暗号資産の売買…「販売所」と「取引所」の明確な違いとは?

※本連載では、KRAKEN日本法人代表取締役社長であり、FinTech(金融×情報テクノロジー)専門家として各種金融・事業法人の顧問/アドバイザーもつとめる渡邊竜士氏が、暗号資産の最新動向や基礎知識について解説する。今回は「仮想通貨交換業者」について、その役割を説明する。

仮想通貨交換業者の「セキュリティー」は最重要事項に

日本で暗号資産(仮想通貨)を売買するためには、まず金融庁・財務局で登録を受けた仮想通貨交換業者(以下:業者)にて口座を開設します。現在、14業者が合計21銘柄について取引サービスを提供しています(2019年7月現在)。すべてはインターネットを経由しており、自前でウォレット(暗号資産を保管する機能)を用意していない利用者は、業者ウォレットへの預け入れも選択できます。

 

比較すべきサービス内容は、売買価格や手数料に限らず、顧客サービスデスクによる対応、オンライン売買システム利用時のUI・UX(ユーザーインターフェイス・ユーザーエクスペリエンス)の他、多岐に渡ります。なかでも、預けた資産や個人情報の保全に直接影響の出るIT・セキュリティーについては、近年その重要性が広く認知されつつあります。

 

実際、どんなに使いづらくても、手数料や価格が悪くとも、ここ数年連発しているハッキングで資産を盗まれるよりはマシともいえるでしょう。それぞれの用途に合わせた比較、そして総合的な判断が必要となります。

販売所では、業者と顧客の利益は「相反関係」に⁉

まずは一般的に多くの初心者が気にする売買価格や手数料等の売買サービスに焦点を絞って説明しましょう。

 

暗号資産(仮想通貨)の売買サービスには「販売所」「取引所」の2種類があることをご存知でしょうか? 「販売所」か「取引所」のどちらかを専業しているケース(販売所4業者・取引所5業者)もあれば、両方を提供している場合(5業者)もあります。

 

「販売所」では業者が売り買いの価格・数量を提示し、その(業者の)自己勘定に相対して顧客が売買します。中古車ディーラー(販売店や買取店)に対して車を売買するケースに似ています。新車販売はICO/IEO/STOといった感じでしょうか。通常、当該銘柄を一定数量売った場合と買った場合の価格が並記されています。

 

数量が大きければ価格は不利(少なければ有利)になり、手数料は提示価格に含まれているのが通常です。ここで重要なのは、業者の利益が買値と売値のスプレッド(差額)であり、顧客の利益と相反関係だという認識です。

 

一方、「取引所」顧客注文の売りと買いを付け合わせ(マッチング)させるサービスで、その約定金額に応じた手数料を支払います。先述の中古車の例えに置き換えると、中古車オークション市場での直接売買(出品・買い付け)といった具合です。手数料は無料から(約定代金※1の)0.5%程度で、業者ごとに異なります。

※1 約定代金…取引総額(売買した価格 x 数量)

 

一般的に、約定代金の増加に応じて手数料率が下がり、また、メイカー(取引板※2にまだない価格を先に並べて約定した取引)テイカー(既に取引板にある注文を約定した取引)より手数料率が低く設定されています。いずれにしても、顧客の需給が価格や売買そのものを左右し、業者の利益は手数料のみになります。

※2 取引板…売り買いそれぞれの注文数量を価格毎に掲示した一覧

 

ここで若干ややこしいのは、暗号資産(仮想通貨)の取引所サービスにおいて、業者自身が自己勘定において(取引板に)売買を発注しているケースです。この場合、予め口座開設手続き(契約締結前交付書面)でその旨の説明と内容確認の同意がありますが、こういった業者の取引所の売買では、一般顧客による需給とは異なる影響が存在する、との認識が必要です。

 

株や債券の投資経験がある方はここで、「では取引所や販売所が公開している売買注文や約定代金等のデータには、運営者自身の数値も入っているの?」、または「実際の一般的な利用者・投資家の需給に基づいた暗号資産(仮想通貨)の市場規模はどれくらいなの?」という疑問に辿り着くでしょう。そうです、暗号資産(仮想通貨)の市場データはあまり(真の需給を理解するのに)頼りになりません。いったいどういうことか、この点は次回に説明する予定です。

販売所や取引所は「過渡期」のサービスである

どのような資産でも、売買において重要なのは、安く買い、高く売り、手数料等の費用を低く抑えることです。株や債券等、有価証券のようにある程度市場が成熟し、売買条件が収斂した資産とは大きく異なり、暗号通貨(仮想通貨)はいまだ未成熟です。

 

有価証券の起源は、売買を付け合わせる(マッチングする)ためには取引所(当初は立会い市場)と注文を全国各地から仲介する証券会社(又はブローカー)や各種金融機関が必要でした。

 

IT技術の進展により、もはや現代においては、個人・法人等の需給を前述の仲介者無しに取引所が処理することも可能ともいわれています。

 

P2P型取引※3がベースとなっているブロックチェーン技術で運営される暗号資産(仮想通貨)は、仲介者どころか、本質的には販売所や取引所さえ実は必要としません。前述した販売所・取引所等の仮想通貨交換業者はそこに至るまでの過渡期のサービス提供者にすぎません。つまるところ、暗号資産(仮想通貨)は「過渡期」にあり、いまだ混沌とした市場である、との認識を常に持つことも重要です。

※3 P2P型取引…ネットワークに接続されたコンピューター端末同士が直接通信する方式上での取引のこと

 

同じタイミングに売買しても、業者によって価格は異なり、業者が同時に運営する「販売所」と「取引所」でも異なります。どちらのサービスをどのように利用するにしても、売買したい数量の約定価格が手数料(費用)込みで実際どうなのか? しっかり意識して利用する必要があります。

 

 

渡邊竜士

KRAKEN/日本法人代表取締役社長

 

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KRAKEN アジア太平洋地域統括マネージングディレクター兼日本法人代表取締役社長/CEO

慶應義塾大学総合政策学部卒。野村證券グローバルマーケッツ部門マネージングディレクター、トムソン・ロイター執行役員を経て、2018年1月より現職。FinTech(金融×情報テクノロジー)専門家として各種金融・事業法人の顧問/アドバイザーを兼任。

KRAKEN(クラーケン)
デジタル資産(通称:仮想通貨)取引所として世界200ヶ国以上・24時間無休でサービスを展開。「特別で信頼できるデジタル資産取引」を提供し、高いセキュリティー(顧客資産の保全及びITセキュリティー)が定評。各種調査会社による安全度ランキング及びユーロ建て取引で業界トップ。

著者紹介

連載FinTech専門家が解説~新たな金融インフラとしての「暗号資産」

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