医療分野でも活躍!レーザーメスを使用した最新「白内障手術」

本連載では、白内障治療に強みをもつ、アイケアクリニック院長の佐藤香氏が、白内障の基本的な症状や治療法を解説します。今回は、レーザーメスを使用した最新「白内障手術」について見ていきます。

安全かつ高度な手術を実現させる「レンズエックス」

医療の分野で使われるレーザーメスの一種「フェムトセカンドレーザー」を、白内障手術に応用できる手術機器LenSx(以下、レンズエックスと表記)。その登場によって、白内障手術がより安全で精度の高いものになりました。

 

当院では、2014年に厚生労働省の認可が下りてすぐに導入したため、機器の使用に習熟しています。今回は、レンズエックスの特徴を紹介します。

 

◆白内障手術に、新しい時代の幕を開けたレンズエックス

 

 

フェムトセカンドレーザーは、1000分の1(フェムト)秒(セカンド)という短い時間でレーザーを照射し、ミクロン単位の精密な作業を行えるレーザーです。医療の分野にも応用され、眼科領域ではレーシックや角膜移植などに使用されてきました。

 

2008年ごろ、ヨーロッパではじめて、フェムトセカンドレーザーを用いた白内障手術が行われました。フェムトセカンドレーザーを手術の一部に使った白内障手術をFLACS(Femtosecond Laser-Assisted Cataract Surgery)といい、日本では一般的にレーザー白内障手術と呼んでいます。この手術をするために開発されたのが、アルコン社のレンズエックスです。レンズエックスが普及し始めたことで、さらに安全かつ高度な白内障手術を行えるようになりました。

 

◆レンズエックスのメリット

 

白内障手術において、フェムトセカンドレーザーを使用できる機器はレンズエックスのほかにもあり、日本ではエイエムオー・ジャパン株式会社(本社・アメリカ)のCATALYS(以下、カタリスと表記)が認可されています。カタリスも優れた手術機器ですが、当院はレンズエックスを導入しています。その理由を以下に説明します。

 

●OCT画像が見やすい

 

レーザー白内障手術では、手術中にOCT(光干渉断層計)で目の形状を3D解析し、照射する位置を定めます。OCTとは、光を使って目の断面図を撮影できる装置です。カタリスにもOCTの機能はありますが、レンズエックスで撮影した画像はとてもきれいなため、手術計画を立てる上で非常に役立ちます。

 

●ほかの機器と連携が取れ、乱視矯正も自動でできる

 

また、レンズエックスはCRS(The Cataract Refractive Suite)という、アルコン社が提供する白内障手術の機器一式と連携を取ることができます。

 

難しい乱視矯正も、乱視軸を特定する「VERION(べリオン)」や、最適な眼内レンズ度数を決定したり、レンズの固定位置を指示できたりする「ORA(オラ)」と組み合わせると、高い精度で行うことが可能です。

 

一方、カタリスは単品でしか使用することができません。特に乱視を矯正する場合には、レンズエックスのほうが高いパフォーマンスを期待できます。

 

濁った水晶体の中身を取りだし、眼内レンズを挿入する白内障手術だけなら、カタリスでも、あるいは熟練した医師によるマニュアル手術(手術の工程をすべて医師の手で行う方法)であっても問題ないでしょう。

 

しかし、医師の熟練度によらない正確な手術、乱視を矯正するための切開位置や眼内レンズの位置を決定する機器との連携など、あらゆる面で白内障手術の精度を高めようとするなら、レンズエックスを使用することが最善の選択といえるのではないでしょうか。

 

 

他機器との組み合わせで、より精度の高い手術が可能に

◆レーザー白内障手術の効果をさらに高める「VERION(ベリオン)」と「ORA(オラ)」

 

1000兆分の1秒という超高速で組織を切断するフェムトセカンドレーザーを、白内障手術に応用したアルコン社の白内障手術機器「レンズエックス」。それだけでも非常に高度な白内障手術を行うことができますが、「VERION(べリオン)」や「ORA(オラ)」といったほかの機器と組み合わせることで、より精度の高い手術が可能になります。

 

◆綿密な手術プランを提示する「ベリオン」

 

白内障の手術の効果を最大限に高めるには、適正な切開位置や眼内レンズの位置などに関する綿密なプランを立て、その通りに実施していくことが重要です。

 

ところが、医師が手で行うマニュアル手術では、どんなに綿密な検査をしてプランを練っても、切開や眼内レンズを入れる位置については、最終的に医師の感覚に頼るほかありません。

 

そのため、眼内レンズの中心位置がズレてしまうことがあり、「見え方がよくなると信じて手術に踏み切ったのに、思ったような効果が得られない」という事態が起こりかねません。

 

特に、乱視がある場合は、乱視軸に合った角度で眼内レンズを入れないと、十分な矯正効果が得られなくなってしまいます。非常に熟練した医師でなければ、正確なレンズ挿入はなかなか難しいところがあります。

 

このような問題に対応できる機器がベリオンです。角膜の歪みや、正確な眼内レンズ挿入の位置を計測し、手術中にガイドしてくれます。

 

測定した乱視軸のデータをベリオンに入れておくと、手術の際に分析し、切開創の位置や、乱視軸、眼内レンズの中心位置などを大画面のモニターに表示してくれるのです。

 

べリオンの手術中画面。常に計測を行い、切開の位置や眼内レンズの位置をガイドする。
べリオンの手術中画面。常に計測を行い、切開の位置や眼内レンズの位置をガイドする。

 

◆手術の現場で臨機応変に対応するための「オラ」

 

手術の場合、どれほど綿密な計画を立てたとしても、それは机上のプランにすぎないという側面があります。実際に手術をしてみたが、考えていた通りにならなかったということも、ゼロではありません。たとえば、白内障の手術と同時に乱視の矯正をする場合、角膜に切開創ができたことで、乱視の軸や度数が変わってしまうこともあるのです。

 

切開創を作ったことによって、事前予測とは違った状態になることも、ないとはいい切れません。そのような場合、臨機応変に対応するために欠かせないのが、手術中の目の状態を正確に計測する機器です。

 

当院では、「オラ」という機器を導入して対応しています。「オラ」は眼内レンズを挿入する軸が、本当にその場所で正しいのかを測定するだけでなく、改めて角膜の形状を計算し、予定していた眼内レンズが妥当か、妥当でないの場合はどの眼内レンズを入れるべきかという選定までも、手術中に行います。

 

これにより、患者さんにとってベストな手術を行えます。「ベリオン」も「オラ」も、手術の精度を向上させるために、とても役立つ機器です。

 

現在、日本で導入している施設は20~30にとどまるようですが、良好な視力回復を実現するためには、これらの機器を取り入れているクリニックで手術することをおすすめします。

 

 

佐藤 香

アイケアクリニック院長

医療法人トータルアイケア理事

アイケアクリニック銀座院副院長 医師

 

 

アイケアクリニック 院長
アイケアクリニック銀座院 院長 

集中力を要する緻密な作業を得意とし、特に最先端の白内障レーザー手術において抜群の治療実績を誇る。そのほか、網膜硝子体や緑内障の手術も担当。
まぶたの手術やボトックス注射など、眼科医としての視点を活かした目周りの美容にも注力。また、校医を務めるなど、地元住民のかかりつけ医として地域医療にも貢献している。
日々のちょっとした悩み相談から高度な治療まで、総合的な目のケアー「トータルアイケア」の提供を目指す。
現在、注目の眼科女医として、テレビやラジオ、新聞、雑誌などさまざまなメディアに取り上げられている。

http://cataract.eye-care-clinic.jp/

著者紹介

連載40代でも発症する目の疾患「白内障」の基礎知識