
子どもは本来、学ぶことが大好きです。好奇心旺盛な幼児期に、適切な教育を受けさせることが重要となります。本連載では、25年前から幼児教育に取り組んでいる株式会社コペル・代表取締役の大坪信之氏が、子どもに「学ぶことの楽しさ」を教える方法を解説します。本記事では、幼児期における「徳育」の重要性について見ていきます。
「徳育」の重要性に注目が集まる昨今
昨今、社会環境が変化するなかで、常識では考えられないような痛ましい事件が、相次いで起こっています。その要因の一つに、道徳性や規範意識の欠如という問題があります。
こうした社会的背景を踏まえて、「やさしい思いやりの心」や「世のため人のために役立つ」などの、豊かな心や人間性を養う「徳育」の重要性が指摘されています。一人ひとりがお互いに思いやりの心をもち、助け合えるような人間関係を築くためには、何より幼児期の徳育が必要なのです。

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学問のすすめで知られる福澤諭吉は、明治4年に2人の息子(6歳・4歳)に対して、一日ごとに書き与えた家庭でのしつけや徳育に関する教訓集「ひびのおしえ」を著しました。 その中に書かれている守るべき決まりである「おさだめ」を紹介します。
一、うそをつくべからず。
一、ものをひろうべからず。
一、父母にきかずしてものをもらうべからず。
一、強情をはるべからず。
一、兄弟けんか、かたく無用。
一、人のうわさ、かたく無用。
一、ひとのものをうらやむべからず。
新渡戸稲造の武士道も「八つの徳」という道徳観を持っていました。
●「仁」=思いやり/友達にやさしくしましょう
●「義」=正義/嘘をついたり悪いことをしてはいけません
●「礼」=礼儀/挨拶をきちんとしましょう
●「智」=叡智/困っている人には親切にしましょう
●「信」=信頼/自分がされていやなことは人にしてはいけません
●「忠」=いつわりのない心/嘘をついたり悪いことをしてはいけません
●「孝」=親兄弟を大事にする/家族を大切にしましょう
●「悌」=年長者に敬意を払う/目上の人にはきちんとした言葉を遣いましょう
戦前の教育では「徳育」を重要視
戦前は、教育の柱として、徳育(=人格教育)が非常に重視されました。明治時代の小学校は、授業時間の3分の1を、徳育の時間に割り当てていたそうです。そして、人格的に優れた人物の生き方を、子どもたちは学んでいました。
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ところが、戦後すぐに、徳育が重視されなくなり、知育偏重に変わりました。歴史についても、暗記教育にすり替えられてしまったのです。そして、勤勉、節約、孝養、信義、勇気などのモデルとなる人物の生き方について、時間をかけて教えられることがなくなったのです。
基本的人格は、幼児期に形成され、大人になっても8割方は変わらないそうです。教育は、知育だけでは十分ではありません。徳育を大切にしましょう。
大坪 信之
株式会社コペル 代表取締役