医療費の大幅な増減も?保険ごとに異なる「白内障手術」の方法

本連載では、白内障治療に強みをもつ、アイケアクリニック院長の佐藤香氏が、白内障の基本的な症状や治療法を解説します。今回は、保険ごとに異なる「白内障手術」の方法ついて見ていきます。

保険の種類ごとに、手術法・器具・支払い方法が変化

白内障の手術には、「公的な医療保険が適用されるもの」、「先進医療特約の対象となるもの」、「自由診療で行われるもの」の3種類があります。使うことのできる眼内レンズも、患者さんの費用負担も、それぞれ異なります。

 

◆保険の違いによる白内障手術の3つの種類

 

白内障手術は、以下のステップで行います。

 

1.水晶体を包んでいる嚢に穴を開ける

2.嚢のなかにある水晶体を砕いて取り出す

3.人工眼内レンズを挿入する

 

このステップは共通していますが、白内障手術は保険によって次の3種類にわかれ、患者さんの要望に応じて自由に選ぶことができます。

 

①健康保険を使った手術

②医療保険に付帯した先進医療特約の対象となる手術

③上記2つにも該当しない、完全な自由診療による手術

 

これらの手術の違いは、

 

●使える眼内レンズの種類

●使用される手術器具

●治療費の支払い方法

 

の3点にあります。詳しく説明します。

 

 

先進医療の保険は、適用対象が更新されるため注意を

①健康保険を使った手術

 

公的な医療保険には、国が運営する「国民健康保険」や組合などが運営する「健康保険(社会保険)」があります。基本的な白内障手術は、この健康保険が適用となります。治療費については、高額療養費制度や自治体による補助金などの制度を活用することができる場合もありますので、詳しくはかかりつけの病院で確認しましょう。

 

ただ、健康保険内で行える白内障手術においては、単焦点の眼内レンズしか使用することはできません。単焦点眼内レンズは、遠方か近方、もしくは中間距離でしか焦点を合わせることができないため、手術後はメガネを使用することが求められます。

 

また、単焦点眼内レンズの挿入では、難易度の高い手術は求められないので、医師本人の手による「マニュアル手術」が行われます。そのため、医師によって手術の精度にバラつきが出るなどのデメリットがあります。

 

②医療保険に付帯した先進医療特約の対象となる手術

 

「先進医療」とは、公的な医療保険のなかで、特に先進的とみなされた治療方法について、厚生労働省が定めたものをいいます。治療方法だけでなく、実施できる医療機関も限定されています。

 

また、治療費のうち、診察や入院など健康保険が適用される一般的な治療と同じ範囲であれば、健康保険が適用されますが、手術費自体は全額負担となります。白内障手術では、多焦点眼内レンズを使用した治療が先進医療の適用となります。

 

民間の医療保険に加入し、「先進医療特約」を付帯した場合、治療費のほとんどが保険会社より支給されますので、この手術を選択する人も多いでしょう。ただし、保険のなかには先進医療特約に白内障手術を除外しているものもあります。白内障手術を検討しているなら、自分が先進医療特約を付帯しているか、その保険に白内障手術が該当しているかどうか、必ず確認してください。

 

注意すべきは、先進医療の適用される治療方法が、常に更新されている点です。多焦点眼内レンズを使用する白内障手術が、健康保険適用となる場合もあるかもしれませんが、自由診療に戻されることも十分にあります。

 

もし先進医療特約を付帯しているなら、早めに手術を実施したほうがいいかもしれません。また、多焦点眼内レンズは、高性能なものほど、挿入する位置のズレが見え方に影響してしまいます。

 

そのため、確実に高い精度で手術を行える機器、たとえば「LenSx(レンズエックス)」や「Verion(ベリオン)」、「ORA(オラ)」などを導入したクリニックで手術を行うことをおすすめします。

 

白内障手術で使用できる多焦点眼内レンズは、厚生労働省より認可を受けたものに限ります。当院では、「iSii(アイシー)」「ReSTOR(レストア)」「ACTIVE FOCUS(アクティブ・フォーカス)」「TECNIS MULTIFOCAL(テクニス・マルチフォーカル)」「TECNIS Symfony(テクニス・シンフォニー)」と、認可を受けているすべてのレンズを扱っています。

 

③完全な自由診療による手術

 

厚生労働省から認可を受けていない、最新の多焦点眼内レンズを使用したい場合は、手術費全額を負担する自由診療が適用されます。

 

眼内レンズの開発は、日進月歩で新しいレンズが次々と登場しています。当院では「LENTIS(レンティス)」「FINE VISION(ファイン・ビジョン)」「mini well READY(ミニ・ウェル・レディー)」「Acriva Trinova(アクリバ・トリノバ)」「RayOne Trifocal(レイワン・トリフォーカル)」などを扱っています。

 

自由診療にのみ、自分の生活に合ったレンズがあるのなら、積極的に検討することをおすすめします。

 

 

佐藤 香

アイケアクリニック院長

医療法人トータルアイケア理事

アイケアクリニック銀座院副院長 医師

 

 

アイケアクリニック 院長
アイケアクリニック銀座院 院長 

集中力を要する緻密な作業を得意とし、特に最先端の白内障レーザー手術において抜群の治療実績を誇る。そのほか、網膜硝子体や緑内障の手術も担当。
まぶたの手術やボトックス注射など、眼科医としての視点を活かした目周りの美容にも注力。また、校医を務めるなど、地元住民のかかりつけ医として地域医療にも貢献している。
日々のちょっとした悩み相談から高度な治療まで、総合的な目のケアー「トータルアイケア」の提供を目指す。
現在、注目の眼科女医として、テレビやラジオ、新聞、雑誌などさまざまなメディアに取り上げられている。

http://cataract.eye-care-clinic.jp/

著者紹介

連載40代でも発症する目の疾患「白内障」の基礎知識