術後10分で帰宅できる!?「白内障手術」が進化した背景

本連載では、白内障治療に強みをもつ、アイケアクリニック院長の佐藤香氏が、白内障の基本的な症状や治療法を解説します。今回は、「白内障手術」が進化した背景について見ていきます。

「合併症リスク」が高かった白内障手術だが…

白内障手術の進歩に伴って、施術を日帰りで行うことが一般的になってきました。近年では、本人の希望で両眼同時の手術も多く行われるようになり、忙しいビジネスマンを中心に、ポピュラーになりつつあります。

 

21世紀のはじめ、白内障手術は入院して受けるのが常でした。それが現在では、日帰り手術が一般的になりつつあります。それは白内障手術が、患者さんの負担が少なくなるように進化を遂げたからです。

 

◆以前は角膜を大きく切開したため、合併症のリスクが高かった

 

15年ほど前、白内障手術は濁った水晶体をふくろごと摘出する手術が行われていました。また、ふくろを残して眼内レンズを挿入する場合でも、レンズをそのままの形で入れなければならないため、角膜を大きく切開(11~12㎜)する必要がありました。

 

当然、縫合が必要だったため、術後の出血が多く、細菌感染などの合併症のリスクが高い手術でした。入院して、絶対安静を保つための術後管理をしっかり行う必要があったのです。

 

◆小切開での手術が可能になり、合併症のリスクが劇的に低下

 

ところが、眼科領域の医療技術は素晴らしい勢いで進化しました。水晶体を細かく砕いて吸引する超音波乳化吸引術が普及したことで、水晶体をそのままの形で摘出する必要がなくなりました。さらに、折りたたんだまま入れられる眼内レンズが登場したため、切開創が小さくても、手術ができるようになりました。以前は少なくとも10㎜は必要だった切開創が、6㎜、3㎜と小さくなりました。

 

3㎜前後まで切開創を小さくした白内障手術を「小切開白内障手術」と呼び、現在かなり普及してきています。さらに2㎜前後まで小さくした「極小切開白内障手術」も、広まりつつあります。

 

 

角膜の切開創が小さくなったことで、手術による出血が減っただけでなく、術後の傷口の縫合が不要になり、術後眼内炎などの合併症のリスクが劇的に下がりました。つまり、入院による術後管理が必要なくなったのです。

 

◆白内障手術の進化で患者さんの社会復帰も早まった

 

白内障手術が進化していった結果、現在では日帰りで片眼ずつ、2回にわけて手術を行うのが一般的になりました。入院して絶対安静にする必要もなく、また手術が大掛かりだったころに比べて合併症のリスクも低下したため、回復も早く、患者さんの社会復帰も早期にできるようになりました。

両眼同時手術でも日帰り可能!翌日からクリアな視界に

◆両眼同時手術でもすぐに見えるようになった

 

さらにここ2~3年、両眼同時手術も増えてきています。同時に手術をしたからといって、「その日は目が見えない」ということはありませんので、ご安心ください。また、体への負担が増えるということもありません。

 

片眼の手術と同じように、手術後10分ほど休んだあと、帰ることができます。手術直後は瞳孔が広がった状態なので、見え方が鮮明ではありませんが、歩けないようなことはありませんし、4~5時間でもとに戻ります。

 

両眼同時手術は1回ですむので、忙しいビジネスマンや、地方から手術のために上京して来る人に人気の手術です。手術翌日は術後検査のために来院する必要がありますが、翌々日の検査は、勤務先や自宅近くの眼科で受けられます。

 

◆自動車の運転も、術後の回復次第で自由に行える

 

自動車の運転についても、「手術後、何日以上たってから」などの基準はありません。運転するのに差し支えない程度に目が見えていれば、翌日から行えます。

 

両眼同時手術の場合、手術翌日から希望された視力が出るようになるため、手術の効果を感じやすいようです。手術した人の多くが「こんなに目がよく見えるなんて、感動しました!」と言葉を残しています。みなさんも、ぜひその感動を味わってほしいと思います。

 

 

佐藤 香

アイケアクリニック院長

医療法人トータルアイケア理事

アイケアクリニック銀座院副院長 医師

 

アイケアクリニック院長
医療法人トータルアイケア理事
アイケアクリニック銀座院副院長 医師

獨協医大越谷病院・眼科専門外来として、黄斑外来・緑内障外来・糖尿病レーザー外来・PDT外来・硝子体内注射外来等を担当しながら、栗原眼科にも勤務。
白内障や眼瞼、結膜疾患の手術を中心に担当。その後、八潮中央総合病院眼科医長として、白内障、眼瞼、結膜疾患だけでなく緑内障手術、網膜硝子体手術、硝子体内注射など幅広く手術も行いながら、外来診療では地域住民のかかりつけ医として地域医療にも貢献している。

http://cataract.eye-care-clinic.jp/

著者紹介

連載40代でも発症する目の疾患「白内障」の基礎知識

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