眼科の受診は必要?「目の不具合」の原因・症状と治療法

「モノがぼやけて見える」「目がかすむ」「光がいつもよりもまぶしい」など、気にはなりつつも、見過ごしてしまっている「目」についての悩みはないでしょうか。そんな悩みを抱えたままでは、日々の不安が募るばかりです。本連載では、白内障・緑内障・網膜剥離手術に強みをもつ、はんがい眼科・院長の板谷正紀氏が、眼病の症状やその対処法について解説します。

「見るための仕組み」が不具合を起こす場合

目が見えにくくなったり、涙が流れ落ちたり、まぶたが下がってきたり、目のトラブルはさまざまで、いくつも目の悩みを抱えている人も多くいることでしょう。なんでこんなに苦労するんだろうと感じている人もいるはずです。

 

目は、顔の中心に位置して表情をつくり、常にものを見るなかで意識されている存在でもあり、ちょっとしたことで気になる敏感な存在でもあります。目は小さいですが、ものを見るためにとても精緻な仕組みを持つ“宇宙空間”なのです。

 

その精緻な構造とは、ものを見るためにつくられた仕組みと、目を守るためにつくられた仕組みにわけられます。

 

ものを見る仕組みは、おおまかには、光を網膜の中心である黄斑(おうはん)に集めてピントを合わせる構造と、光の映像シグナルを網膜で電気シグナルに変えて脳にまで伝える構造の2つからできています。

 

もう1つの目を守る仕組みとは、まぶたや涙の膜によって構成されるものです。まぶたや涙の膜は、水中から陸に上がった動物たちが、乾きやすく、ゴミや虫などが入りやすい劣悪な環境から、透明な組織である目を守るために進化したものです。網膜も脳の一部となる中枢神経ですが、ものを見るために頭蓋骨からでて身体の表面に近づきました。

 

ものを見るというたった1つの素晴らしい能力のために、精緻な仕組みが進化して今の我々があるのです。目のトラブルは、その裏返しであり、払わざるを得ない代償ということもできます。

 

今回の記事は、目のトラブルの成り立ちを整理し、もやもやした気持ちを払拭して、解決に向けた前向きな行動を取ってもらう一助として、ぜひ参考にしてください。

 

目がものを見るための仕組み
目がものを見るための仕組み

 

ものを見るための仕組みは、2つにわけることができます。

 

1つは、目に入る光を透明な組織である角膜、前房、水晶体、硝子体が100%通過させて、網膜の中心部である黄斑にピントを結ぶという仕組みです。もう1つは、網膜に届いた光の情報を電気シグナルに変換し、視神経を通じて脳へと届け、映像化するという仕組みです。

 

まずは、目に入った光が網膜のある眼底に届かなくなる事態はどうして起こるのか、説明します。

 

◆光が眼底にうまく届かなくなる場合

 

●目は唯一の透明な組織

 

目というのは、人体で唯一の透明な組織です。目が透明であるからこそ、光が網膜まで届いて、ものを見ることができます。

 

目はたくさんの組織で構成されていますが、そのなかで透明なのは角膜、前房、水晶体、硝子体の4つです。光が眼底に届かなくなる病気には、これら4つの組織のうちのどこかに問題が起きていると考えて、まず間違いありません。その代表的な例を紹介します。

 

●角膜に原因がある場合① ドライアイによる目のかすみ

 

涙の膜は、角膜を守る大事な組織です。角膜を守っている涙の膜が壊れると、たちまち角膜が傷ついてしまいます。すると、すりガラスを通して見ているようになり、目のかすみを感じるようになります。ドライアイの症状の1つです。

 

ドライアイは、目を守るための涙の膜が壊れるという不具合でもありますが(あとでもう一度登場します)、ものを見る仕組みにも不具合をきたす、とてもやっかいな病気です。

 

軽視してはいけませんので、症状がでたときは市販の目薬だけに頼らず、眼科を受診して適切な治療を受けてください。

 

●角膜に原因がある場合② 角膜感染症

 

角膜に何らかの理由で傷がつくと、ウイルスや細菌などに感染しやすくなります。すると、炎症を起こし、目の痛みや異物感、充血、腫れなどを引き起こします。また、角膜を白く濁らせて、視力低下をまねくこともあります。

 

感染症の種類には、何種類もの細菌が原因になりうる細菌性角膜炎、カビ(真菌)が原因になる真菌性角膜炎、池や沼などに広く棲息するアカントアメーバが原因となるアカントアメーバ角膜炎、乳幼児に感染して体内に潜んでいるヘルペスウイルスが引き起こすヘルペス性角膜炎などがあります。

 

ヘルペス性角膜炎以外は、コンタクトレンズ使用者に発症することが多く、決められた取り扱いをせず、レンズを清潔に保てなかったことによる感染が多いです。

 

炎症で角膜が濁るともとに戻すことができませんし、場合によっては失明の危険もある病気ですので、自覚症状があったら、早めに眼科を受診し、正しい治療を行う必要があります。

 

●角膜に原因がある場合③ 角膜内皮障害

 

角膜は5層の組織でできていますが、そのなかで最も内側にある角膜内皮という組織は、何らかの障害が発生して細胞が壊れると、周囲の細胞が穴埋めをすることで機能を維持します。新たに細胞を増やすことはでないため、内皮組織はどんどん薄くなっていきます。

 

障害が大きくなって細胞が少なくなると、むくみが起きて角膜が濁り、角膜の透明性が維持できなくなることがあります。これは水疱性角膜症といい、重症の場合は角膜移植の手術が必要になります。

 

原因はいくつかありますが、やはりコンタクトレンズのケアがうまくなかったり、感染症で組織が壊されたりすることで発症します。

 

症状が軽ければ、薬だけでむくみを緩和させて経過を見守りますが、重症の場合は、先ほど述べたように、角膜移植をする手術を施すこともあります。

 

●水晶体に原因がある場合=白内障

 

白内障は、水晶体に濁りが生じる病気です。加齢とともに濁りが強くなる加齢性白内障がもっとも多く、80代ではほとんどの人が発症します。

 

水晶体に濁りが発生することで、ものがかすんで見えたり、目に入った光が拡散されたように乱反射してまぶしいと感じるようになります。ほかにも、ものがダブって見えるなどの症状があります。手術で治すことができるので、もし自覚症状があったら近くの眼科に相談してみてください。

 

白内障の目
白内障の目

 

●硝子体に原因がある場合=後部硝子体剥離

 

硝子体は加齢によって性質がゼリー状から液状に変わっていきます。その過程で組織が収縮し、眼底から剥がれてしまうことがあり、これを後部硝子体剥離といいます。

 

成分が変わって濁った部分が網膜に影を落として飛蚊症(ひぶんしょう)の症状が現れることがありますが、それだけならただの老化現象として放っておいても大きな問題はありません。

 

問題があるのは、硝子体が眼底から離れるときに、網膜もくっついて引っ張ってしまう場合です。この場合、網膜が破れて網膜裂孔(もうまくれっこう)となり、ひどいときは網膜剥離(もうまくはくり)になることもあります。

 

後部硝子体剥離だけならいいのですが、場合によってはこうした眼病を併発することがありますので、必ず眼科で眼底の検査をし、詳しい状態を調べるようにしてください。

 

●ぶどう膜に原因がある場合=ぶどう膜炎

 

ぶどう膜とは、目のなかの虹彩(こうさい)と毛様体、脈絡膜の3つを合わせた組織のことで、眼球を覆っている膜のなかの1つです。色がぶどうに似ていることから名づけられた組織です。

 

眼内に炎症を起こす代表的な組織ですので、かつてはぶどう膜炎のことを“眼内炎”と呼んでいました。ここに炎症が起こることで、透明な組織である前房や硝子体に、透明でない炎症性の細胞が入り込んでしまい、飛蚊症の症状や目のかすみを引き起こします。

 

炎症の原因はさまざまですが、原因不明の多臓器疾患を起こす難病である、サルコイドーシスなどで、全身が免疫疾患となり、引き起こされることが多いです。

 

●屈折や調節に原因がある場合=近視、遠視、乱視、老視

 

光がうまく眼底に届かないという意味では、屈折異常である近視や遠視、乱視、そしてピント調節異常である老視も、ものを見る仕組みの不具合です。

 

ほとんどの場合、メガネやコンタクトレンズなどで矯正し、視力をだすことができますが、角膜の不正乱視は矯正が難しく、ハードコンタクトレンズによってのみ矯正が可能です。

 

近視や遠視などの屈折異常は、目の奥行きの長さ(眼軸長)の違いで起こります
近視や遠視などの屈折異常は、目の奥行きの長さ(眼軸長)の違いで起こります

 

◆脳に上手く映像が伝えられない場合

 

目に光が入り、眼底にある網膜に届くと、網膜はその光が持つ情報を電気信号へと変換します。網膜によって変換された電気信号は、視神経を通って脳へと到達し、再び映像として再現されます。

 

そこで初めて、今見ているものが何なのかを識別できます。つまり、目に入った光が網膜上に届いたとしても、網膜や視神経に問題があると、うまく脳に信号を送れないし、脳そのものに異常があったときは、信号が持つ情報を認識できないので、ものを見ることができないのです。

 

ここでは、目に入った光が眼底に届いてから発生する病気について、紹介していきます。

 

●網膜に異常がある場合① 網膜裂孔(もうまくれっこう)・網膜剥離(もうまくはくり)

 

網膜の病気はたくさんありますが、まずは網膜が破れて孔(あな)があいてしまう網膜裂孔と、網膜裂孔から進行して起こりやすい網膜剥離を解説します。

 

先ほども硝子体について述べたときに触れましたが、後部硝子体剥離のため、離れていく硝子体に引っ張られ、孔があくのが網膜裂孔です。後部硝子体剥離は加齢で起こるため、網膜裂孔も50代で起こりやすくなります。

 

このとき、硝子体はゼリー状から液状に変性してしまっており、網膜にできた孔から裏側にその水が入り込んで、網膜を剥がしていってしまいます。こうして網膜剥離が進行します。

 

そのため、後部硝子体剥離の自覚症状である飛蚊症などがあったら、すぐに眼底を検査して、目の状態を詳しく知っておくことが大切になります。もし網膜裂孔が起きていても、そこで発見できれば、治療はだいぶ楽になります。

 

しかし、症状が進んで網膜剥離まで起きてしまっていたら、かなり大変な治療になります。

 

 網膜に孔(あな)が開き、そこから水が入り込んで網膜剥離に進行することがあります

網膜に孔(あな)が開き、そこから水が入り込んで網膜剥離に進行することがあります

 

●網膜に異常がある場合② 加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)

 

網膜の中心にあり、視力の大部分を生みだす部分を黄斑(おうはん)といいます。この黄斑が加齢によってダメージを受けて、形状が変わってしまう病気を加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)といいます。ものの見え方がゆがんだり、視界の中心部が暗くなったりする症状がでます。

 

日本では比較的発症が少なかったのですが、欧米では成人の失明原因第1位です。近年では日本でも増加傾向にあり、失明原因の第4位になっています。

 

加齢黄斑変性はさらに、加齢とともに網膜の組織が委縮する“委縮型”と、網膜の下にもろい新生血管ができるようになって、その新生血管から漏れでた成分や血液が黄斑にダメージを与える“滲出型”にわけられます。

 

委縮型は進行が遅く、すぐに視力がなくなることはありませんが、治療法がありません。滲出型は、新生血管の発生を抑える薬(抗VEGF薬)を注射したり、レーザーで新生血管を焼く光凝固術などで治療したりします。

 

黄斑にはほかにも、黄斑円孔や黄斑前膜などの病気が知られており、どれもものがゆがんで見える変視症(へんししょう)や、視力低下をまねきます。ものがゆがんで見えるようなことがあったら、すぐに眼科を受診してください。

 

●網膜に異常がある場合③ 糖尿病網膜症

 

糖尿病は合併症が怖い病気です。なかでも「糖尿病腎症」、「糖尿病神経障害」に加え、「糖尿病網膜症」は、健康に著しい悪影響を及ぼす糖尿病特有の3大合併症といわれています。糖尿病を発症してから10年ほどで起こりやすいため、注意が必要です。

 

糖尿病網膜症は、日本での失明原因第2位となっています。どの合併症も、糖尿病によって毛細血管がつまりやすくなり、栄養や酸素が十分に行きわたらなくなることで、それを補おうともろくて弱い新生血管が大量に発生することで症状が引き起こされます。目のなかに新生血管が大量発生することで、網膜にダメージを与えてしまうのです。

 

治療は加齢黄斑変性の滲出型と同じく、レーザーによる光凝固や、抗VEGF薬を注射するなどして、新生血管をなくすことで症状を改善します。

 

●視神経に異常がある場合① 緑内障

 

緑内障は日本で失明原因の第1位となっている病気です。視神経がダメージを受けることで、徐々に視野が狭まって、やがてすべて見えなくなってしまいます。

 

視神経にダメージを与える原因は、眼圧であると考えられています。そのため、眼圧を高める原因をなくすことができれば、症状の進行を食い止めることができます。

 

しかし、緑内障の約7割は正常な眼圧で起きています。その場合でも、眼圧を下げることで症状の進行を抑えられることが多いため、治療は眼圧を下げる薬を処方して、経過を観察する方法をとります。

 

●視神経に異常がある場合② 視神経症

 

視神経が何らかの理由でダメージを受け、視野欠損などの視覚障害が生じる病気です。原因が特定できることもありますが、特定できないことも多く、治療が難しい場合があります。

 

視野障害が起きて視神経症の可能性が考えられたら、磁気によって臓器や血管を撮影するMRIによる検査や、血液検査、髄液検査などを必要に応じて行います。視神経に栄養を運ぶ血管に問題があるのか、免疫機能に問題があるのか、視神経が脳につながる中枢神経ですので、原因を探るには多角的に検査をしていく必要があります。

 

●脳に異常がある場合=脳梗塞・脳腫瘍など

 

脳梗塞や脳腫瘍などで、眼球への血流が滞ったり、視覚を司る脳の部位がダメージを受けて、視力が低下してしまうことがあります。視力の低下で眼科を受診したら、実は・・・という形で発見されることもあります。

 

命にかかわる重大な病気ですので、発見したらすみやかに脳神経外科を受診してください。

 

●左右の目を協働させる筋肉や中心神経に異常がある場合

 

ものを見るとき、左右の目は一緒に動きます。ところが、目を動かす筋肉や、その筋肉を操る神経に異常があると、左右の目がうまく一緒に動かなくなります。

 

何かを見ようと集中していても左右の目の位置がズレてしまう症状を「斜視」、ボーっとしている場合にズレてしまう症状を「斜位」といいます。斜位の場合は、ものを見ようと集中していれば、左右の目が同じ方向を向くので視力の問題はそれほどありません。

 

しかし斜視になると、ものがダブって見える複視の症状が現れることがあります。手術で治療をすることもありますが、プリズムを入れたメガネで矯正することで視力をだす場合もあります。

 

ここまでは、ものを見る仕組みに不具合がでる病気について紹介しました。失明につながる深刻な病気も多く、少しでも自覚症状を感じることがあったら、すみやかに眼科を受診してください。

 

では、次からは眼球を守る仕組みに不具合を起こす病気について、紹介します。

「眼球を守る仕組み」に不具合を起こす場合

目は唯一の透明な組織です。透明でなければ、うまくものを見ることはできません。

 

生物が陸上に進出してから、目は多くの危険にさらされるようになりました。細菌やウイルスなどの微生物、ゴミ、それに水分を奪って乾燥させていく空気などです。これらの危険から目の組織を守るために、涙の膜やまぶたが進化していきました。

 

このような眼球を守るための仕組みに不具合が生じると、すぐに視力が低下するわけではありませんが、強い不快感や痛みなどで、日常生活を安心して過ごせなくなります。これから紹介するような症状がでたら、1日も早く快適な日常を取り戻すため、すぐに近くの眼科を受診して正しい治療を受けてください。

 

●まぶたに異常がある場合=麦粒腫(ばくりゅうしゅ)、眼瞼下垂(がんけんかすい)など

 

麦粒腫(ばくりゅうしゅ)は一般的に“ものもらい”と呼ばれている病気です。細菌感染によって、まぶたにできものができ、かゆみや痛みが生じます。治療には抗生物質などを処方しますが、症状によっては、膿をだすために切開することもあります。

 

まぶたのできものとしては、ほかにも霰粒腫(さんりゅうしゅ:まぶたのマイボーム腺という部分が炎症を起こすことで生じるできもの)があります。

 

また、まぶたの病気として眼瞼下垂(がんけんかすい)や片側眼瞼痙攣(がんけんけいれん)など、まぶたが正常に開け閉めできなくなる病気があります。

 

どちらもまぶたを動かす筋肉をあやつる神経に異常があります。完全に治すことは難しいですが、ボツリヌス毒素を応用した薬でまぶたを閉じる力を弱め、症状が緩和されます。

 

麦粒腫
麦粒腫

 

●結膜に異常がある場合=アレルギー性結膜疾患、ウイルス性結膜炎など

 

白目の部分(強膜)を覆っている結膜は、眼球を守る膜の1つです。外気と接する部分であるため、外部からもたらされた影響で問題が起こります。

 

そのうちの1つ、アレルギー性結膜疾患は、アレルギーで起こる目の症状で、強いかゆみや、ゴロゴロした異物感を生じさせます。治療には、抗アレルギー薬を処方します。

 

ウイルス性結膜炎は、ウイルスによって結膜に炎症が起こる病気の総称です。アデノウイルスに感染することで起こる流行性角結膜炎(“はやり目”とも呼ばれます)などがあります。特効薬はありませんので、治療では、炎症を抑える薬を処方しつつ、体内でウイルスに対抗する抗体ができるのを待ちます。

 

◆強膜に異常がある場合=強膜炎など

 

目を覆う白い乳白色の膜は、強膜といいます。硬くて丈夫な組織であり、病気になることも少ないのですが、まれに強い炎症が起こることがあります。この強膜炎は、関節リウマチなどの自己免疫疾患の患者に起きやすい病気ですが、半分は原因不明となっています。

 

目の奥にうずくような痛みが起きて、睡眠不足や食欲不振を引き起こすのが主な症状です。治療では薬を処方することが多いものの、炎症が強すぎて孔があいてしまう穿孔(せんこう)のリスクがある場合は、手術を行うこともあります。

 

◆涙腺に異常がある場合=ドライアイ、特にシェーグレン症候群など

 

涙の膜は、目を保護している大事な組織です。この涙の分泌が少なくなったり、成分に異常が起きた結果乾燥しやすくなったりして、十分に目を守れなくなってしまう状態のことをドライアイといいます。

 

原因はさまざまなものが考えられますが、加齢やコンタクトレンズの使用、喫煙による涙の質の低下などで起こりやすくなります。また、特殊な自己免疫疾患であるシェーグレン症候群により、唾液や涙が分泌されなくなって強いドライアイになることがあります。

 

治療には、目薬を処方するほか、涙の出口の部分に涙点プラグという器具で栓をする方法もあります。いずれにせよ、目の乾燥を招くような生活習慣や環境を改めることで、症状の改善や予防にもつながります。

 

●涙道に異常がある場合=涙道閉塞など

 

涙は涙腺で作られ、上涙点という入り口から目に入り、下涙点という出口から再び体内に戻っていきます。体内に戻った涙は、涙小管、涙嚢という器官を通って、鼻に排出されます。これら涙が通る器官を涙道といいますが、この部分が閉塞してしまうことがあります。

 

そうすると、ドライアイとは逆に、涙目になってしまいます。また、閉塞することで涙の流れが悪くなり、涙嚢に溜まった涙が細菌に感染して涙嚢炎が起こることもあります。治療には、涙道を拡張する手術が必要になります。

 

◆眼窩(がんか)に異常がある場合=眼窩蜂窩織炎(がんかほうかしきえん)など

 

眼球が収まっている頭蓋骨のスペースを、眼窩(がんか)といいます。この部分が細菌に感染して炎症を起こしてしまうことを、眼窩蜂窩織炎(がんかほうかしきえん)と呼びます。

 

症状は、腫れによる眼球の突出、眼球運動の不具合、発熱などが起き、すぐに治療しないと視覚が損なわれることもあります。治療には、抗菌薬を使用します。腫れがひどく、治療に一刻を争うときは、外科手術によって膿を取りだすこともあります。

リスクヘッジは、眼科での検査がベスト

失明の可能性がある重いものから、かゆみが生じる程度の軽いものまで合わせると、目だけでも非常にたくさんの病気があるのです。

 

今回紹介したのは、目の病気のほんの一部にしか過ぎません。

 

目自体に問題がある場合はもちろんですが、身体というのは様々な箇所でつながっていて、そのどこかに問題があると、視覚にも異常をきたす可能性があります。日頃からしっかりと目を労ることを心がけ、同時に生活習慣にも気を配りましょう。

 

さらに、定期的な眼科検診を受けることも、病気の早期発見にとっては大変有効です。ひっそりと身を潜め、ある日満を持したとばかりに突然現れ、失明までのカウントダウンが始まる眼病もあります。

 

普通に生活をしているだけでは、自分で気づくのは至難の技です。最終的なリスクヘッジは、やはり眼科での精査に限ります。

 

★板谷院長のひとことアドバイス

 

目はピンポン球くらいの小さな存在ですが、ものを見るための精巧な仕組みがぎっしり詰まっていて、まるで1つの生き物のようです。乾燥に弱く、身体の影響も受けやすい存在です。それゆえ、何か1つが狂うと見えにくくなります。目の健康を守りましょう。

 

★まとめ

●目の病気は、ものを見る仕組みの不具合と、目を守る仕組みの不具合に大きくわけることができます。

●ものを見る仕組みは、さらに、網膜のある眼底に光をうまく届ける構造と、網膜に届いた光の情報を脳に正しく届ける構造の2つにわけることができます。

●詳しい検査でようやく病気の正体がわかり、正しい治療法をとることができます。何らかの症状がでたら、眼科を受診して目の状態を詳しく調べましょう。

 

 

板谷 正紀

はんがい眼科 院長

 

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はんがい眼科 院長 

京都大学眼科で網膜と緑内障の研究と臨床に従事。白内障手術、緑内障手術、硝子体手術などを駆使する術者として技術練磨に勤む。
埼玉医大眼科教授、日本眼科手術学会総会長、埼玉県眼科医会理事、埼玉腎・アイバンク専務理事などを歴任。

https://eyeblog-hangai.com/

著者紹介

連載眼科院長がやさしく解説!「目」に関する不安を解決するための基礎知識

本連載は、「はんがい眼科 目のブログ」の記事を抜粋、一部改変したものです。

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