世界トップクラスの学力…フィンランドの教育とは?
フィンランドやオランダ、デンマークなどは、学校教育で子どもたちにテストをして順位などはつけない制度を取り入れています。能力別の学級編成なども行いません。能力別にクラスを分けることは、差別をつくり、何の効果もないと考えているのです。
フィンランドは学校教育のなかで、子どもたちに競争させることをやめたら、世界トップクラスの学力国になってしまいました。フィンランドは人口550万の小国です。かつては、優れた人的資源もなく、会話も人とコミュニケートするのがとても苦手な国民でした。それが今はコミュニケーション力を重視する、世界学力テストで上位にランクインする国なのです。
かつてのフィンランドは農業国でしたが、今は工業国に変わり、しかも世界のIT産業の先端に位置しています。高い生活水準を保ち、活力ある経済活動を行っています。
その源になっているのが、競争を廃止したフィンランドの学校教育なのです。フィンランドでは、子どもが自ら学ぶことを教育の基本に据えており、競争などで学習を強制することを廃止し、グループ学習、生徒同士の教え合いを大切にしています。子どもたちがマイペースで学べるように工夫しているのです。フィンランドの学校では、いじめや不登校などの問題もないそうです。
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今、教育で大切なのは、自分で学習する子どもを育てること、自立学習者を育てることです。日本の文部科学省も、そのことを日本の教育の根幹と考えています。
けれども、今の日本の学校制度ではこの目標を達成することは至難の業です。とても不可能なことでしょう。日本の教育では、子どもに合った教育が提供されていないのです。
フィンランド、オランダやデンマークなどでは入試の必要がなく、自由に学校が選べ、学校が子どもに合わなければ、ホームスタディの制度もあります。学校に行くことが強制ではないので束縛がありません。そのため、子どもたちは追いつめられることなく、かえって学校に行かない子どもなど存在しないのです。
では、日本の学校教育の問題は何でしょう。
国民の多くが、学力中心の教育観に縛られていることこそが大きな問題です。教育に競争はいらないのです。世界を見ると、競争を廃止して、優れた学校教育の成果を上げている国々がたくさんあります。
時代が大きく変わってきているのです。世界の教育は、1995年を境に、知識を詰め込む教育を廃止して、自ら学ぶ子どもたちを育てる教育を目指すという方向に大きく変わってきています。子どもたちに「学び方の学び方」を教えましょう。
子育てで大切なのは「わがまま」に育てないこと
教育で一番大切なのは、自己中心性を取ること――つまり、わがままに育てないということです。徳育の基礎は耐える力、意志力、感謝する心を育てることです。早寝早起きをすることで、耐える力、意志力が育ちます。
子どもたちは善悪の区別と自制を教えないと、本来わがままなものです。そのわがままを抑え、自制する力は意志力です。この意志力は耐える力を育てることによって伸ばされます。
親は子どもの願うままに、子どもを育ててはなりません。それは姑息の愛(一時しのぎの愛)といいます。姑息の愛は、当座は慈愛に似ているけれど、そのうち子どもが気ままに育つようになります。
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子育てで大切なのは、人間として生きる道を教え、徳に生きることを教えることです。 日本の古典的な教科書はすべて、子どもに忍耐を教えることの大切さを説いています。 教育の一番の目的は、子どもの自己中心性を取ること、相手のことを思いやる心を育てることにあるのです。
忍耐を覚えると、耐える意志力が育ちます。これに感謝する心を加えれば、子どもに教える徳育の基本が満たされます。感謝を教えるには、いつも親がすべてのことに「ありがとうございます」といって感謝する姿を見せましょう。子どもはそれによって自然に感謝することを学びます。
大坪 信之
株式会社コペル 代表取締役