このままでは消滅…減り続ける京都の「町家」を救うには?

本記事では、伝統的な京町家を宿泊施設して保存・再生する事業を数多く手がけてきた児玉舟氏の著書、『最強の京都「町家」投資』から一部を抜粋し、投資先としての京都「町家」の魅力と具体的な運営方法について解説します。今回は、「町家」の宿泊施設転用が京都にもたらすメリット等について見ていきます。

住み手のいなくなった「町家」をリノベーション

国内屈指のインバウンド需要が発生している京都ですが、前述のとおり宿泊施設はまったく足りていません。

 

まとまった土地が出にくい地域性や、景観保全のために設けられている規制が枷(かせ)となるため、宿泊施設を開発する余地が非常に小さいのです。逆にいえば、その特殊事情をクリアできる策があれば、取りこぼされている宿泊需要の多くを独り占めできる、ということでもあります。

 

そんな京都で新たに宿泊施設を供給する策として有効なのが、住み手のいなくなった「町家」をリノベーションし、「京まち宿」として運営するビジネスです。

 

現在、日本各地では空き家・空き地が大きな問題となっています。所有者や管理者が不明で都市開発が進まなかったり、老朽化によって近隣の生活への影響が出たりといったケースが多く見られ、各自治体は対応に追われています。

 

もちろん京都でも、空き家・空き地の問題は人ごとではありません。観光都市としての街並みの維持と、宿泊需要の増加に対する解決策として、市による空き家を活用したビジネスへの助成も始まっています。

京都の問題である「宿泊施設の不足」を解消するには?

町家は現在、京都市内中心部に約4万件あると確認されています。これに京都市の空き家率14%をかけると、単純計算で約5600件のストックが存在するということです。歴史を経た町家は現代の暮らし方には馴染まないため、さらに多くの空き家があると考えるのが自然です。

 

住み手がいなくなった町家は取り壊されるケースが増えています。2009年以降の7年間で、5600件もの町家が建て替えられたり取り壊されたりしてきました。これは1日当たり2.2件というハイペースであり、このままでは遠からず町家は消滅してしまいます。そうなれば、京都から歴史的な景観が失われ、観光都市としての価値は下がるでしょう。

 

とはいえ、この現状を嘆いてばかりいても仕方がありません。考え方を変えて「京都には利用されていない町家のストックが大量にあり、今後、不動産市場に出てくる」とプラスにとらえれば、新たなビジネスチャンスが見えてきます。

 

すなわち、町家が急速に失われる昨今は、宿泊施設に転用できるストックが大量放出される時代でもあるのです。放出される町家を宿泊施設化すれば、京都の大問題である「宿泊施設の不足」をハイペースで解消することができます。

京まち宿は「単なる宿泊施設」ではない

町家の宿泊施設転用が京都にもたらすメリットは、単に宿泊施設数の増加だけにとどまりません。京都の歴史が刻まれた町家は、古き良き日本文化の象徴であり、そこに宿泊することは外国人観光客にとって特別な価値のある体験となります。

 

外国人観光客に京都観光の動機を尋ねたアンケート調査では、「宿泊」という回答は4.9%と少数にとどまりました。質、量ともに不足している京都の宿泊施設事情を反映している結果といえますが、その一方で、「京都の生活・京都人との交流」は23.0%にのぼっています(「京都観光総合調査2016年」より)。独特の歴史を誇る日本の古都で、伝統的な生活を体験してみたい外国人は非常に多いのです。

 

詳しくは次回以降説明しますが、王朝文化を継承してきた京都は、四季の彩り豊かな自然と日本独自の精神文化が熟成されてきた街です。京都に生きる人々の暮らしにはそうした文化が仏教各宗派や神道、茶道や華道といった芸道などとして息づいており、彼らが磨き上げてきた「住」のかたちが町家ともいえるのです。

 

ですから、京まち宿は単なる宿泊施設ではないのです。京都人、ひいては日本人の暮らしや文化を体感できる施設であり、「人々の生活や交流」を希望する外国人観光客にとって、満足感の高いサービスを提供できる施設でもあるのです。

 

実際に、京まち宿に宿泊した外国人旅行者からは、「日本の素晴らしい文化に対する理解が深まった」「自然と寄り添って暮らす日本人の哲学を感じた」といった声が多数寄せられています。

 

 

児玉 舟

株式会社レアル 代表取締役

株式会社レアル 代表取締役

1969年生まれ。建築・不動産会社に15年勤務した後、2013年京都にて株式 会社レアルを設立、代表取締役就任。少子高齢化の進行による空き家の増加に着目し、伝統的な京町家を宿泊施設として保存・再生する事業を手がける。建築・不動産業界での経験を強みとして、「鈴(りん)」「Rinn」のブランドで立地開発から設計、建築、運営まで一貫して行う事業をいち早く確立。事業開始からわずか2年でホテル13棟を含む47の宿泊施設を開業、2020 年度中にさらに100施設の開業を計画している。伝統的な京都の街並みを守りながら地域に溶け込み、地場産業と連携してインバウンド事業に取り組む姿勢が、多くの投資家の共感を集めている。

著者紹介

連載インバウンド需要、ローリスク、長期安定…最強の京都「町家」投資

最強の京都「町家」投資

最強の京都「町家」投資

児玉 舟

幻冬舎

今、もっとも投資する価値が高いのは「京都の町家」だ! 効率的なオペレーション・改装のポイント・集客…… 町家宿泊施設ビジネスのすべてを徹底解説。 着実に利益の上がる投資物件が枯渇しつつあるなか、 不動産投資で…

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