来年に迫った東京五輪…不動産投資を「今」始めるのは正解か?

今回は、不動産のリノベーション投資に強みをもつ株式会社リズムの山崎博久氏が、不動産投資の現状について解説します。※本連載では、資産運用や不動産投資の専門家が、投資初心者に向けて不動産投資の基本を分かりやすく解説しています。

中古の区分マンションは、現状でも融資が出やすい

不動産投資で成功できるかどうかは「物件選び」にかかっているといっても過言ではありません。 しかし、何を基準に物件を選んだらいいのかわからず、困っている人も少なくないでしょう。そこで今回は、不動産投資の成功と失敗の鍵を握る「物件選び」のポイントを紹介していきます。最初に、不動産投資のマーケットについて、現状をお話しましょう。

 

(1)今、不動産投資を始めるのは有利か不利か?

現在の不動産投資市場は、バブルのときのように6~9%の金利のなかでキャピタルゲインを想定し、短期的な「儲け」を狙える状況とは正直いえません。しかし、安定的な資産形成が不動産投資を始める目的の主流となっており、「長期保有で資産化」という観点で見れば、近年の低金利は不動産投資商品の「本来の特性」を生かす意味で、非常に「追い風」となっているのも事実です

 

特に若いうちに運用をスタートできれば、よりメリット・優位性を感じることができる市場の状況です。老後の必要資金準備のために、不動産投資を活用する人が増えているのも当然のことといえるでしょう。

 

(2)不動産投資の融資に関する市場動向

不動産投資において「長期的」メリットを最大限享受するには、「融資」を活用し、レバレッジを効かせることが不可欠であることも忘れてはいけません。昨今、不動産投資市場において、「融資が厳しくなってきた」という話も耳にしますが、一概にそうとはいいきれません。というのも、不動産投資市場といっても、

 

●「一棟なのか区分なのか」

●「新築なのか中古なのか」

 

などの種類によって、状況は様々だからです。特に「融資」という側面で見た場合、物件や販売する会社で、それぞれ融資を受けられる金融機関が異なるだけでなく、その融資条件や状況も大きく異なってきます。したがって、投資用物件を購入する会社を選ぶ際には、「提携の金融機関はどこか」「自分にとってより有利な融資を引っ張ってくれる力があるか」という部分は、必ずチェックしておくべきポイントとなります

 

①一棟物件の融資は厳しくなった?

「一棟アパート」に関しては、昨今問題となっている不動産投資業界の「不正」のターゲットとなってしまったケースが明るみに出てきました。そういったこともあり、最近では融資の際にしっかりと収入や自己資金をチェックする体制が強化されてきて、以前は融資を受けられていた人でも正常に評価された結果「不可」となるなど、融資に対する審査が「正常化」されてきています。これは、一部の人にとっては「非常に厳しくなってきた」と感じる状況だといえるのかもしれません。

 

②区分マンションの融資は相変わらず?

一方で、中古の区分マンションに対しては、融資状況に大きな影響はなく、むしろ、インスペクションやリノベーションなどの取組みにより優遇金利が可能になるなど、より有利な条件で融資を受けられています。

 

また弊社が長く取引している金融機関では、20~30代の若い方でもローンを組みやすくなっており、ここ4~5年でさらにその傾向は強まっているように感じます。これは、副業の推奨など企業の姿勢や体質も変わってきているなか、需要に合わせて金融機関が「ついてきた」からともいえるのかもしれません。

 

そして、これには若い人たちの「意識」の変化が大きく影響しています。実際、以前は3040代になってから「そろそろ資産形成を始めようかな」という人が多かった印象ですが、最近では「社会人になったと同時」に将来のことを考え始め、セミナーに参加するなどの行動に移す人が確実に増えてきています。またセミナーや書籍などで積極的に情報収集をし、しっかり勉強しようという意欲の高い人が育っていると実感します。

 

それに伴い、これまでのように「数字上だけで収益を見る」「儲けようという意識が強い」という人は少しずつ減ってきています。このことは不動産投資商品の本来の特性である「安全安心な資産形成を実現できる」という点において、とても歓迎すべき、よい流れなのではないでしょうか。

東京都は10代、20代の人口が増加傾向

不動産投資の「成功する物件選び」は、何を目的に不動産を利用するかによっても解釈が異なってきます。たとえば他に本業があるなかで「他人資本と時間を活用する」メリットを最大限に活かすことに重きをおくのであれば、「家賃の下落が少なく、安定的に運用できる物件」を選ぶことがポイントとなります

 

では投資物件の選定の際に重要となる「エリア」「資産価値」「家賃相場」の3つの観点、それぞれのポイントを見ていきましょう。

 

(1)エリア

安定的な運用のためには、「空室期間を最小限に抑えること」が必須条件であり、その物件に「継続して」入居の需要があるかということが重要になります。そこで参考にしたいのがそのエリアの人口推移です。

 

①人口推移に注目する

下記総務省が2018年に発表した人口移動統計のデータを見るとわかりますが、東京都の人口は引き続き増加し、特に進学や就職による生活圏の移動が多い10代後半〜20代の若者の転入が飛躍的に伸びています

 

[図表]東京圏の年齢階層別転入超過数(出典:総務省『地方創生に関する現状について』2018年9月4日)
[図表]東京圏の年齢階層別転入超過数(出典:総務省『地方創生に関する現状について』2018年9月4日)

 

これは、大学・企業の数に比例すると考えれば、ごく自然な傾向であり、所有する物件の空室リスクを軽減するための重要なファクターであるといえます。また、通勤・通学に便利な「23区」であることもポイントとなってくるでしょう。

 

したがって、自身で物件を探す場合には、東京都のなかでも「23区」、さらにいえば、山手線の内側、人気路線の沿線を中心に見ていくことをおすすめします。きちんとした業者であれば、そのエリアの将来の資産価値を分析するレポートをもらえることもあるので、将来の資産価値もしっかりと見極めましょう

 

②「畑」がたくさんあるエリアは要注意

畑がたくさんあるエリアは注意しましょう。仮に周辺が畑に囲まれたエリアに、区分マンションもしくは一棟アパートを土地ごと購入したあとに、そのすぐ横の畑に地主さんが、アパートの上物だけを建て、家賃を安く設定してしまった場合、価格競争力的に勝ち目は期待できません。

 

また「2022年問題」も考慮する必要があります。2022年以降、生産緑地指定が解除された土地をハウスビルダーやマンションデベロッパーが手に入れ、競争力のある物件が次々とリリースされると、相対的に所有物件の資産価値が下がってしまう可能性も考えられますので、エリア選びの際にぜひ注意してください

 

(2)資産価値

物件の資産価値は、「エリア」と「管理」の掛け合わせで決まってきます。どんなによいエリアの物件を選んだとしても、管理状態が悪ければ当然、資産価値に大きく影響します。

 

また、経年と共に建物自体は古くなっていきますが、管理状況次第で資産価値を維持することは可能です。たとえば、フランスのシャンゼリゼ通りの建物は、その多くが修繕・管理が行き届いており、築100~200年の建物の資産価値はむしろ上がっています。

 

逆に、バブルのときに建てた、地方のタワーマンションや観光地のリゾートマンションなどは、次第に人が集まらなくなってくると、修繕費が払えないことから十分なメンテナンスができず劣化が進み、ますます人が減り、さらに劣化が進むといった悪循環に陥っています。管理状態が資産価値に悪い影響を与えてしまった、わかりやすい一例といえるでしょう。

 

したがって、物件を選ぶ際には、修繕・維持管理がしっかりとなされているか、というところをしっかりチェックし、経年が味となり「古きよき」建物として長く持ち続けられるかという目で評価しましょう。チェックすべき代表的な項目としては次の2つです。

 

① どれくらい修繕積立金が貯まっているか、貯まる予定か

② 中古であれば、過去の修繕履歴、先々の修繕計画

 

また、第三者機関が建物の管理状況や劣化具合をチェックし、トラブルを未然に防ぐ「インスペクション」を行なっている物件であれば、より安心です。そのようなことを積極的に行っている業者は金融機関からも評価され、金利が優遇されることもあります。このようなことからも、今後さらに「インスペクション」の注目度と重要性は確実に高まってくるでしょう。

 

(3)家賃相場

マイホームと異なり、投資用物件の価値は、収益還元法・賃料で決まります。相場よりも高い賃料が付いていると、短期的に賃料がガクンと下がり、想定していた収入が得られないことや、物件の資産価値が一気に下がってしまうことが起こりえます。

 

新築物件に関しては、その下落幅も加味したシミュレーションをするといいでしょう。あくまで投資なので、ローンを返していかなければならないことを考えると、賃料・資産価値の大幅な下落は、不動産投資のいわゆる「失敗」を招きかねません。そうならないよう、設定されている家賃が正しいと思い込まず、過去の事例もみて、妥当かどうかを調べることが必要となってきます

 

家賃の正当性をきちんと判断するには、賃料だけでなく、修繕計画や管理体制、管理を請け負っている管理会社の財務状況や管理受注能力まで、細かく調査分析しなければなりません。

 

不動産業者のなかには、プロの目で不動産を客観的に評価し、グラフや表でまとめて「不動産価値を見える化」した資料を作成しているところもあります。不動産投資を行うにあたり、自身でたくさん勉強し、知識を付けることも大切なことですが、業者が出しているデータや資料も上手く活用し効率よく情報収集するのも、賢いテクニックの一つです。

 

「投資用の物件は何を基準に選んだらよいのでしょう」という質問をもらうことがあります。マイホームであれば、職場への利便性や、キッチンやお風呂の設備の仕様、デザインの好み…と「自分」を基準に選べるので、答えが比較的明確です。しかし投資用物件の場合、「自分」を基準にして答えを出すことはできません。

 

(1)投資目的とゴールを明確にする

そこで整理したいのが、「何のために投資をするのか?」という目的と、「どこを目標にするのか」というゴールの設定です。なかには、「自分が住みたいと思った場所じゃないと買いません」という人もいますが、その基準は個人的にはあまりおすすめできません。自身が一生住むならよいのですが、「継続的に入居者がいる状態」を理想とした場合には、分析データや管理状況などを用いた客観的な見極めが「成功」への道だからです。

 

(2)プロに相談する

最もおすすめしたいのは、「物件選びはプロの協力を得る」という方法です。売りたいがための営業トークではなく、しっかりとした裏付けのデータを示してくれて、リスクやデメリットも真摯に説明してくれる会社をパートナーとして見つけることが、よい物件選びのポイントです

「東京の中古ワンルームマンション」は五輪の影響少か

不動産市場は一般的に、15年周期でアップダウンを繰り返しているといわれています。直近では、2008年リーマンショックを機に不動産価格が下落したものの、現在は景気回復傾向であると共に、東京オリンピック開催の影響で、価格は上昇しています。

 

今後の市場動向には諸説ありますので、一つの考え方として参考にしてください。

 

不動産価格の変動は、丸の内、新宿の駅ビルといった、群を抜いて高額な各種不動産の価格変動に紐づいて起こると考えられます。たとえばオフィスの場合、「不景気で会社が倒産→空室になる→家賃3000万円を2000万円に下げる→資産価値100億が67億に下落」といったことの積み重ねが、不動産価格全体を動かすことになります。

 

しかし2000万円前後のワンルームの場合、景気が悪いことだけを理由に、家賃8万円が一気に5万円になるようなことは、いまだかつてなく、またその逆も然りで、不景気のときに8万円だった家賃が、景気の回復だけを理由に12万円になることも、まずありません。つまり、ワンルームの中古マンション市場は比較的平坦であり、景気の影響は受けにくく、収益に大きな影響はないというのが、筆者の考えです

 

オリンピックに向けて建材費・人件費が高くなっているのは事実ですが、とはいえ、1ヵ月のイベントで不動産の価格を大きく左右することはやはり考えにくいので、オリンピックが終わった直後には多少景気の影響は出るものの、東京の中古ワンルームマンションに関していえば、不動産価格が大きく変わることはないといってもいいでしょう。

 

 まとめ 

今回は不動産投資で失敗しないための物件選びのポイントを紹介しました。オリンピックなどを考え「今が始めどきか?」と悩んでいる人も多いですが、長期的なメリットを享受できるという点において、はっきりと「YES」といえます。こちらの記事を参考に、失敗しない物件を選んでください。

 

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リズム株式会社 アセットコンサルティング事業部長

築古でも収益アップを狙え、リスクの少ないリノベーション投資で定評のある、リズム株式会社で部長を務める資産コンサルタント。

以前は保育士として、児童養護施設で様々な境遇の子供達の親代わりを務めていたという異例の経歴を持つ。両親からの愛情を阻害してしまう原因にもなり得る“金銭的事情”を目の当たりにしてきた経験から、「一人でも多くの方の“お金の悩み”を解消したい」という強い信念で行う心の込もった提案は、お客様からの信頼も厚い。

保有資格:FP技能士2級・住宅ローンアドバイザー・宅地建物取引士・保育士

著者紹介

連載資産運用のプロが伝授!投資初心者のための「不動産投資」基本ルール

本連載は、株式会社エワルエージェントが運営するウェブサイト「Estate Luv(エステートラブ)」の記事を転載・再編集したものです。今回の転載記事はこちら

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