白内障手術後に発症?「目が見えづらくなる」症状の原因とは

本連載では、白内障治療に強みをもつ、アイケアクリニック院長の佐藤香氏が、白内障の基本的な症状や治療法を解説します。今回は、白内障手術後に「目が見えづらくなる」症状の原因について見ていきます。

光が乱反射して、見えづらくなる「ハロー・グレア」

白内障手術後に起こる症状として、ハロー・グレアがあります。白内障の手術で眼内レンズを挿入したことにより、車のヘッドライトや街灯などの光が乱反射してしまい、光に輪がかかるようににじんで見えたり、光がぎらついて見えづらくなる現象をいいます。多焦点眼内レンズを使用する場合に起こりやすい症状ですが、最近ではハロー・グレアがでにくい多焦点眼内レンズも登場してきました。

 

◆光の見え方に変化を感じるハロー・グレア

 

ハローによって街灯などの光の周囲にボヤっとした光の輪のようなものが現れたり、グレアによって車のヘッドライトのような強い光がぎらつくような見え方が現れることがあります。
ハローによって街灯などの光の周囲にボヤっとした光の輪のようなものが現れたり、グレアによって車のヘッドライトの強い光がぎらついて見えたりすることがあります。

 

光がにじんで広がり、光の周りにリング状のもやがかかったように見える現象を「ハロー現象」、光がぎらついたり伸びたりして、まぶしく見える現象を「グレア現象」といいます。ともに、白内障手術後に起こりやすい症状として知られています。

 

通常だと、時間の経過とともに症状が軽快しますし、症状が続いても、慣れて気にならなくなる人がほとんどです。しかし、見えづらさを感じるようになる症状ですので、手術後すぐに夜間の運転をしなければならない事情のある人には、心配な現象でしょう。

 

◆ハロー・グレアはなぜ起こるのか?

 

この現象は、白内障の眼内レンズの場合、複数の場所に焦点を合わせることのできる多焦点眼内レンズを使用した際に起こりやすいです。

 

構造上、光の焦点が複数の場所に分散し、乱反射が起こりやすくなるため、こうした現象が発生するのです。裸眼でクリアに見える範囲が広がるという点において、多焦点眼内レンズは優れたレンズですが、こうしたデメリットも生じる可能性があることには、留意すべきでしょう。

 

なお、眼内レンズのメーカーもこの症状を解決しようと研究を続けており、最近登場した焦点深度拡張型(Extended Depth of Focus:EDOF)の眼内レンズは、比較的ハロー・グレアがでにくくなっています。

ものが二重に見える「ゴースト」現象が起こることも

◆ハロー・グレアが起こりやすいレンズ=ダメなレンズではない

 

ハロー・グレアのほかに、ものが二重に見える「ゴースト」という現象が起こりやすい多焦点眼内レンズもあります。とはいえ、ハロー・グレアやゴーストが発生するから、そのレンズは性能がよくないというわけではありません。

 

ゴーストが出現しやすいことで知られているのは、レンティスMプラスというレンズです。しかし、このレンズは見え方がクリアで、単焦点に近い精度で近くも遠くもはっきりと見ることができます。さらに、乱視矯正ができるトーリックタイプもあるなど、たくさんのメリットがあります。

 

ゴーストが起こるかどうかは入れてみるまでわかりませんが、多少のゴーストがあっても、満足できる見え方になる可能性の高いレンズです。またハロー・グレア同様、しばらく経つと症状が治まったり、ものの見え方に目(脳)が慣れてきて気にならなくなることが多いので、症状がでてもしばらくは様子見です。

 

ただし、症状がいつまでも続いたり、生活上の不快感を覚えたり、不都合なことが多いと感じたりする場合は、本人の希望次第でレンズを入れ替えることもあります。

 

◆ライフスタイルに合ったレンズの選定が重要

 

眼内レンズに絶対的な優劣というものはありません。それぞれ長所と短所があります。そのため、選ぶ基準はただ1つしかありません。「その人のライフスタイルに合った眼内レンズを選ぶ」ということです。

 

ハロー・グレアは、夜間の光を見たときに出現する現象ですので、夜、外にでていることがほとんどない人の場合、生活に支障をきたすことはまずありません。また、個人の感じ方の違いもありますので、症状が強くても、特に気にならない人もいるようです。

 

しかし、常日頃から夜間に運転をする人は、不快感に悩むことが多くなるかもしれませんし、事故につながりかねないと感じるほどであれば、それは重大な症状といえます。ですから、自分に合った眼内レンズを選ぶことが、何よりも大切なのです。

 

とはいえ、個々のレンズの特性を知って、自らレンズ選びをすることは難しいでしょう。入念なカウンセリングを行い、ライフスタイルに関するヒアリングをした上で、適切なレンズの紹介や説明してくれる眼科選びをしてください。

 

 

佐藤 香

アイケアクリニック院長

医療法人トータルアイケア理事

アイケアクリニック銀座院副院長 医師

 

 

アイケアクリニック 院長
アイケアクリニック銀座院 院長 

集中力を要する緻密な作業を得意とし、特に最先端の白内障レーザー手術において抜群の治療実績を誇る。そのほか、網膜硝子体や緑内障の手術も担当。
まぶたの手術やボトックス注射など、眼科医としての視点を活かした目周りの美容にも注力。また、校医を務めるなど、地元住民のかかりつけ医として地域医療にも貢献している。
日々のちょっとした悩み相談から高度な治療まで、総合的な目のケアー「トータルアイケア」の提供を目指す。
現在、注目の眼科女医として、テレビやラジオ、新聞、雑誌などさまざまなメディアに取り上げられている。

http://cataract.eye-care-clinic.jp/

著者紹介

連載40代でも発症する目の疾患「白内障」の基礎知識