頭を抱えるサラリーマン大家が続出…「不動産投資」に潜むワナ

スルガ銀行、レオパレス21……。名だたる企業が今ニュースに登場し、惨憺たる不動産業界の現状が露呈しています。しかし、これらは公表されていなかった「不動産業界の闇」の氷山の一角に過ぎません。本連載では、全ての不動産投資家がこれらを対岸の火事として受け止めず、自らが融資地獄への一途を辿らぬよう、事件の発端を振り返りながら、万が一の際の救済方法を伝授します。※本連載は『融資地獄「かぼちゃの馬車事件」に学ぶ不動産投資ローンの罠と救済策 』(幻冬舎MC)の内容を一部抜粋・改編したものです。

その物件は「なぜ売りに出されたか?」を考えてみる

「かぼちゃの馬車事件」は、不動産投資の代表的な失敗例です。しかし、不動産投資の失敗は新築シェアハウスを買ってしまった人「だけ」ではありません。

 

そもそも不動産投資における失敗とは何を指すのでしょうか。答えは簡単です。収益力が乏しい物件を買ってしまうことです。

 

どんなに豪華な物件でも、収益力がなければ価値はありません。不動産投資において物件は「稼ぐためのマシーン」ですから、儲かる物件を「富動産」とするなら、損する物件は「負動産」なのです。

 

今回は、買った時点で負けが決まる典型的な「負動産」を紹介しましょう。

 

まずは地方や郊外にある中古の木造アパートです。

 

このタイプの物件は安価で高利回りのイメージを持つ人が多いのですが、実際は「想定していた利益が出ない」と頭を抱えるサラリーマン大家を数多く生み出しています。

 

なぜ利益が出ないかというと、家賃の滞納や未払いが起きやすいからです。これは物件の条件から考えれば自然なことで、安く住める物件には属性が低めの人が集まります。家賃を滞納したり払わなかったりして、夜逃げするような「不良入居者」の割合も増えやすくなり、結果として想定した利回りに届かなくなります。いくら計算上で高利回りでも、家賃が取れなければなんの意味もないのです。

 

また、築古のアパートは融資付けが難しいというデメリットもあります。2〜3年前までは政府系の金融機関である日本政策金融公庫が融資を出していましたが、最近は出づらくなりました。ノンバンクからは融資が出るでしょうが、政府系金融機関や一般の銀行などに比べて金利が高くなり、これも収益を圧迫する原因になります。

 

失敗を避けるのであれば、そもそもの話として「高利回りの物件が安価で買える」という点に疑問を持たなければなりません。

 

なぜ前のオーナーはこの物件を手放すのでしょうか。収益力がある物件なら手放す必要はありません。むしろずっと手元に置いておきたいはずです。

 

しかし、オーナーは安価で売却しようと判断しました。つまり、その背景には、物件そのものが持つリスクやトラブルの火種があるということなのです。

「新築」は一度でも退去があるとキツくなる

新築アパートはどうでしょうか。

 

前述した郊外の高利回りアパートに比べると、新築アパートは千葉、埼玉、神奈川県など東京に近いエリアに多く、建物も設備も新品のため、入居者がつきやすいというメリットがあります。オーナーとしても、新築であれば10年程度は修繕の必要がありません。融資を組む場合も、木造アパートの法定耐用年数が22年であるのに対し、新築であれば30年の長期間融資が組めることもあります。

 

ただし、注意しなければならない点もあります。例えば、地主が多いエリアや、相続対策で新築アパートが多く建てられているエリアは、貸し手と借り手の需要と共有のバランスが崩れていますので、投資用アパートを建てても高確率で空室になります。狭小ワンルーム仕様の物件は集客力がありませんし、エリアとしては都市部に近かったとしても、駅から遠かったり、坂の上に建っていたりするような物件もたくさんあります。

 

このような物件は、建てたときこそ「新築」という条件で借り手がつきますが、二巡目からの客付けに苦労します。新築という看板がなくなることにより、駅からのアクセスなどが悪い物件が空室になるのは当然で、家賃を下げて利回りを落とすか、借り手がつくまで自腹を切るか、どちらかを選ばざるを得ない状況になるのです。

大型物件になるほど修繕費やメンテナンス費用が…

スルガ銀行の件が明るみに出るまでは地方の大型物件が人気でした。普通のサラリーマンにも数億円規模の融資が下りたため、少ない自己資金で一棟もののアパートやマンション物件が買えたのです。

 

実はそのころ、地方のRC造マンションでも「かぼちゃの馬車」と似たようなスキームが使われていました。融資が出ますし、物件もありますし、投資熱の高いサラリーマンも多かったため、「銀行から評価が出る物件」がたくさん市場に流通するようになったのです。

 

買い手となるサラリーマンは、そのような物件を「良い物件」と勘違いします。実際には空室が多いマンションもあるのですが、家賃を高くして融資額を増やすやり方をしているため、建物の状態が良く、入居率も良く、利回りも良い物件だと思ってしまうのです。

 

そのような物件で稼ぐためには、まず入居者を確保するために家賃を下げなければなりませんし、広告を出す費用もかかります。また、大型物件になるほど戸数が増え、修繕費やメンテナンス費用もかさみます。結果、表面利回りには届かず、なおかつ銀行から目一杯融資を受けているため、返済額が膨らみ、キャッシュフローが出ない状態になるのです。

赤字を埋めるため、毎月何万円もの持ち出しが発生!?

数ある「負動産」のなかで、最も負ける確率が高いのが区分マンションです。

 

投資はお金を増やすためにやるものですし、物件は稼ぐマシーンなのですから、お金を減らす赤字物件は避けなければなりません。しかし、そういう物件を買ってしまう人はあとを絶ちません。サラリーマン大家になりたてで、不動産投資の知識や経験がない人がその典型的なタイプで、年金代わりになる、保険の代わりになるといった営業文句に乗っかってしまうのです。

 

現状でも、都心の新築区分マンションは活発に取引されています。また、その背景には同業者の間で友達や知り合いを紹介する提携ローンという闇の世界があり、区分マンションをいくつか買えてしまうくらい大きな融資を受けられることもあります。

 

赤字の区分マンションをいくつも買ってしまったら、結果は火を見るよりも明らかです。赤字を埋めるために毎月何万円もの持ち出しが発生し、生活が苦しくなります。過去にその状態に陥ったサラリーマン大家のなかには、収支改善の方法として新築のシェアハウス購入を勧められ、さらにどつぼにはまった人もいました。

 

ここで挙げた例からもわかるように、不動産投資の失敗は「かぼちゃの馬車事件」のようなずさんな融資だけが原因ではありません。落とし穴はいたるところにあります。まずは投資や業界について勉強し、負動産をしっかり避けることが大事なのです。

一般社団法人首都圏小規模住宅協会 代表理事

1983年、東京都生まれ、埼玉県出身。大学卒業後、不動産投資会社勤務を経て、2012年に独立し起業。2018年1月には業界の健全化を図る目的で、一般社団法人首都圏小規模住宅協会を発足。代表理事に就任。『「融資地獄」行き予防サロン』を設置して投資家の無料相談を受け付けるなど、あくまで公平・中立な立場から各方面に提言を行い、業界の健全化にむけて活動している。主な著書に『不動産会社が書けない「有名大家」の裏話』(幻冬舎メディアコンサルティング)がある。

■一般社団法人首都圏小規模住宅協会運営サイト「不動産投資塾
 (https://ft-school.com/

著者紹介

連載融資地獄「かぼちゃの馬車事件」に学ぶ不動産投資ローンの罠と救済策

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