不動産投資ブームで、初心者を食い物にした「有名大家」の実態

不動産投資ブームに警鐘を鳴らしていた小島拓氏の著書『不動産会社が書けない「有名大家」の裏話』より一部を抜粋し、当時、不動産投資の初心者を食い物にしていた「有名大家」の実態について解説します。

ブームの牽引役は「○○大家」を名乗る有名大家たち

ここ数年の不動産投資ブームは、業者や銀行によって作為的につくられたものである――私はそう考えています(2018年1月書籍『不動産会社が書けない「有名大家」の裏話』刊行当時)。ただ、ここには一つ欠けているものがあります。それが「有名大家」の存在です。本名を名乗って活動している投資家はごくまれで、「○○大家」などと名前を出さず、偽名を使っているケースも多いのです。

 

なぜなら有名大家は元サラリーマンや現役サラリーマンであるケースが多いので、会社にバレないためです。インターネットを通じた情報発信も多くハンドルネームを使用するのが一般的ということもあって、特に不審な印象を与えません。しかし、不動産というものは安くても数百万円、その多くは数千万~数億円であることを考えると、名前も知らない○○大家の提唱することを、初心者投資家がそのまま信じ込んでしまうのは危険としか言えません。

 

「不動産投資で、サラリーマン人生から脱却できた!」

「月に数百万円の収益を上げて、海外のリゾート地で豪遊」

「あなたも、僕と同じように最高の人生を送りたいと思いませんか?」

「不動産投資なら、あなたの人生を今すぐ変えられる!」

 

こういった謳い文句で不動産投資を過度に勧める投資家が増えています。このような有名大家たちは三つのタイプに分けることができます。

セミナー講師タイプ

業者主催のセミナーに協力している投資家は、業者から高額な講師料を受け取っています。業者側も自社の商材に合った投資家に依頼するケースが多いのですが(シェアハウスの販売会社がシェアハウスで成功した投資家を呼ぶなど)、なかには自分が実践したことのない投資手法を、業者から依頼されたという理由だけで勧めている投資家も、少数ですが存在します。

 

投資家に支払われる講演料の相場は非常に高く、年間家賃収入1000万円に達していない投資家であっても「有名」というだけで、2時間で5万円、なかには10万円以上の講演料が支払われるケースもあるそうです。これは講演料の相場で考えると、それなりに名が通った文化人と同じレベルです。

 

ただ、ほかのタイプと比較して、業者との関わりは浅いことが多いです。有名大家自身がまるでタレント活動のように知名度を上げるため講師を引き受けている場合が多く、「誰かを損させよう」という気持ちでセミナー講師をしていることはありません。

 

しかし、業者からすれば、人気のある有名大家にセミナーを依頼することで、たくさんの集客が見込めます。そして、セミナーの後は個別相談会という名目で、営業マンと面談をさせて物件を売っていくのです。

 

先述したとおり、ブームに乗って不動産投資をおこなう人口が増えています。サラリーマンだけでなく学生、20代女性、主婦、公務員、医師、引退した65歳以上など、非常にニッチなところまで不動産投資は広がっています。ターゲットが広がれば、それぞれの属性において〝顔〟となる有名大家が求められるようになります。こうした、業者のさまざまな差別化戦略の代表格がセミナーというわけです。

ブローカータイプ

このタイプには「不動産投資コンサルタント」「不動産アドバイザー」と名乗っている人が多くいます。不動産投資で成功したあと、業者と裏で紹介料契約をし、コンサルティングした投資初心者を業者のもとへ送り込みます。

 

本来、売買仲介をする業者は、宅建業法のもと責任を持って物件を調査するのはもちろん、それ相応の知識や経験を持っています。しかし、ブローカータイプの投資家にそういった責任はありません。すべて「自己責任ですから」と言って自分の逃げ道をつくっています。とにかく業者に送り込んで紹介料を稼ぐことが目的なので、自分が本気で良いと思っていない物件でも「これ、すごくお買い得ですよ」などと言ったりします。悪質だと感じるのは高額なコンサルティング費用を受け取りながらも紹介料を取るという、いわば報酬の二重取りをしていることです。

広告塔タイプ

業者とがっちり手を組んでいるタイプの有名大家です。顔や名前を出して一定の不動産業者のホームページに出たり、書籍を出版した際にその業者について良く書いたりします。表には出しませんが、書籍を出版する際の広告費を業者が出していることもあります。

 

もちろんセミナー講師も務めます。セミナー講師タイプやブローカータイプとの違いは、特定の一社のみの宣伝をしていることが多く、ほかよりも業者が絡んでいる感じが見えやすい点です。

 

このほか、セミナー講師をしたり、大家塾を主宰したりしているケースもあります。つまり、この三つのタイプの特徴をすべて満たしている投資家もいるということです。いずれにしても、有名な人ほど商売上手で、ビジネスチャンスがあれば、あの手この手を使っていろんなところに手を出します。

 

こうなると職業は、不動産投資家ではなくて、集客業務や代理店業務とでもいったほうが正しいように感じます。

一般社団法人首都圏小規模住宅協会 代表理事

1983年、東京都生まれ、埼玉県出身。大学卒業後、不動産投資会社勤務を経て、2012年に独立し起業。2018年1月には業界の健全化を図る目的で、一般社団法人首都圏小規模住宅協会を発足。代表理事に就任。『「融資地獄」行き予防サロン』を設置して投資家の無料相談を受け付けるなど、あくまで公平・中立な立場から各方面に提言を行い、業界の健全化にむけて活動している。主な著書に『不動産会社が書けない「有名大家」の裏話』(幻冬舎メディアコンサルティング)がある。

■一般社団法人首都圏小規模住宅協会運営サイト「不動産投資塾
 (https://ft-school.com/

著者紹介

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小島 拓

幻冬舎メディアコンサルティング

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