日本が先陣⁉ 2020年「暗号資産」の世界に訪れる劇的変化とは

「仮想通貨」の呼称を「暗号資産」に変更する改正資金決済法などが国会で成立し、昨今、日本では投機の対象と見られがちであった「暗号資産(仮想通貨)」およびその技術基盤であるブロックチェーンが再び注目されている。本連載では、KRAKEN日本法人代表取締役社長であり、FinTech(金融×情報テクノロジー)専門家として各種金融・事業法人の顧問/アドバイザーもつとめる渡邊竜士氏が、暗号資産の最新動向や基礎知識について解説する。

ICO、STOによる資金調達は凍結状態であったが…

新たな資産として広まる暗号資産(仮想通貨)、その代表銘柄であるビットコイン(BTC)の円建て価格は年初から2.7倍以上になり、1年ぶりの高値水準である110万円前後で売買されています(2019年6月現在)。

 

その価格変動の大きさや投機色の濃さはさておき、2020年以降の市場についての制度整備が急ピッチで進捗しています。直近の注目すべきニュースとして、本国会(※第198回国会)での資金決済法及び金融商品取引法の改正法の成立があります。

 

暗号資産が金融のインフラとして経済活動に貢献するべく、より成熟した制度や規制が2020年6月迄に施行されることになりました。これまで、暗号資産およびブロックチェーン技術の実装や、この分野のFinTech企業との提携等に躊躇していた大手企業・金融機関も、法整備のタイミングに合わせて参入が広まるのではないでしょうか。

 

この度の法改正は利用者の保護が主たる内容ですが、「仮想通貨」を「暗号資産」に改称する他、暗号資産を活用した企業やプロジェクトの資金調達手法ICO(Initial Coin Offering)/IEO(Initial Exchange Offering:交換所を経由した資金調達)とSTO(Security Token Offering:「金融商品」をブロックチェーン上でトークン化したもの)についても法整備が進捗しました。

 

2017年末より、日本ではこうした資金調達が事実上の凍結状態にありましたが、改正法施行後の再開が見込まれます。

 

日本のみならず、ICO/IEO/STOによるグローバルな資金調達額・件数は2018年前半をピークに減少傾向にあります[図表1]。日本と同じく規制・制度枠組み待ち ICO/IEO/STO を凍結している先進国の増加が主な理由で、2019年は前年比マイナスになる見通しです。投資と(このような手法の)資金調達の両輪が揃って初めて、暗号通貨が単なる投機対象としてでなく、本質的な金融インフラとして認識されます。日本が来年に先陣を切る形になりますが、これが世界に広まるでしょう。

 

[図表1] ICO/IEO/STOによるグローバル資金調達金額 出典:ICO/IEO/STOデータ CoinscheduleよりKraken作成、上場株式データ JPXグループ
[図表1] ICO/IEO/STOによるグローバル資金調達金額
出典:ICO/IEO/STOデータ CoinscheduleよりKraken作成、上場株式データ JPXグループ

 

[図表1]には、身近な数値との比較として日本の上場企業による株式公募調達データを並べました。グローバル規模の暗号資産による資金調達市場が、世界でもメジャーな日本株式市場のそれ(2018年の場合)を大きく上回る水準であることは、来年以降の暗号資産による資金調達市場の活性化に期待が膨らみます。

「セキュリティトークン」がほぼ有価証券同等の扱いに

STO(Security Token Offering)で販売されるセキュリティートークン(Security Token、以下ST)については、有価証券型の仕組みやそのものに紐づいているトークンであることから、今まで日本では制度上それを暗号資産と有価証券のどちらに分類するべきなのかが未定でした。そのため、セキュリティトークンの分野は他の暗号資産全般に比べて事業開発が遅延していた節があります。

 

しかし、この法改正後は、ほぼ有価証券同等の取り扱いになると決まり、追加的な制度の整備も来年後半に期待できます。既存の有価証券を取り扱う証券会社やその他金融機関の参入により、セキュリティトークン市場のみならず、暗号資産市場全体のさらなる底上げに繋がるでしょう。また、このニュースが呼び水となり、大手金融機関のブロックチェーン技術そのものへの関心が高まり、従来型の金融インフラでの活用も始まれば幸いです。

 

日本は世界に先駆けて暗号資産の法整備を進めていますが、様々な理由から出遅れている国や地域でも、2020年以降は暗号資産を取り巻く制度整備が急速に進展するでしょう。

 

マネーロンダリング対策(以下AML)やテロ資金対策等(以下CFT)における国際的な政府間機関であるFATF(G7諸国を含む世界35ヶ国と2地域が加盟)は、2015年に初めて暗号資産(当時は仮想通貨)に関するガイダンスを公表して以来、AMLおよびCFTを目的とした各加盟国における規制当局による登録・許認可制の導入を促してきました。

 

今年2月パリで開催された総会では勧告とその解釈についての草案を公表しています。6月に大阪等で開催されるG20/FATF総会での議論に合わせ、6月下旬には草案の正式決定と、より一層踏み込んだ声明が想定されます。

 

繰り返しになりますが、日本および世界中で暗号資産を取り巻く制度整備が2020年に大きく進展しそうです。単なる投機対象の市場ではなく、投資と資本調達の両輪が揃い、初めて「金融のインフラ」としての資産価値が生まれ、市場のさらなる成長が見込まれます。それにともない、今後は、正しい知識とその理解がより重要になってくるでしょう。

 

次回以降、暗号資産について、おさえておくべき重要な基礎知識を中心に解説していきます。

 

渡邊竜士

KRAKEN/日本法人代表取締役社長

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KRAKEN アジア太平洋地域統括マネージングディレクター兼日本法人代表取締役社長/CEO

慶應義塾大学総合政策学部卒。野村證券グローバルマーケッツ部門マネージングディレクター、トムソン・ロイター執行役員を経て、2018年1月より現職。FinTech(金融×情報テクノロジー)専門家として各種金融・事業法人の顧問/アドバイザーを兼任。

KRAKEN(クラーケン)
デジタル資産(通称:仮想通貨)取引所として世界200ヶ国以上・24時間無休でサービスを展開。「特別で信頼できるデジタル資産取引」を提供し、高いセキュリティー(顧客資産の保全及びITセキュリティー)が定評。各種調査会社による安全度ランキング及びユーロ建て取引で業界トップ。

著者紹介

連載FinTech専門家が解説~新たな金融インフラとしての「暗号資産」

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