、Dさんはその不動産業者が売主であるという、札幌市内の築25年RC(鉄筋コンクリート)造物件の紹介を受けました。表面利回りは9%程度と、首都圏の相場では考えられないほどの好条件です。

 

融資はアパートローンで有名な地方銀行を利用するとのことでした。地方への投資は多少躊躇しましたが、昨今、首都圏の収益物件の価格は上昇傾向にあり、Dさんにとっては、融資を受けての物件購入は厳しいというのが現状でした。結局、悩んだ末にその物件をフルローンで購入することにしたそうです。

 

購入後の管理は、販売した不動産業者の紹介で、地元の管理会社が担当することになりました。購入時に空室があったため管理会社に募集を依頼しましたが、なかなか入居者が集まりません。

 

管理会社からは、家賃を下げるとともに、広告料(入居成約時に仲介業者に支払う謝礼金)を現在の3カ月ではなく4カ月負担してほしいとの提案がありました。募集開始から6カ月後にようやく1室が埋まりましたが、購入時のレントロール想定賃料からは、10%以上安い金額となりました。

 

今後、すべての住戸が今の賃料でしか入居しないとなると、物件全体の家賃は15%以上下がることになり、満室表面利回りは7.5%前後になってしまいます。この状態になると、満室であってもほぼ手残りがない状態となり、少しの空室でローンの返済ができなくなる可能性があります。

 

そのうえ、想定以上にコストもかさむことが判明しました。まず固定資産税・都市計画税で、家賃収入1カ月分がなくなります。そして、北海道という地域柄、除雪費用が発生することが分かりました。当初、売主の業者からは、おおまかな費用しか聞いておらず、当初の想定収支を大きく下回る結果となったのです。

 

現在、Dさんは物件を保有して1年足らずですが、すでに売却に向け活動をしています。しかし、買い手が見つからない状況が続いています。

情報が氾濫し何が正しいのか分からない現状がある

前述の失敗例には注意すべき点がいくつもあります。これから不動産投資に挑戦しようとしている人にとっては、何がいけなかったのか分からない部分もあるかと思いますが、共通していえることは「初期設定の誤り」という点に尽きます。大雑把に言えば、Cさん、Dさんは利回りの理解の誤り、がありました。

 

現在は、昨今の不動産投資ブームを受け、書籍や雑誌など、さまざまな形で不動産投資のノウハウが世の中に溢れかえっています。

 

不動産投資の成功者?なる一般の方が書いた成功体験本、不動産業者が販売したい物件のメリットを書き並べた不動産投資本など枚挙にいとまがありません。さらに、インターネットなどで得られる情報には、発信者側(広告であることが多い)のバイアスがかかった偏った情報や、そもそも内容自体が誤りであるものも多く、情報を鵜呑みにしてしまった初心者が失敗してしまうのです。

 

資産運用の有効な手段として不動産投資が注目を集めている今だからこそ、不動産投資を検討されている方は、玉石混交の情報の中から、冷静に正しい情報を選択したうえで、物件を購入・運営できる力が求められます。

大和財託株式会社 代表

昭和55年生まれ。三井不動産レジデンシャル株式会社を経て、収益不動産に特化した事業を展開する武蔵コーポレーション株式会社で収益不動産の売買仲介および賃貸管理業務についての実務経験を積む。
平成25年に独立して大阪市内に大和財託株式会社を設立。
収益不動産を通じて、購入から運用・売却まで一貫した資産形成をサポートしている。
特に、物件情報をすべて数値化し、資金調達、物件購入、管理運用から売却までを視野に入れた収支シミュレーションに定評がある。
管理物件の平均入居率は98パーセントを誇る。

著者紹介

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