寝ても取れない「目の疲れ」に潜む恐い病気とは?

「モノがぼやけて見える」「目がかすむ」「光がいつもよりもまぶしい」など、気にはなりつつも、見過ごしてしまっている「目」についての悩みはないでしょうか。そんな悩みを抱えたままでは、日々の不安が募るばかりです。本連載では、白内障・緑内障・網膜剥離手術に強みをもつ、はんがい眼科・院長の板谷正紀氏が、眼病の症状やその対処法について解説します。

「ものを見る」のは運動をしているのと同じこと

目が疲れる、なんとなく目が重い……日常的に、こんな症状に悩まされている方も多いのではないでしょうか。

 

一晩寝れば治ってしまう程度であれば、単なる疲れ目で問題はありません。反対に、睡眠をとっても症状が改善されない場合は“眼精疲労”の可能性があります。眼精疲労は、目を使う作業を続けることで不快な症状が生じる眼病です。主に、目の痛みやかすみ、充血などの症状が見られます。

 

また、頭痛、肩こり、吐き気などの全身症状も出現し、休息や睡眠をとっても十分に回復しなくなってしまいます。しかも、眼精疲労の原因が眼病の場合もあるため、軽視は禁物です。今回は、誰にでも身近な“目の疲れ”について、ご紹介します。

 

人が運動を一生懸命行うと、全身がくたくたになって疲れてしまいます。この疲労感は、全身の筋肉や自律神経の働きが、酸化ストレスにさらされて鈍くなるために起こります。目のまわりも同様です。

 

ものを見るときは、毛様体筋(もうようたいきん)が緊張したり、緩んだりすることで、水晶体の厚さを調節してピントを合わせています。起きている間はずっと目を開けていますから、毛様体筋は絶えず働いているわけです。この毛様体筋は、自律神経がつかさどる不随意筋のひとつで、無意識に動いているのです。

 

また、両目を無意識に同じ方向に向けているのも、眼球の周囲にある6つの眼筋を自律神経がうまくコントロールしているからです。筋肉を適度に休ませることで酸化ストレスはやわらぎますが、酷使し続ければ強い疲労感で苦痛を感じるようになります。

 

つまり、“ものを見る”という行為は、運動をするのと同じくらい大変な作業なのです。

「眼精疲労」の主な4つの原因

目の疲れを感じたら、適度に休ませることで酸化ストレスは減少し、疲労感は回復します。しかし、目の酷使が度重なると、休んでも疲労感が取れない“眼精疲労”になってしまいます。

 

眼精疲労になる主な原因は、次の4つが挙げられます。

 

①ストレスや心身の疲労

 

ストレスや心身の疲労が疲れ目を引き起こすことは、広く知られています。長時間仕事をしたり、心理的ストレスを受けたりすると、疲労物質が発生して自律神経に悪さをし、その影響が目にも現れるのです。全身に疲れが残っていれば、目の疲れも現れ続けます。

 

現代人にありがちな睡眠不足が続くことも背景にあります。仕事中しっかり休みを取ること、睡眠を十分に取ること、運動や野外活動などでストレスを発散させることで眼精疲労を緩和できます。

 

②ピント調整異常による目の緊張

 

ピントが合わず視界がぼやける屈折異常(近視、遠視、乱視など)や、加齢でピント調節が難しくなり、近くのものがぼやけるようになる調節異常(老視)も、眼精疲労の原因になります。

 

特に、メガネやコンタクトレンズの度が合っていない場合、目は無理にピントを合わせようとしてしまうため、ピントを調節する役目の毛様体筋が働きすぎてしまい、目を疲れさせてしまうのです。

 

③パソコンなどの近見作業による目の酷使

 

パソコンやスマートフォンなどの電子機器を長時間使用する作業も、目をひどく疲労させる原因です。電子機器は便利ですが、スクロールする画面を常に目で追い、切り替えるごとに新しい情報が目に飛び込んでくるといったことを繰り返すため、思っている以上に目を酷使しています。

 

また、人は集中するとまばたきの回数が減ります。通常なら1分間に10~20回程度ですが、熱中しているときはその3分の1程度しかまばたきをしません。これでは当然、目の表面が乾き気味になり、目の疲れを引き起こしやすくなります。パソコンを使って仕事に集中する現代のライフスタイルは、“目の酷使”のために十分すぎるほどの条件が揃ってしまっているわけです。

 

④別の眼病による目の酷使

 

目の疲れの原因が、病気の場合もあります。疲れ目を伴う眼病の代表的なものは、ドライアイです。

 

また、白内障、緑内障などの眼病も挙げられます。これらは理由こそ違えど、“見えにくさを伴う”という点において共通している眼病です。見えにくさを補おうとして無意識のうちに目を酷使することで、結果的に目の疲れを引き起こしてしまいます。

 

それでは、眼精疲労を引き起こす眼病について、詳しく見てまいりましょう。

眼精疲労を引き起こす「4つの主な眼病」

①目の乾きや見えづらさが疲れを引き起こす「ドライアイ」

 

目の表面には涙の膜が存在しています。「涙は角膜を守るバリア」。角膜はこの涙の膜によって、菌や異物から保護されています。

 

また、「涙は目の表面の血液」。角膜には血管がないため、涙の膜から栄養や酸素を供給してもらっているのです。

 

ドライアイは、この大切な涙の膜が壊れて目が乾くだけではなく保護バリアを失い、酸素や栄養が不足する病気です。角膜の表面は痛覚神経が発達していますので、乾くことによって不快感や痛みが強まり、目の疲れの症状として感じることが多くなるのです。

 

それだけではなく、涙の膜が壊れ保護バリアを失った角膜は表面が傷つきやすくなり、透明性が低下して、かすんで見えるようになります。

 

また、涙の膜は光の屈折にも影響があります。涙の膜が薄かったり厚かったりとスムーズでは無くなると、光の屈折に影響を与えて視界がぼやけます。見えにくさを補おうと無意識に毛様体筋がピントを合わせようと緊張が続いてしまい、目が疲れてしまうのです。

 

②無理に見ようとして疲れが現れる「緑内障」

 

緑内障になると視神経が傷つくため、視界の一部が欠けて見える範囲が狭くなる視野欠損が起こります。特に視界の中心付近が欠け始めると、無意識のうちに見えるところを探すように目や首を動かすようになり、目や肩、首の疲労感が増していきます。

 

緑内障はほうっておくと失明につながる病気のため、早期発見による治療が望まれます。特に、近視の方は中心付近から視野が欠け始める方がいますので初期から見えにくさを自覚することがあります。

 

視界が狭くなるような感覚があり、疲労を感じるようでしたら、すぐに眼科の受診をしてください。

 

③見えにくさを補おうとして目が疲れる「白内障」

 

白内障を発症すると、水晶体が濁ってすりガラスを通したような視界になり、見えにくさを感じるようになります。光をまぶしく感じたり、ものが2重3重に見えたりすることもあります。やはり見えにくさを補おうとして目を酷使し、目の疲れが出やすくなります。

 

白内障の自覚症状を感じたら、眼科を受診しましょう。手術により治すことができます。

 

 

④頑張って両目の視線を合わせようとして疲れる「斜位」

 

気を抜くと、どちらかの目が見ている方向とは別のほうに寄ってしまう状態を、「斜位」といいます。通常、ものを見ようとがんばっているときは両方の目が見る対象に向かって同じ方向を向いていますが、集中していないと片方の目が別の方向に逸れてしまうのです。

 

斜位は視線を合わせるために集中している必要があるので、疲れや肩こり、頭痛の原因になることがあります。斜位が強くて疲れたときに目の向きが逸れて2重にものが見えてしまうような場合は、光を屈折させるプリズムレンズのメガネを用いることで矯正できます。矯正できれば、疲労が治まることも少なくありません。

目の酷使はほどほどに!ひどい疲れを感じたら眼科へ

人は起きている限り、何らかのかたちで目を使い続けている存在です。目の酷使が目に疲れをもたらすのは、至極あたりまえなのかもしれません。お肌でも何でもケアをするから快適に使えるのです。目に疲れを感じたら何らかのバランスが崩れ始めているサイン。そのサインを無視して疲れ目を放置すると、やっかいな眼精疲労になってしまうかもしれません。

 

眼精疲労は、吐き気や頭痛を伴うこともあります。少し休んだくらいでは治らず、決して侮れないものです。疲れ目のケアには、点眼薬はもちろん、目のストレッチや目のまわりのマッサージ、ホットアイマスクなども有効になります。十分な快眠は目に限らず身体全体の最も有効なケアです。バランスの良い食事も同様です。

 

ただし、単に目を使い過ぎたことによって疲れたのではなく、疲れ目の奥に何かしらの眼病が潜んでいる可能性もあります。目の疲れがなかなか治らないと感じたら、一度眼科を受診してみましょう。

 

★板谷院長のひとことアドバイス

 

現代人のライフスタイルは、PC、スマホなど近くのものを見続ける時間が長いため、目の毛様体筋の疲労やまばたきが減ることによるドライアイなど目が疲れる原因が多いです。目の疲れで病気になることはありませんが、逆に目の病気が潜んでいて見えにくいのに知らず知らずのうちに、頑張って見ることで疲れてしまうこともあります。目の疲れが続く場合は、一度眼科医に相談しましょう。

 

★まとめ

●目を酷使することで疲れ目を引き起こし、重症化すれば眼精疲労に発展する可能性もあります。

●目は適度な休息が必要です。ものを見るときは毛様体筋を無意識に使い続けているため、使いすぎると悲鳴を上げます。

●目の疲れが続くときは、目の病気で見えにくくなっている可能性もありますので眼科を受診しましょう。

 

 

板谷 正紀

はんがい眼科 院長

 

はんがい眼科 院長 

京都大学眼科で網膜と緑内障の研究と臨床に従事。白内障手術、緑内障手術、硝子体手術などを駆使する術者として技術練磨に勤む。
埼玉医大眼科教授、日本眼科手術学会総会長、埼玉県眼科医会理事、埼玉腎・アイバンク専務理事などを歴任。

https://eyeblog-hangai.com/
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著者紹介

連載眼科院長がやさしく解説!「目」に関する不安を解決するための基礎知識

本連載は、「はんがい眼科 目のブログ」の記事を抜粋、一部改変したものです。

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