構想50年「小田急複々線化」完成…沿線全体に与える効果は?

小田急グループの中核企業として、住生活領域での各種事業を展開する小田急不動産。なかでも、同社の「ソリューション事業」は、不動産オーナーたちが抱える様々な課題や悩みをワンストップで解決すべくサポートをしている。本連載では、これら「小田急不動産」の取り組み、事業内容について紹介する。第1回目は、その前段階として、小田急グループの一大トピックスといえる「複々線化プロジェクト」について概説する。

小田急線全線の「利便性・快適性」が大きく向上

小田急線は、新宿から小田原までを結ぶ「小田原線」、湘南エリアに至る「江ノ島線」、そして多摩ニュータウンに至る「多摩線」の3つの路線からなる。駅数は全部で70。それぞれの駅にそれぞれの街が栄えているが、例えば、若者文化の流行発信地として知られる下北沢、世田谷を代表する高級住宅街である成城学園前、川崎市の副都心として発展した新百合ヶ丘など、都心寄りにも神奈川エリアにも魅力的な街を数多く抱えている点が、小田急線のブランド力を支える基盤となっている。

 

近年のトピックスといえば、やはり「複々線化プロジェクト」が挙げられるだろう。より快適な輸送サービスを実現するため、東北沢~和泉多摩川間(10.4km)で複々線化を進め、抜本的な輸送能力の改善を目指した。上り2線・下り2線、計4本の線路を敷くことで各駅停車と急行列車が別々の線路を走れるようになり、急行列車が各駅列車を追い抜く際の待ち合わせがなくなるなど、効率的な列車運行が可能となる。

 

1997年、狛江地区(喜多見~和泉多摩川間)の複々線化が完成、次いで世田谷地区(世田谷代田~喜多見間)の複々線化が2004年に完成。そして2018年3月、最後に残された下北沢地区(東北沢~世田谷代田間)の工事も終わり、ついに計画区間全線での複々線化が実現した。計画から約50年、着工から30年という歴史的な事業である。

 

複々線化の完成に合わせてダイヤも大幅改正され、列車本数の増加、千代田線直通本数の増加、所要時間短縮、通勤時間帯の混雑緩和などが一気に実現した。

 

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具体的な数字で見ると、朝の通勤ラッシュピーク時※1において、


●1時間あたりの上り方面の運行本数を9本増発(27本⇒36本)
●町田~新宿の所要時間を最大12分短縮(49分⇒37分)
●最混雑区間(世田谷代田~下北沢間)の平均混雑率を41%減少(192%⇒151%)
●平均遅延時間を1分16秒短縮※2(2分4秒⇒48秒)


など、大きな効果が出ている。

 

※1 平日朝の上り方向、下北沢着8:00前後の1時間

※2 人身事故発生日等を除く


これらの数字に表れているように、複々線化の完成は、該当区間だけでなく、小田急線全線の利便性・快適性の向上に結びついているといえるだろう。

複々線化の完成で、沿線全エリアの活性化が期待

新ダイヤにより、利便性が大きく高まる駅も多い。例えば、向ヶ丘遊園や成城学園前は、新設された「通勤急行」が停車するほか、始発列車の本数が増えたため、座って通勤できる可能性が高くなっている。


登戸は「快速急行」が停まるようになり、都心へのアクセスのよさがアップした。また、千歳船橋、祖師谷大蔵、狛江は、これまで通過していた「準急」が停まるようになった。経堂は「急行」が停まる本数が増えた上に、新設の「通勤準急」も停まることになり、やはり複々線化の恩恵を大きく受けている。


下北沢は、今回複々線化されたエリアであると同時に、鉄道を高架化して踏切を廃止する「連続立体交差事業」も進められている。

 

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より西側のエリアでは、小田急線の海老名駅とJR相模線の海老名駅の間にある地域で、「ViNA GARDENS(ビナ ガーデンズ)」と呼ばれる大規模開発プロジェクトが進んでいる。そこでは、タワーマンション「リーフィアタワー海老名アクロスコート」に続き、「リーフィアタワー海老名ブリスコート」のほか、複数の住宅系ビル、商業系ビル、オフィス系ビルなどが建設予定だ。この「ViNA GARDENS」を核として、周辺エリアでもさらなる賑わいの創出が期待される。なお、2018年のダイヤ改正により、小田急線の海老名駅は始発列車の本数が増加し、通勤利便性もアップしている。

 

「リーフィアタワー海老名アクロスコート」外観完成予想CG 出典:小田急不動産株式会社
「リーフィアタワー海老名アクロスコート」外観完成予想CG
出典:小田急不動産株式会社

 

また、小田急線で新宿に次いで乗降客数が多い町田は、子育てしやすい街として知名度を上げている。2017年4月に公表された「住民基本台帳人口移動報告」(総務省統計局)では、0~14歳の転入超過数が全国3位となった。このように人口が増加するなかで、通勤時における新宿までの所要時間が12分も短縮されるなど、都心への通勤・通学もさらに便利になっている。

 

以上のように、今回の「複々線化プロジェクト」の完成により、小田急線沿線すべてのエリアが改めて活性化されていくことだろう。

 

 

GGOとは、GENTOSHA GOLD ONLINE(幻冬舎ゴールドオンライン)の略称。『あなたの財産を「守る」「増やす」「残す」ための総合情報サイト』を掲げ、企業オーナー・富裕層を主要読者ターゲットとして運営している。

著者紹介

連載賃貸経営から相続対策、収益物件の組み換えまでワンストップでサポートする「小田急不動産」の強み

取材・文/椎原よしき 撮影(人物)/永井浩
※本インタビューは、2019年2月28日に収録したものです。