子どもは本来、学ぶことが大好きです。好奇心旺盛な幼児期に、適切な教育を受けさせることが重要となります。本連載では、25年前から幼児教育に取り組んでいる株式会社コペルの代表取締役の大坪信之氏が、子どもに「学ぶことの楽しさ」を教える方法を解説します。

文字や言葉を「瞬間」かつ「無意識」にイメージに変換

◆右脳のイメージ記憶を活用した記憶力の向上法とは

 

人間が覚えやすいのは、テキスト(文章)とイメージ(画像)のどちらかご存知でしょうか。

 

正解はイメージ記憶です。文章の情報よりはるかに、大量に覚えることができます。イメージと文章の「情報量の違い」を理解するために、例えば今、あなたがいる部屋を文章で説明することを考えてみて下さい。

 

「ドアの色は何色で、材質はこうで、家具はこんな形をしていて・・・」といくら書いても、その部屋の写真一枚のほうが、正確に理解してもらえますよね。覚えるときも、イメージを活用した方が、何倍も楽に覚えることができます。

 

これには、右脳の力が関係しています。左脳の何倍もの情報処理能力を持つ右脳。その右脳が得意とするのが、イメージ記憶なのです。ただ残念なことに、日本人の多くが、文章型の記憶を使っています。その分、右脳を使ったイメージ型の記憶には慣れていないのです。

 

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実は、世の中の「記憶力に自信のある人」は、文字や言葉を「瞬間」かつ「無意識」にイメージに変換して理解しています。そして逆に、文章を書いたり人に説明をするときは、頭に浮かんだイメージを、これまた「瞬間」かつ「無意識」に文字に変換して、脳から出力しています。

 

この光景を、記憶に自信のない人間が見ると、「やっぱり頭のいい人は、ドンドン頭の中に文字が吸収されているんだな」と誤解してしまいます。そして、記憶するために、文字をたくさん書いたりして、更に記憶することを難しくしています。

 

人間が外部から受ける情報は、まず右脳に入ります。右脳は、別名「イメージ脳」といわれ、聴いたり見たりした情報などを、イメージを含めて、丸ごと受け取ることになります。そして、左脳の仕事は、この情報やイメージを整理、整頓するため、さまざまなラベルをつけて、脳の引き出しにしまっておくことになります。

 

つまり、右脳が受けたイメージや情報を、左脳が論理化して脳におさめておくということです。この右脳と左脳との協力によって、頭の中に外部からの情報が蓄積されていくことになり、これが「覚える」ということになるのです。

 

左脳の力のみに頼るのは、単なる「暗記」となり、「思い出す」ことは困難になります。情報をイメージ抜きで覚えるということは、言葉や数字を単なる記号として、脳にしまいこむことを意味しています。つまり「思い出す」ことが大変難しい作業となるのです。

 

一方、右脳のイメージ力と左脳の言語、論理作業力をバランスよく働かせるのが「記憶」であり、これにより、人間の脳は「覚える」ことと「思い出す」の2つを完璧にできるようになります。

 

ぜひ、お子さんにもイメージ記憶の活用をしてもらいたいですね。

「子どもの心を育てる」ことを意識した教育を

◆瀬戸内寂聴さんに学ぶ「幼児教育と生きる意味」

 

瀬戸内寂聴さんは、お子さんに「何のために生きるの?」と聞かれたら、「誰かを幸せにするために生きるのよ」と答えてあげて下さい、と言っています。

 

そのような、全体の幸福に役立つような生き方は、素晴らしいですね。本項では、幼児教育のそもそもの意味合いについて、考えてみたいと思います。

 

幼児教育を「小さな幼児の頃から何かを教え込むこと」と考えてはいけません。幼児教育とは、子どもの心を育てることなのです。子どもの心を見ることができずに、ただ子どもを賢く育てたいと思うあまり、いろいろ習わせることばかり考えてしまうと、子どもの心が見えず、自立心を失わせてしまうという落とし穴に、はまり込むことになります。

 

困ったことは、そのような場合でも、親は間違いに気づかずに、子どもに愛情を持っていると信じ、愛情があるからこそ、幼児教育をしているのだと思っていることです。子どもがお母さんのすることにのってこないのに、無理やりさせていませんか。

 

もし、子どもが喜ばないのに、無理に何かをしているとしたら、子どもは笑顔を失っています。お母さんも笑顔を失っています。これは、良くない幼児教育になっていることに気づかなくてはいけません。

 

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幼児教育は、心を育てることが大切なのです。心を育てると、子どもはお母さんと心が通い、お母さんのすることをとても喜び、お母さんと学ぶことが大好きになります。こうなると、お母さんはニコニコ、子どもはのびのび育ちます。この前提を忘れてはいけません。

 

子育てをするお母さんは、たいてい子どもが何かができる・できないという基準で子どもを見ます。そして、これが子育てのガンであることに気づいていません。目の前の何かができる、できないということよりも、子ども一人一人の個性に気づいてほしいのです。

 

一人一人が違う使命や才能を持っていて、得意な分野を活かしていけば、どの子もその分野で一流になれるものを秘めているのです。目の前のことで、子どもを決めてしまわないようにしたいですね。

 

 

大坪 信之

株式会社コペル 代表取締役

 

本連載は、株式会社コペルが運営するウェブサイト「コペル」の記事を転載・再編集したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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