子どもは本来、学ぶことが大好きです。好奇心旺盛な幼児期に、適切な教育を受けさせることが重要となります。本連載では、25年前から幼児教育に取り組んでいる株式会社コペル・代表取締役の大坪信之氏が、子どもに「学ぶことの楽しさ」を教える方法を解説します。本記事では、睡眠時間と学力の関係について見ていきます。

子どもの成長を加速させる「ノンレム睡眠」

子どもの脳は、眠っている間も成長していることをご存じですか?

 

まずは、睡眠の質の違いについてお話ししましょう。睡眠は、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」に分けることができます。眠りの状態が浅い睡眠を「レム睡眠」、眠りの状態が深い睡眠を「ノンレム睡眠」といいます。

 

この、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の繰り返しの周期は、約90分であると言われています。特に重要なのは、深い睡眠である「ノンレム睡眠」であり、この「ノンレム睡眠」をしっかり取るためには、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の繰り返しの周期をしっかり行うべきとされています。

 

まず、眠りに入って最初の3時間の間に、その一晩の眠りのなかで、最も深い眠りが含まれているそうです。この最初の熟睡の3時間が、大脳の回復の時間であり、成長ホルモンが多く分泌される時間です。この最初の3時間が、子どもの成長にとって、とくに大切な時間なのですね。

 

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「ノンレム睡眠」の間に多く分泌されている成長ホルモンですが、なんとこの成長ホルモンは夜の間に眠らないと分泌されないそうです。

 

睡眠は、子どもの成長に不可欠であるといえるでしょう。昼間に昼寝の時間を長くとりすぎたり、身体や頭を働かせずにだらだらと過ごしていると、睡眠の質も下がり、途切れがちになってしまいます。

 

子どもの脳は、眠っている間も成長している
子どもの脳は、眠っている間も成長している

 

「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」の繰り返しの周期をきちんと維持するためにも、早寝早起きを心がけ、日中はなるべく活動的になるようにしたいものですね。身体は眠って、脳は目覚めている「レム睡眠」の状態にあるとき、起きて活動している間に学んだ情報の整理整頓が行われるのです。

 

睡眠中の「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」の占める割合は、子どもと成人では異なっています。発達的には、子どものほうが大人よりも「レム睡眠」の占める割合が大きいといわれています。新生児や乳児の「レム睡眠」の割合はほぼ50%ですが、大人になると20~25%くらいになるというのです。

 

新生児や乳児は、生活するだけで大人よりも多くのことを日々学び続けています。日中に学習した脳から溢れんばかりのたくさんの情報を、「レム睡眠」の間に大脳の中で整理し定着させているのですね。

 

眠っている間にも、子どもの脳は成長しています。寝る子は育つは本当だったんですね! 子どもの睡眠の大切さを、もう一度見直してみましょう。

授業に集中できない、勉強しても成績が上がらない…

寝不足で疲れ果てているとき、何をしても集中できない、頭に入ってこない…あなたにもそんな経験はありませんか?

 

それは子どもも同じことです。授業に集中できない、時間をかけて勉強しても成績が上がらない…子どもの学習の様子に、このような心当たりがあるとしたら、その原因は睡眠時間にあるのかもしれません。

 

睡眠時間と学力の間には、非常に強い関係性があります。しかし、子どもたちの夜間睡眠時間は、小学生から高校生まで、30年前より一時間減っているという調査結果が報告されています。

 

乳幼児の睡眠時間はとても気になるものですが、子どもが学齢に達すると睡眠時間についての心配は徐々に小さくなってしまうものかもしれません。一度、子どもの睡眠時間の見直しを図ってみませんか?

 

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ペンシルヴァニア大学では、2週間にわたって睡眠時間を6時間に短縮する実験を行いました。2週間後、被験者たちに身体の調子を尋ねたところ、彼らは「万事快調だ」と答えました。しかし、一連の試験を行った結果、彼らの成績は24時間一睡もしていない人と同じくらいに低下していることがわかったのです。

 

睡眠時間と学力はこんなにも深く関係しているのですね。そして、この実験の恐ろしいところは被験者たちがほとんど自らの状態の変化に気づいていないことです。私たちが想像する以上に、睡眠時間は私たちに影響を及ぼしているということがわかります。

 

睡眠時間と学力の関係性は科学的にも次々と立証されているのです。睡眠は、動物にとって生物学的に必要不可欠なものです。ぜひ一度、十分な睡眠をとれているかお子さんと一緒に話し合ってみてください。

 

 

大坪 信之

株式会社コペル 代表取締役

 

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    本連載は、株式会社コペルが運営するウェブサイト「コペル」の記事を転載・再編集したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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