耳鼻咽喉科渡辺医院の院長であり、めまい・耳鳴り・片頭痛の治療を行ってきた渡辺繁氏の著書『本当は怖い めまい・耳鳴り』より一部を抜粋し、めまいの原因をタイプ別に解説します。

グルグル、フラフラ…あなたのめまいはどのタイプ?

めまいは、ある程度までは自己診断ができる症状です。ここで、めまいの感じ方と、主に疑われる原因の関係を整理しておきましょう。さて、あなたのめまいの感じ方は、次のどれに当てはまりますか?

 

① グルグルするめまい(回転する感じ)

② フラフラするめまい(左右に揺れる感じ)

③ フワフワするめまい(上下に浮く感じ)

④ クラッとするめまい(目の前が暗くなる)

⑤ 動いていない物が揺れて見えるめまい

 

以下に、それぞれ考えられる病気や原因を挙げていきましょう。ただし、ここで述べるのは、あくまでも「ある程度までの自己診断」の目安です。

 

グルグルする回転性めまいと、フラフラする動揺性めまいの多くは、ほぼ同じ原因によって起こります。症状による危険度などを際立たせるために、かなり単純化していることをご承知おきください。

 

① グルグルするめまい――回転性めまい

 

グルグルする回転性のめまいは、主な原因として、三半規管など内耳の病気が疑われます。具体的には、「良性発作性頭位めまい症」「メニエール病」「前庭神経炎」を含む内耳炎などです。

 

前触れなく突然に起こり、吐き気、耳鳴り、耳が詰まったような感じがして聞こえづらくなる耳閉(じへい)感や、難聴などの症状を伴うことがあります。良性発作性頭位めまい症は、なんらかの衝撃を受けたときに前庭の耳石器からはがれた耳石が、三半規管に入り込んでしまうと起こります。内耳の器官はつながっているので、リンパ液を介して前庭から三半規管に迷い込んでしまうことがあるのです。

 

メニエール病は内耳のリンパ水腫が原因です。内耳のリンパ液が異常に増える理由は必ずしもはっきりわかっているわけではありませんが、メニエール病も前庭神経炎なども、ストレスや自律神経の失調によって免疫力が低下すると起こりやすくなります。

 

こうした内耳の病気で耳鼻科にかかると、薬での治療とリハビリが主体になります。また、片頭痛でも、良性発作性頭位めまい症やメニエール病と同じようなめまいの症状を伴うことが少なくありません。

 

【グルグルする回転性めまいの主な原因】

●トラブルを生じた部位・・・三半規管などの内耳、脳血管

●主な病名・・・良性発作性頭位めまい症、メニエール病、内耳炎、前庭神経炎、片頭痛

 

② フラフラするめまい――動揺性めまい

 

体が左右にフラフラする感じのめまいは、良性発作性頭位めまい症やメニエール病でも起こりますが、「足元がふらついてまっすぐ歩けない」といったケースでは、脳にトラブルが起こっていることも疑われます。

 

具体的には、脳の血管が詰まる「脳梗塞」や、聴神経腫瘍をはじめ、脳内にできる「腫瘍」などです。体の機能をコントロールしている中枢に原因があるという意味で「中枢性めまい」と呼ばれます。運動機能の中枢である小脳や脳幹で脳梗塞や腫瘍が生じると、うまく歩けなくなってフラフラするわけです。

 

発作は急に起こることも、徐々に症状が強くなってくることもあります。また、手足のしびれや頭痛を伴うことがあります。前庭神経炎やメニエール病、片頭痛などでも、立ち上がれなくなることがあってつらいものです。そして、動揺性めまいだからといって、脳梗塞や聴神経腫瘍の割合が多いというわけでもありません。

 

しかし、体が言うことを聞かずにフラフラするめまいは、一般の方が自己診断で「大丈夫」とはいえない危険なめまいの筆頭だと理解してください。

 

【フラフラする動揺性めまいで注意したい原因】

●トラブルを生じた部位・・・脳

●主な病名・・・脳梗塞、脳腫瘍(聴神経腫瘍)

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本当は怖い めまい・耳鳴り

本当は怖い めまい・耳鳴り

渡辺 繁

幻冬舎メディアコンサルティング

めまい・耳鳴りを完治させるためには「市販薬に頼り切らない適切な対処と日常生活での心がけ」がカギとなります。 耳鼻科の切り口からめまい・耳鳴りの根本原因を見抜き、治療することに長けた著者が、つらい症状を治すための…

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