子どもは本来、学ぶことが大好きです。好奇心旺盛な幼児期に、適切な教育を受けさせることが重要となります。本連載では、25年前から幼児教育に取り組んでいる株式会社コペル・代表取締役の大坪信之氏が、子どもに「学ぶことの楽しさ」を教える方法を解説します。本記事では、「右脳教育」の重要性について取り上げます。

左脳を使っていない状態である「ゼロ(純粋)意識」

寝ている間に、様々な問題に対する回答が得られれば、これほど楽なことはありませんね。ただ、本当に正しい答えなのか?とその効果に心もとなさを感じる人がいるかもしれません。

 

しかし、最近では寝ているときの意識を使う思考法こそ、最高級の頭の使い方だと理解されるようになってきました。実は、この方法は天才と呼ばれる人たち、研究者たちがしばしば実践しています。

 

彼らは「寝ている間に突然ひらめいた」といいます。おもしろいですよね。

 

たとえばドイツの化学者、フリードリッヒ・アウグスト・ケクレです。ケクレは、ベンゼンの化学構造の謎を解こうと、いろいろ考えをめぐらせていました。

 

行き詰まりを感じたある晩、ケクレは肘掛け椅子に座ってついウトウトしてしまいました。そして夢を見ました。夢のなかで、目の前に原子が踊りだしたのです。互いに密着した原子が長くつながり、蛇のように曲がりくねっていました。ケクレは雷に打たれたように「はっ」として目を覚ましました。そして、その夢をヒントにベンゼンの化学構造の謎を解くことができたのです。

 

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なぜ、こんなことが起きるのでしょう。

 

人間には「顕在意識」と「潜在意識」そして「超意識」という3つの意識があることが知られています。私たちが日常使っているのは顕在意識による左脳の思考力で、この思考力には限界があります。

 

人間は、持っている能力のうちの3%しか使っていないといわれますが、それはまさに顕在意識による思考の限界なのです。

 

では、残りの97%の能力はどこにあるのでしょう。それこそ、右脳の潜在意識と超意識の能力なのです。大切なのは、この右脳の意識を使うようにすることです。それを使えば、残りの97%の思考力を完全に使うことができます。そして、それを効率よく使えるのが寝ているときです。

 

私たちが眠りに入ると、左脳は完全に休みますが、右脳はいつも電源が切れずに働いています。この右脳の意識になっている状態を「ゼロ(純粋)意識」と呼びます。左脳をまったく使わないからゼロ意識です。ゼロ意識の働きには、驚異的な力があります。寝ているときこそ、最高の知性を働かせる状態にあるというわけです。

明治以前に寺子屋で実践されていた「右脳教育」

明治より以前、日本の子どもたちは寺子屋において学習をしました。そこではもっぱら『論語』などの古典を素読するところからはじまりました。

 

素読とは、書物の意味・内容を考えることなく、ただ文字だけを音読することです。当時の子どもたちは、ただ難解な文章を毎日読んで暗記していきました。意味もわからないまま、頭のなかに叩き込んだ言葉の群れは、深層意識のなかで言葉のセンスをつくり、文章を書くときに、格調のある文章となってでてくるのです。書くものがまったく違ってきます。

 

潜在意識へのインプットが、後年その人の高い資質となって出てくるのです。意味もわかるときがきます。アウトプットを急がないようにしましょう。「待ちの教育」が大切なのです。インプットがその人の深い資質となって、アウトプットされるようになるのです。昔の人が「右脳」の持つ意味を細かく知っていたとは思えませんが、昔の人たちは非常に優れた右脳教育を実践していたように思われます。

 

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たとえば、明治維新の礎となった偉大な志士たちが多く育った「塾」といえば吉田松陰の「松下村塾」があります。歴史の上に燦然と輝く松下村塾が存在したのは、わずか2年に過ぎません。それだけの期間しかなかったにもかかわらず、後代の日本を築く人材を育てた松蔭の教えとはどんなものだったのでしょう。

 

それは「志を持て」ということでした。松蔭は、「志なきものは虫(無志)である」と教えたのです。

 

これは、右脳教育の基本とするところに一致しています。松蔭はすでに日本の大きな黎明期に、右脳教育などという言葉は知らずして、すぐれた右脳教育を行っていたのです。右脳教育で大切なことは、知識を詰め込むことではなく、子どもに本来備わっている優れた潜在能力を引き出すことにあります。そして、志の大切さを教えるのです。

 

自分の周りの人を喜ばせ、幸せにし、多くの人たちに貢献するには自分は何をすればよいのか。どんな子どもも、本来は100%使える能力を持ってこの世に生まれてきます。

 

しかし、生まれた環境のなかに、それを引き出す刺激や教育がないと引き出すことはできません。右脳という観点から見ると、どんな子どもでも、賢く育てることができるのです。

 

 

大坪 信之

株式会社コペル 代表取締役

 

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    本連載は、株式会社コペルが運営するウェブサイト「コペル」の記事を転載・再編集したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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