目がチカチカする…「疑うべき病気と対処法」を眼科院長が解説

「モノがぼやけて見える」「目がかすむ」「光がいつもよりもまぶしい」など、気にはなりつつも、見過ごしてしまっている「目」についての悩みはないでしょうか。そんな悩みを抱えたままでは、日々の不安が募るばかりです。本連載では、白内障・緑内障・網膜剥離手術に強みをもつ、はんがい眼科・院長の板谷正紀氏が、眼病の症状やその対処法について解説します。

目がチカチカする原因は「目か脳」にある

突然目がチカチカすると、目に深刻な病気が潜んでいるのではないかと心配になってしまう方もいらっしゃるでしょう。

 

目がチカチカする症状を引き起こす原因はたくさんありますが、最終的には、目が原因の場合と、脳が原因の場合に分けることができます。というのも、物を見ているのは「目で見ている」と思いがちですが、実際は「目と脳で見ている」からです

 

そのため、目のチカチカは眼科ではなく神経内科を受診すべき場合もあります。

 

眼科に行くべきか神経内科を受診すべきか考える目安としても、いくつかのポイントを覚えておいて損はありません。ぜひ参考にしてください。

 

目がチカチカする原因は、目に問題が起きた場合と、脳に異常がある場合の2つに分けることができます。

 

目が問題で起こるチカチカの代表的な症状は「光視症(こうししょう)」というものです。脳が原因の症状は「閃輝暗点(せんきあんてん)」がよく知られています。どちらも、本当に光があるわけではないのに、光が見えるという特徴があります。

 

◆目の問題でチカチカが起きる光視症とは

 

光視症によって見える光は、ピカッとした稲妻のような光であったり、キラキラした、もしくはチカチカした光など、症状や感じ方によってさまざまに表現されます。共通するのはそこにないはずの光が見えるという点です。また、そこにないはずのもやもやしたものが見える飛蚊症(ひぶんしょう)も、同時に発症することが多い点も特徴となります。

 

光視症が起こる原因は、網膜にあります。網膜が何らかの原因で急激な刺激を受けると、それを光として感知してしまうのです。網膜に急な刺激を与える原因としては、加齢で目の中の硝子体という組織が眼底から剥がれる後部硝子体剥離(こうぶしょうしたいはくり)があります。

 

後部硝子体剥離は病気ではありませんが、一部の人には網膜が破れて孔(あな)が開いてしまう網膜裂孔(もうまくれっこう)が生じ、網膜が剥がれてしまう網膜剥離(もうまくはくり)が起きてしまいます。目の中に出血する硝子体出血が発症することもあります。

 

暗い場所で無いはずの光が見える「光視症」
暗い場所で無いはずの光が見える「光視症」

 

◆脳の異常により見える閃輝暗点とは

 

閃輝暗点は、チカチカと点滅する光や、ギザギザした、あるいはギラギラしたと表現される光の模様が、数分から数十分にわたり続く症状です。視覚障害をともないますが、しばらくすると治り、その後に激しい頭痛になることが多いという特徴があります。

 

原因は脳のなかで起こる血流の変化にあります。大脳の視覚野(しかくや)への血流が急激に減少することで、視覚に障害が起きてしまい、閃輝暗点が現れるようになります。しばらくすると血流が戻るのですが、今度は血流が増えすぎて炎症を起こしてしまい、激しい頭痛になることが多いのです。

 

主に、片頭痛持ちの方に、片頭痛が起こる前の予兆として閃輝暗点が見える場合が多いとされます。また稀にですが、脳腫瘍や脳梗塞の症状として現れることもあります。

 

チカチカと点滅する光や、ギザギザした、あるいはギラギラしたと表現される光の模様が見える様子
「ギザギザした」と表現される光の模様が見える閃輝暗点の様子

 

◆目の濁りがチカチカする原因になることも

 

これまでは、「そこにはないはずの光がチカチカする」症状について説明いたしましたが、実際の光を通常以上にまぶしく感じることで「チカチカする」と感じる症状もあります。

 

例えば、眼精疲労では目を酷使し過ぎたために、視神経や末梢神経が疲労し、普通の光をまぶしく感じてしまいます。しっかり休めば、症状は治まります。

 

また、水晶体が濁ってしまう白内障では、光を普段以上にまぶしく感じる症状があり、人によってはチカチカと苦痛に感じます。目が直接濁っているわけではありませんが、コンタクトレンズが汚れていることで、光がまぶしく感じるのも、同じ原理です。

 

目の組織に問題が起きて感じるチカチカでも、実際の光を苦痛に感じる症状ですので、網膜のチカチカとは大きく異なる症状と言えます。

 

実際の光を通常以上にまぶしく見える様子
実際の光が通常以上にまぶしく見える様子

 

次は、これまで紹介したチカチカの原因となる病気について、それぞれ説明します。

光視症は「網膜裂孔」を早期発見できる重要なサイン

◆加齢で起こる生理的後部硝子体剥離

 

目の中に充満している、卵の白味のような透明な線維組織を硝子体と呼びます。それが加齢とともに縮んで、本来網膜に密着している状態から離れてしまうのが生理的後部硝子体剥離(以下、後部硝子体剥離)です。

 

後部硝子体剥離は眼底から硝子体が離れる際に網膜を引っ張ることがあるため、その刺激が光視症となって現れます。眼球を大きく動かしたときに光が見えることが多いです。

 

これは病気ではなく、誰にでも起きる加齢現象ですので、ほかの病気を併発しない限りは治療する必要はありません。しかし、後部硝子体剥離は網膜裂孔・網膜剥離を引き起こすことがあるため、定期的に眼底検査を受けることをおすすめします。

 

 硝子体が網膜から剥がれていく様子。黄斑などは接着が強いため、剥がれていく硝子体に引っ張られてしまい、孔(あな)が開いたり網膜から剥がれたりしてしまうことがあります

硝子体が網膜から剥がれていく様子。黄斑などは接着が強いため、剥がれていく硝子体に引っ張られてしまい、孔(あな)が開いたり網膜から剥がれたりしてしまうことがあります。
 

◆素早い処置が必要な網膜裂孔・網膜剥離

 

後部硝子体剥離が生じる過程で光視症が現れます。これは、網膜に孔が開く網膜裂孔が生じるとき光視症を感じることが多いためです。すなわち、光視症は飛蚊症とともに網膜裂孔を早期発見できる重要なサインなのです。

 

網膜剥離になる前に網膜裂孔を発見できれば、レーザーの熱で網膜を眼底に焼きつけるレーザー光凝固術で網膜剥離を予防できるのです。網膜剥離が起きてしまうと、手術でしか治せなくなりますので、早期発見が大切なのです。しかも、緊急手術が必要です。

 

手術には、眼球の壁にベルトを巻いて外側から押し込んで孔を塞ぐ網膜内陥術(網膜バックリング)と、硝子体に器具を差し込んで目の中から治療する硝子体手術の2つの方法があります。

 

後部硝子体剥離の際に、硝子体に引っ張られた網膜の一部に孔が開くと、そこから水分が入り込んで網膜が剥がれていってしまいます
後部硝子体剥離の際に、硝子体に引っ張られた網膜の一部に孔が開くと、そこから水分が入り込んで網膜が剥がれていってしまいます。

閃輝暗点などを起こす、脳に関係する病気と治療法

◆脳の血流異常で起こる片頭痛

 

片頭痛が起こる前兆として、閃輝暗点が現れることがあります。

 

ストレスやホルモンバランスの乱れなどにより、脳の視覚野を通る血管が収縮して一時的に血流が悪くなると、視覚障害として閃輝暗点になります。その後、血流が一気に改善すると片頭痛が起こります。

 

片頭痛の前触れとしての閃輝暗点の場合、治療は片頭痛の治療が中心となります。神経内科や頭痛外来などを訪れるとよいでしょう。完治が難しい病気ですが、お薬で頭痛をやわらげることができます。

 

◆頭痛がなければ脳腫瘍や脳梗塞の可能性あり!

 

閃輝暗点の症状が見られるのに、片頭痛は起こらない場合、脳梗塞や脳腫瘍の可能性があります。閃輝暗点は脳の血流障害により引き起こされる症状です。視覚中枢の血管に血栓ができる脳梗塞や、視覚中枢を刺激するような脳腫瘍がある場合、血流障害を起こしてしまい、閃輝暗点の症状が見られるのです。

 

閃輝暗点の症状が見られるのに片頭痛は起こらない場合は、できる限り早く脳神経外科や神経内科での診断を受けるようにしましょう。

 

ただ、光視症と閃輝暗点の区別がつかない方が多いと思われますので、眼科を受診して眼科医にコンサルタントして眼底検査を受けましょう。閃輝暗点が疑われたら、脳の精査を受けることをすすめられると思います。

 

◆立ちくらみのチカチカは脳貧血

 

立ち上がる時などに一瞬目がチカチカしたり、立ちくらみを起こすというのであれば、脳貧血の可能性が考えられます。横になっている状態から起き上がる、座っている状態から立ち上がるなど、急に姿勢を変えると血圧が急激に下がりやすくなります。

 

血圧が低下すると、脳内に十分な酸素が供給されず脳が酸欠状態になってしまい脳貧血を起こしてします。高齢者の場合、心臓の働きが弱くなり循環する血液が少なくなることによって引き起こされることもあります。

 

脳貧血は、体内の鉄分が不足することにより発症する鉄欠乏性貧血(てつけつぼうせいひんけつ)とは違う原因で起こります。自律神経の乱れや体内の水分不足などが引きがねになることが多いです。

 

◆妊娠高血圧症候群

 

妊娠20週以降から産後12週までに高血圧を発症することを妊娠高血圧症候群(にんしんこうけつあつしょうこうぐん)といいます。その合併症のひとつである失神・痙攣を起こす子癇(しかん)という発作の前兆のひとつとして「目がチカチカする」という症状がみられることが知られています。基本的には、安静にしていることが治療の中心となります。

目の濁りでチカチカする病気と治療法

◆白内障

 

白内障は、眼の中にある水晶体、カメラで例えるとレンズの役割をする部分が濁ってしまう病気です。水晶体が白く濁ることで、光が散乱しやすくなるため、チカチカするように感じます。水晶体の濁りが強くなると、視野がかすみ、視力が低下していきます。

 

加齢の他、アトピーや糖尿病の合併症として発症するケースもあります。後者は比較的若い方に多く見られます。外傷性の白内障やステロイド薬の副作用として現れることもあるので、“若いから大丈夫”ということはありません。近視が強い人は40代でも白内障が進みます。光がまぶしすぎると感じるようになったら、早めに受診するようにしましょう。

 

白内障の目
白内障の目

 

◆眼精疲労

 

目を酷使しすぎて、休息してもすぐには回復しない症状をいいます。末梢神経や視神経に疲労がたまっている場合は、目がチカチカするように感じます。目のチカチカに加えて、目の奥の痛み、かすみ、異物感、瞼の小刻みな痙攣などが症状として現れやすいです。充分な睡眠と適度な休息を心がけることが必要ですが、お薬で症状が改善されることもありますので、あまりに不快な症状が続くようでしたら眼科を受診しましょう。

 

◆コンタクトレンズの汚れ

 

白内障の原理と同様、コンタクトレンズが汚れて濁っていることでも、目に入る光が散乱し目がチカチカすることがあります。コンタクトレンズ装着後に症状が起きたということであれば、それが原因かもしれません。コンタクトレンズは清潔に保つようにしましょう。

目が原因の「チカチカ」は収まることなくずっと続く

どのような時にどのくらいの時間チカチカする症状が続いたのか。これを理解することが、病気を見分けるための重要なポイントです。また、医師にとっても大切な判断材料になります。

 

たとえば、光視症がパッパッと断続的に起こるのに対して、閃輝暗点は数分~1時間続いたあとに消失します。

 

普通に生活している中で、良く晴れた日の屋外で日差しや、運転時の対向車のライトが異常にまぶしく感じる場合は、目が原因の症状、特に白内障の可能性があるなど判断できます。

 

チカチカが収まらないという場合は、すみやかに眼科医に相談しましょう。

 

★板谷院長のひとことアドバイス

 

パッパッと断続的に光が走るときは網膜が引っ張られている症状です。ほとんど問題にはなりませんが、一部の人に網膜剥離が起きることがあるため、眼底検査を受けて安心していただくことが必要でしょう。

 

★まとめ

●チカチカする症状の原因は、目か脳のどちらかにあります。

●さらに目が原因のチカチカは、網膜が原因の場合と目の濁りが原因の場合に分けられます。

●チカチカと不快に感じる症状があったら、まずは眼科で適切な診断を受けましょう。

 

 

板谷 正紀

はんがい眼科 院長

 

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はんがい眼科 院長 

京都大学眼科で網膜と緑内障の研究と臨床に従事。白内障手術、緑内障手術、硝子体手術などを駆使する術者として技術練磨に勤む。
埼玉医大眼科教授、日本眼科手術学会総会長、埼玉県眼科医会理事、埼玉腎・アイバンク専務理事などを歴任。

https://eyeblog-hangai.com/

著者紹介

連載眼科院長がやさしく解説!「目」に関する不安を解決するための基礎知識

本連載は、「はんがい眼科 目のブログ」の記事を抜粋、一部改変したものです。

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