メリット多数!家を建てるなら「北道路の敷地」が狙い目なワケ

株式会社ウェルダン代表取締役で、一級建築士の資格を持つ兼坂成一氏の著書『人生が変わる家づくり 一生気持ちよく暮らせるマイホーム』より一部を抜粋し、物件購入前の土地選びにおいて、プロが「北道路の敷地」を勧める理由について解説します。

「最適な間取り」にするために土地選び

理想の間取りづくりにも大きな影響が出る土地選びについて、アドバイスさせてください。土地をお持ちでない場合、まず不動産屋さんに土地探しを依頼することとなります。その後、予算に見合う気に入った土地が見つかった場合、できることなら印鑑を押す(つまり契約をすることです)前に、極力建築士に相談することをお勧めします。

 

不動産屋さんは駅から近い、スーパーが近所にある、日当たりがよい、といった情報は詳しく教えてくれますが、例えばどのような建物が建築できそうかとか、余計な建築費用がかからない土地か、などの相談ごとはそれほど得意ではないからです。

 

実際私は今まで購入前の土地を見て欲しいと多くの方から依頼されましたが、そのうちの1割程度で、様々な理由からその土地の購入は見合わせた方がよいとアドバイスすることがあります。もしも既に契約や購入をしてしまった土地を見た場合には、後戻りできるわけではないので褒めることしかできないからです。

 

土地選びで特に注意しなければならないことがらをいくつか挙げてみます。例えばその敷地と周囲の土地、又は敷地に接する道路との間に大きな高低差があるケースです。

 

高低差があればその部分の土が崩れないよう擁壁などの土留めが必要となります。その擁壁が土や建物の荷重を支えられる安全なものとしなければなりません。特に高さ2mを超える擁壁はそれだけで工作物として建築確認や完了検査が必要となるケースもあります。すでにそれらが築造されている場合は、検査済証が取得されている必要があります。昔に造られた擁壁にはそれらが存在しない(無許可)ものや、仮に存在していても年月の経過により風化・劣化しているものがあります。

 

それらは安全とはみなせないため、擁壁を新たに造りかえたり、あるいは建物の基礎を地中深く達するように施工したりなど、いずれにせよ大きな出費が伴ってしまいます。仮に検査済証のある比較的新しい擁壁の土地であったとしても、将来の劣化を考えると、ずっと安全とは言い切れないのです。

 

敷地が接する道路との間に高低差が有るケースでは、擁壁の問題の他にも、毎日出かけるたびに階段を上り下りしなければならないという動線の不便さも加わることとなります。敷地の前面道路が極端に狭いなど、工事車両が進入することに支障がある敷地も要注意です。資材の運搬を小分けにしたり搬入について人力が必要となったりすることがあり、これも建築のコストアップにつながるからです。ダンプカーが通行できるまでとは言いませんが、乗用車が普通に敷地前まで通行できれば大きな問題とはならないでしょう。

「南道路の土地」だけにこだわると、思わぬ弊害も

日当たりがよい土地にこだわりすぎるのも、土地購入の機会が減る原因となります。必ずしも南道路の土地が最良というわけではありません。南道路の敷地は玄関も南になるケースがあり、主要な空間の南に面する長さがその分減ってしまうことがあるからです。またリビングの前を他の人が通行するため、場合によってはその視線が気になるような敷地もあるからです。

 

その反対に、決して一般受けはしませんが北道路の敷地にはメリットが多いのも事実です。玄関が道路に近い北に配置でき、南面に主要な居室を並べることができます。また南側に隣家が建っているでしょうが、その南側の隣家の北向きの窓、つまりこちらを向いた窓はトイレや浴室、納戸といった部屋が配置されている可能性が高く、必然的に小さく透明でもない窓が向いているため、プライバシーが気になりにくいことが多いです。さらに北側斜線、高度地区斜線といった規制も、北道路の場合には緩和されるなどいいことがたくさんあります。

 

もちろん日当たりが良く、明るい土地に魅力があるのは当たり前なのですが、日当たりと関係なく全ての方位の部屋が快適になる家を建てることができれば、日当たりの重要度合いは多少なりとも減りますし、通常は土地の価格も抑えることができるかもしれないので、土地選定の候補から真っ先に外すことはないと思います。

 

また地盤の良い悪いを非常に気にされる建て主もいます。地盤が悪い場合に地盤改良という補強工事が必要とはなりますが、その費用は一般的に平均100万円程度であり、家づくり全体の計画に大きな影響を与える額ではないかと思います。

 

建築会社の中には契約どころか間取りも決まらない最初の時点で、地盤調査を行うよう勧めてくる場合がありますが、結局は建物の形状と敷地内の建物配置場所が確定したあとに再調査しなければならなくなってしまうので、通常は急ぐ必要はないと思います。

 

それから「建築条件付き」とされる土地では、こだわりの注文住宅を建てるという願いが叶わないこととなります。「建築条件」という言葉は、その土地を購入した場合には指定された建築会社でしか家を建てられませんよ、という条件が付いている土地のことです。

 

「建て売り」住宅は建てた家を土地ごと販売していますが、それとは順番が逆で土地の購入者が決まってから建物を建てるので「売り建て」住宅とも呼ばれます。建築会社を選べないという厳しい条件が課せられているため一般的に土地自体の価格は抑えられているのですが、気に入った建築会社で家を建てたいと願っている場合、こうした土地は不可だと言えます。

 

古家が建っているまま売り出されている土地は、建物が薄汚く、うっそうとした木々に囲まれ、塀も朽ち、よいイメージを持ちにくいため避けられる傾向にあります。ところが実際には建物を解体、樹木を伐採、塀を造り替えてしまえば、きれいな土地なのですから候補から外す必要は一切ありません。

 

30坪程度の木造家屋の解体は条件にもよりますが150~200万円ほどです。その解体費用の分を値引き交渉したり、更地渡しに変更してもらったりということも、もしかしたら可能かもしれません。いずれにせよ土地選びは、信頼のおける建築士に相談しながら行いましょう。

株式会社ウェルダン 代表取締役社長
一級建築士 

昭和45年東京生まれ、中央大学法学部法律学科卒業。大学を卒業し他社に就職後に、父親の創業した一級建築士事務所で建設業者である株式会社ウェルダン(本社:東京都立川市)に入社。社長となってからも、施工物件の基本設計の多くを自ら手掛けるかたわら、大工や職人との打ち合わせに参加し、顧客の家づくりにとことん関わるスタイルを貫く。建て主のためならば時には利潤にこだわらずよりよい部材・仕様の変更にも踏み切るなど、社内・社外から信頼を得ている。

著者紹介

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兼坂 成一

幻冬舎メディアコンサルティング

一生に一度の家づくりで失敗したくない──マイホームを建てようとする人にとっては当然の願いです。家づくりは、家族の人生にも大きな影響を及ぼす一大イベントです。だからこそ、多くの人が間取りやデザイン、素材、設備など…

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