ものごとを複数の視点から考える「サイコロ思考」
人間は皆、自分特有の”脳のくせ”を持っています。
例えば、あることに対していつもすごく腹が立つとしたら、その「あること」に対して1つの「ものの見方」しかしていない可能性があります。私たちは、1つのできごとに対して、自分特有のワンパターンな「ものの見方」「考え方」をしてしまいがちなわけですが、実は、いろいろな「ものの見方」「考え方」があるはずなのです。
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さて、ここでサイコロを想像してください。サイコロには、6つの面がありますね。1つのできごとに対して、6つ以上の「ものの見方」で考えてみることを「サイコロ思考」といいます。
そうすると、自分特有の”脳のくせ”であるワンパターンな思考の枠が外れて、柔軟な考え方ができるようになります。何か問題を感じたときは、とにかく思いつくままに、その他の5通りの考え方を書き出してみてください。ものの見方を変えると、できごとのすばらしい点が見つかるかもしれません。
5つの考え方のなかには、「役に立たないもの」や「非現実的なもの」「ナンセンスなもの」があってもOKです。いろいろ挙げてみたなかで、1つでも役に立つ考え方が見つかれば大成功です。
子どもが不登校に…そんなときの「サイコロ思考」は?
1つ例を紹介します。子どもが不登校になってしまい、悩んでいるお母さんのケースです。その人は、次のように考えてしまいました。
「学校に行けないことは致命的なことだ。あの子は落伍者になったのだ。お先真っ暗だ」
確かに「不登校になることの素晴らしい点など見つからない」と思ってしまうでしょう。他に、どんな考え方ができるでしょうか?
●これは、子育てのやり方を振り返るよい機会だ。今のうちに気づいて軌道修正できるほうがいい。
●うちの子は意思表示ができる子なんだ。
●私のことを親として信頼してくれているから、「学校へ行きたくない」と本音をいってくれるんだ。この機会に、親子の信頼関係をさらに深めていこう。
●感受性が豊かな証拠なのかもしれないな。これは、あの子の持ち味かもしれない。
●夫婦間のコミュニケーションをしっかり取ろう。これは、家族が家族らしくなっていくチャンスかもしれない。
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他にもいろいろな考え方ができそうですね。また、役に立つ考え方が見つからない場合でも、いつもの自分の“脳のくせ”を超えた、新たな全脳を活用した考え方を探そうとすること自体に、思考を柔軟にする全脳トレーニング効果があるのです。
悩んでいることや、引っかかっていること、執着していることなどがあったら、ぜひお子さんと一緒にサイコロ思考の全脳トレーニングを試してみてください。
大坪 信之
株式会社コペル 代表取締役