ゆとり世代の社員は、どのような「上司」を求めているのか?

1990年代生まれの「ゆとり世代」も30代に差し掛かる。いよいよ企業の中核を担うポジションが求められる年齢だ。本記事では西村直哉氏の著作『世代間ギャップに勝つ ゆとり社員&シニア人材マネジメント』(幻冬舎MC)より「ゆとり社員」の章を一部抜粋。上司としてゆとり世代の社員といかに接するべきか、そのマネジメント手法を紹介する。

「上司がなぜ偉いのか?」を論理的に説明するのは困難

ゆとり世代は、全般に自分に自信を持っていませんから、何をするのでも最初は上司の指示を仰ごうとします。そして、その指示が合理的で納得できるものであれば、素直に頑張るのですが、そうでない場合は面従腹背で、言うことを聞かなくなります。それは、上司が見限られたことを意味するサインでもあります。

 

そもそも上司(管理職)がなぜ偉いのかについて、合理的で論理的な説明をすることは困難で、多大な労力を要します。昨今はプレイング・マネージャーも増えましたから、それなりの実力を備えた人が上司になっている例もありますが、そうではなく純粋に管理職として他部署から異動してきた人もいます。その場合は、現場での仕事については部下のほうが経験も長く、上手にこなせることも多いのです。また、それでよいのです。

 

では、何が管理職を管理職たらしめているのかといえば、一つは「仕事の責任を取ること」で、もう一つは「部下の士気を高めること」、そして最後に文字通り「仕事の進捗を管理すること」です。

 

なかでも大切なのが、部下の士気を高めてチームの結束力を高めるリーダーシップです。上司が部下から信頼されなかったら、意思疎通や風通しが悪くなり、チームがバラバラになって成果が上がりにくくなります。

 

部下から信頼されるといっても、何も部下の機嫌を取ったり、媚を売ったりする必要はありません。普通に仕事ができるところを見せたり、部下に訊かれたことに適切な回答を与えたりするだけでよいのです。

 

逆に、してはいけないのが部下を失望させることです。部下がどんなときに上司に失望するかといえば、主に「上司としての責任から逃げたとき」です。この「上司としての責任」がどこからどこまでを意味するのかがあいまいであるため、部下の勝手な期待に応えねばならないのが上司のつらいところですが、やっていくしかありません。

部下からの質問を「ないがしろ」にしてはいけない

ここでは、典型的に失望される例として、上司の説明不足を挙げておきましょう。

 

ある若手社員から聞いた話です。

 

「何か分からないことがあって上司に質問に行くと『自分で考えて行動しろ』と叱られます。考えても分からないから質問したのですが、そのように言われると、では失敗したときの責任は上司が取ってくれるのかと問いかけたくなります。それならそれでこちらも自由にやるのですが、実際にはそういう環境ではありません。

 

自由にやって失敗すると『なぜ、やる前に質問に来なかったのか』と叱責されます。質問したときには『仕事は背中を見て覚えろ』と言って何も教えてくれなかったくせに、失敗したときだけ『訊きにくればよかったのに』では、矛盾しています。質問をすることにも躊躇しますが、思い切った行動も取れません」

 

この例に出てくる上司は、おそらく自分が若い頃に受けた教育を、そのまま部下に対してもしているだけなのでしょう。それで、自分で何とかしようとして伸びる部下もいますが、多くはそうではありません。部下を選別するためにあえて厳しい状況をつくりだしているのでなければ、もう少し丁寧に仕事の説明をするべきです。

 

仮に自分に分からないことがあったとしても、他に分かる人はいくらでもいるので、素直にそう言って他の人に当たってもらってもかまいません。

 

旧世代には「上司は弱みを見せてはならない」、「上司は間違えてはならない」と自分を縛っている人もいますが、当然ながら上司だって完璧な人間ではないので分からないことはいくらでもありますし、判断を間違えるときは間違えます。そのとき、素直に「分からない」と言えずに「自分で考えろ」「常識的に判断しろ」「背中を見て覚えろ」と逃げると、部下から失望されます。上司の仕事は現場で活躍することではないのですから、分からないことがあってもよいのです。それよりも、部下からそのように頼られたときに、どれだけその部下の役に立てるかが上司の腕の見せ所です。

 

つまり、部下から何かを訊かれたときには、コミュニケーションの応答をするだけでも究極的には部下の役に立てるのです。

 

飲み会では「さしすせそ」(さすがですね!・知らなかった〜!・すご〜い!・センスいいですね!・そうなんですか〜!)だけを言っておけばよいという「モテ女子の法則」がありますが、コミュニケーションにおいては、意義のある情報よりも、何らかの応答があってコミュニケーションが成立することのほうがより求められるものです。

 

部下のモチベーションを高めるためには、上司にも同様の「さしすせそ」が必要かもしれません。管理職の仕事は現場仕事をうまくこなすことではなく、いかに部下のやる気を引き出すか、目標に向けてチームの結束を高めるか、そして何か非常事態が起きたときに身体を張ることができるかだと思います。

 

そのために必要なのは、何でもできる人であることではなく、何でも話しやすい存在になることです。チーム内で起きていることが常に耳に入るようにしておき、トラブルに未然に備えたり、何か起きたときにすぐに対処できるようにしたりすることで、部下があなたを見る目は変わってくることでしょう。

 

このときに大切なのは、部下からの質問を決してないがしろにしないことです。その場任せで分からないことに適当な返事をしていても、部下には見抜かれてしまいます。そうなると「あの人には相談しても無駄」と遮断されて、以後、部下から新しい情報が入ってこなくなります。

 

上司も部下をよく見ているつもりでしょうが、部下は上司のことをもっとよく見ています。上司は見なければならない部下が複数ですが、部下にとって直属の上司はたった一人です。また、上司の意向が会社生活を左右しますから、上司が自分に誠実に対応しているかどうかを見る目はシビアです。部下から声をかけられたときには、いつでも全力で対応しましょう。

 

 

西村 直哉

株式会社キャリアネットワーク代表取締役社長

人材育成・組織行動調査のコンサルタント

 

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株式会社キャリアネットワーク代表取締役社長
人材育成・組織行動調査のコンサルタント 

1961年生まれ。大学院卒業後、人材育成・経営コンサルティング会社を立ち上げ、「人材アセスメント」「組織行動調査」などの各種調査と、その結果に基づく人材育成コンサルティングに約30年以上従事。2012年、株式会社キャリアネットワークが人材教育を基幹事業としたことをきっかけに代表取締役に就任。 キャリアデザイン研修、ダイバーシティマネジメント研修、働き方改革研修など多数の講師実績を持つ。

著者紹介

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