身体からのアラーム!?「急に目が見えなくなる」原因とは

「モノがぼやけて見える」「目がかすむ」「光がいつもよりもまぶしい」など、気にはなりつつも、見過ごしてしまっている「目」についての悩みはないでしょうか。そんな悩みを抱えたままでは、日々の不安が募るばかりです。本連載では、白内障・緑内障・網膜剥離手術に強みをもつ、はんがい眼科・院長の板谷正紀氏が、眼病の症状やその対処法について解説します。

一過性黒内障は脳の危機!?

人は、他の五感とは比較できないくらいの量の情報を、視覚によって取り入れて生活しています。だからこそ、もし急に目が見えなくなったら、その恐怖と不安たるや大変なものだと思います。

 

原因がまったく頭に浮かばないとさらに不安が高まります。実は、急に見えなくなる原因はいろいろありますが、脳梗塞の前兆の場合と目の病気の場合に分けられるのです。

 

今回は、あなたや家族が急に目が見えなくなったときに考えてほしい原因について解説します。それにより、まず眼科に行くべきか、脳神経(外)科に行くべきか、あなたが適切な初動を取れるよう参考にしてください。

 

急に片目が見えなくなり、しばらくすると元に戻るという症状は、「一過性黒内障(いっかせいこくないしょう)」という脳梗塞(のうこうそく)の前兆です。

 

急に目が見えなくなる目の病気もたくさんありますが、それらとの決定的な違いは、一過性黒内障は24時間以内、多くの場合数分~数十分で見えるようになる点です。これに対して、目の病気は、見えなくなってしまうと、短時間では回復しません。

 

一過性黒内障の症状は、脳のピンチを伝える警報アラートであることを、まずは知っておいてください。つまり、いつ脳梗塞が発症してもおかしくない状態になっているのです。もし発症したらすぐに病院で診察を受け、その原因を突き止め取り除く必要があります。

 

一過性黒内障は、一時的に脳への血流が途絶える一過性脳虚血発作のひとつです。一過性脳虚血発作を起こした人の10~15%が3カ月以内に脳梗塞になり、その半数は2日以内に発症していることが明らかになりました。このことからも、即日病院にかかるべきであることが分かります。

 

一過性黒内障を発症した場合、磁気を使って血管の様子を撮影することができるMRAという技術を使った検査や、超音波を使ったエコー検査を頸部に行います。

 

または頭部にMRAを行ったり、磁気を使って体内の臓器の様子を撮影できるMRI検査を行うなどして、どこに問題があって症状を引き起こしたのか、その原因をなるべく早く突き止める必要があります。そうしなければ、近いうちに脳梗塞を発症する可能性が非常に高いまま過ごすことになるのです。

「一過性黒内障」では何が起きている?

一過性黒内障とは、内頚動脈から枝分かれして目へ向かう眼動脈に血栓が詰まることによって起こる症状です。左右の動脈を同時に塞ぐことはまずないので、片方の視界が奪われる症状となります。

 

そして、血栓が完全閉塞に至らない場合は、しばらく経過すると24時間以内、多くは数分~数十分で細かく砕けたり、溶けたりして自然に流れ去り血流が再開します。そうすると、視界は何事もなかったかのように元通りになるのが特徴です。

 

すぐに元に戻るので病院に行かない人もいますが、たまたま完全閉塞に至らない小物の血栓が飛んできただけで、血栓の飛来源がなくなったわけではありません。もっと大きな血栓が飛んできて、今度は本当に眼動脈がつまり、眼球全体に十分な量の血液が行きわたらなくなる眼虚血症候群という難病になる可能性があります。

 

この病気になると、血流を何とか維持しようとして脆い新生血管が次々に生まれ、その血管が破れて出血してしまう網膜症や、それらの血管のせいで急激に眼圧が上昇する血管新生緑内障を併発して、失明の危機に立たされます。

 

さらに恐ろしいのは、血栓が眼動脈にそれずに、そのまま内頚動脈を流れると、一過性脳虚血や脳梗塞を引き起こすリスクが高いということです。血栓が眼動脈に入ったのは、たまたまなのです。

医療法人クラルス はんがい眼科 理事長 

京都大学眼科で網膜と緑内障の研究と臨床に従事。白内障手術、緑内障手術、硝子体手術などを駆使する術者として技術練磨に勤む。
埼玉医大眼科教授、日本眼科手術学会総会長、埼玉県眼科医会理事、埼玉腎・アイバンク専務理事などを歴任。

▼はんがい眼科の公式ブログ「目のブログ」▼
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著者紹介

連載眼科院長がやさしく解説!「目」に関する不安を解決するための基礎知識

本連載は、「はんがい眼科 目のブログ」の記事を抜粋、一部改変したものです。