古民家投資をもっと手軽に!「証券小口化」を活用した投資事例

不動産小口化商品等に関するルールを明確化することで不動産の流動化を促進した「不動産特定共同事業法」(1994年制定)。今回は、これを活用した不動産証券小口化のメリットと、実際の古民家投資への活用事例を紹介します。※本連載は、外国人宿泊客に人気の高い古民家を再生した旅館づくりのポイントを「一棟貸切旅館」のプロデュースに多数の実績をもつ筆者がわかりやすく解説します。

小額からの投資を可能にする「不動産特定共同事業法」

不動産投資とは一般的に、1つの物件に1人の投資家が投資して利益を享受する仕組みです。しかし、①初期投資金額が高額、②不動産に関する知識が必要、③投資に失敗した場合は100%リスクを負担しなければいけない、④不動産売却時にかかる税金として個人の所得税と二重課税される、といったデメリットも存在します。

 

この不動産投資にかかるデメリットを改善し、個人でも小額から気軽に投資することができるよう法整備を行ったのが、1994年に制定された「不動産特定共同事業法」です。この法律は、不動産小口化商品等の開発・販売を行う際のルールを明確化することで、不動産の流動化の促進を目的としています。

 

[図表1]不動産特定共同事業法の具体的な内容 参考:国土交通省資料
[図表1]不動産特定共同事業法の具体的な内容
出所:国土交通省資料

 

今回は、この「不動産特定共同事業法」の概要と、平成25年・平成29年の2回行われた法改正を中心に、「証券小口化」が不動産投資にもたらすメリットを中心に見ていきます。

平成29年の「不動産特定共同事業法」の改正点

平成25年・平成29年の改正が行われる前の不動産特定共同事業法では、SPC(特別目的会社…企業が資金調達等を目的に設立する会社)が不動産特定共同事業(投資家から出資を受け、現物不動産の取引を行って収益を投資家に分配する事業)を営むことは、事実上困難でした。これを可能とするため、平成25年の改正で、新たに「特例事業」の制度が導入されましたが、税制面などでの課題が多く、実効性に欠けました。

 

そこで、小口資金による空き家・空き店舗等の再生を通じた地方創生の推進や、観光等の成長分野における良質な不動産ストックの形成の促進を図るため、平成29年に大きな改正が行われました。

 

平成29年の不動産特定共同事業法改正の目玉は、クラウドファンディングの活用です。不動産特定共同事業契約が成立する前の書面などをインターネット上で投資家に交付することが認められたことで、証券小口化にクラウドファンディングを活用することができるようになりました。

 

また、小規模不動産特定共同事業の創設により、事業者の資本金要件が緩和され、許可制から登録制になるなど、地方の不動産会社が参入しやすいようになりました。

 

●資金を収集する際にクラウドファンディングを活用することができるように、不動産特定共同事業契約が成立する前の書面などをインターネット等により交付することを認める

●小規模不動産特定共同事業の創設

●適格特例投資家限定事業の創設

●特例事業における事業参加者の範囲の拡大

●特例投資家向け事業における約款規制の廃止

 

国土交通省の資料によると、2017年から2022年の地方の不動産会社等の新たな参入を800社、空き家・空き店舗等の再生による新たな投資を約500億円という数値が目標とされています。

「証券小口化」で、不動産投資が手軽&低リスクに

一般的に、不動産投資を行う場合は多額の資金が必要ですが、それを小口化して分散し、多くの投資家が投資できるように証券化することができます。これを「証券小口化」といいます。証券を小口化することで、小額から低リスクで不動産投資を行えるようになります。

 

証券小口化により、以下の5つのメリットを享受することができます。

 

●「倒産離隔」の確保

不動産証券小口化では対象不動産を管理するためだけのSPCを設立します。そのため他事業で赤字を出したり倒産したりした場合でも、投資対象物件が差押や競売にかけられることがありません。

 

●二重課税の回避

通常不動産投資では、物件売却時と個人の所得税という二重課税がなされる仕組みですが、不動産証券化を活用した場合、いずれかが免除されるため二重課税を回避することができます。

 

●流動性の向上

証券を小口化することで、1棟では売却しにくく流動性の低い不動産が売却しやすくなります。

 

●遺産分割がしやすい

通常1棟の不動産の場合、遺産分割がしにくいといったデメリットが生じますが、証券を小口化することで簡単に遺産の分割が可能になります。

 

●低予算での「古民家投資」が可能に

近年、日本の観光立国化の推進により古民家再生にスポットが当てられています。具体的には外国人観光客が好む日本古来の文化である「古民家」を活用した民泊や、旅館業許可を取得した一棟貸し切り旅館の運営が人気です。一般的に古民家は築年数が古いため、銀行の融資が受けにくいというデメリットが存在しますが、資金調達面で証券の小口化を活用することで、個人でも気軽に数万円から古民家物件に投資することが可能になります。

 

[図表3]弊社施工事例
[写真1]弊社施工事例

人気急上昇中の「不動産証券化商品」

下記は、国土交通が平成30年5月31日に公表した、平成29年度 「不動産証券化の実態調査」 の結果報告です。

 

[図表2]スキーム別 証券化の対象となる不動産の取得・譲渡実績の推移 出所:国土交通省
[図表2]スキーム別 証券化の対象となる不動産の取得・譲渡実績の推移
出所:国土交通省

 

平成6年に不動産特定共同事業法が制定されて以降、証券化の対象不動産の取得実績がうなぎ上りに増加してきたことがおわかりいただけると思います。

 

一時、リーマンショック(平成20年)の影響で不動産や信託受益権の資産額が減少に転じましたが、アベノミクスの導入から、再度資産価値が回復し、証券化の対象不動産の件数も増加に向かっていることが見て取れます。この推移からわかるように、不動産証券化商品はまさに「今から」のビジネスモデルであるといえます。

京町家の再生事例とクラウドファンディングの活用事例

では、実際に証券の小口化を活用した事例を紹介しましょう。

 

●京町家の不動産再生プロジェクトの不動産小口商品化(三田証券)

 

京町家の不動産再生プロジェクトを不動産小口商品化した事例です。不動産特定共同事業法に基づいて任意組合を組成し、投資資金(1口500万円)によって、老朽化した家屋を買取り、地元の職人に改修工事を依頼し、高級宿泊施設として再生させるプロジェクトです。

 

[図表3]京町家の不動産再生プロジェクトの不動産小口商品化(https://mita-platinum.com/)
[図表3]京町家の不動産再生プロジェクトの不動産小口商品化
出所:三田証券 京町家再生プロジェクト第4弾(https://mita-platinum.com/

 

投資家は出資後、物件の運営・管理など手間がかかることは事業者に任せ、物件投資から生じるリターンや投資家特権を享受することができます。このように近年では個人でも手軽に投資することができる証券小口化商品が登場しています。

 

●小規模不動産特定共同事業者による第1号ファンド物件

 

平成29年の改正でクラウドファンディングを活用した、資金調達が可能になりました。下記はその第1号案件です。神奈川県三浦郡葉山町の中心、元町エリアにある「古い蔵」を、1日1組限定の「泊まれる蔵」にリノベーションし、宿泊施設として運営する事業です。上記物件には投資型と購入型の2つが用意され、投資型については1口5万円からと、少額からの出資が可能でした。古民家再生に必要であった資金600万円が1日で集まり、投資家の人気の高さがうかがわれます。

 

[図表5] 参考:健美家
[図表6] 参考:健美家(https://www.kenbiya.com/ar/ns/jiji/item_service/3296.html)
[写真2]小規模不動産特定共同事業者による第1号ファンド物件の例
出所:健美家

 

こちらは想定利回りが年4.0%、運用期間は4年2カ月で償還される予定です(参考:https://hello-renovation.jp/renovations/3099

 

今回は不動産証券小口化のメリットと実際の運用事例を紹介しました。証券を小口化することにより、低リスクで高い流動性を生み出すことができる新しい不動産投資方法の魅力がおわかりいただけたのではないでしょうか。弊社でも今後、一口300~500万円の投資で、高利回りが期待できる旅館業投資に参加できるプロジェクトに協力する予定です。新規の投資先として、不動産の小口化への投資も検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

浅見清夏

ハウスバード株式会社 代表取締役

 

鈴木結人

マーケティングチームリーダー

 

竹内康浩

建築デザインチームマネージャー

ハウスバード株式会社 代表取締役社長

●青山学院大学 卒(在学中、上海・復旦大学に留学)
●アクセンチュア(株)戦略コンサルティング本部勤務
●中国・上海にて、幼児教育事業 レインボーバード幼児教室を起業後、ヤマトキャピタルパートナーズに売却
●政府系VC・産業革新機構にて投資サイドで勤務

著者紹介

ハウスバード株式会社 マーケティングチーム リーダー

早稲田大学卒
ハウスバード株式会社でのインターンシップを経て、新卒第1期生として同社に参画。
近隣住民対応や運営対応を経て、現在マーケティングチームのリーダーに就任。

著者紹介

ハウスバード株式会社 建築デザインチーム マネージャー

日本工業大学建築学科修士号。
株式会社アーキディアックに入社し、公共施設の設計・施工管理に従事。
2017年、ハウスバードへ建築デザインチーム マネージャーとして参画。

著者紹介

連載木造住宅をレトロモダンな「一棟貸切旅館」に…古民家再生投資のノウハウ

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧