賃貸経営において、経年劣化に伴う資産価値の低下は避けられないリスクである。そんな中、常識とは相反する「経年優化」という考えにこだわり支持されているのが、三井ホームの賃貸経営である。本連載では、三井ホーム株式会社コンサルティング事業部の島﨑康弘氏、伊藤哲雄氏、同社営業推進部賃貸・用地グループの依田明史氏にお話を伺い、長期的かつ安定的な賃貸住宅経営を実現する「経年優化」の考えを紐解いていく。第1回目のテーマは、「相続対策のための土地活用…本当にアパート経営は有効なのか?」である。

経営リスクを低減する「一括借上げ」の注意点は?

三井ホーム株式会社 営業推進部 依田明史
三井ホーム株式会社 営業推進部 賃貸・用地グループ グループ長 依田明史

ただし、賃貸経営にはもちろんリスクもある。最も不安視されるのは、マーケットの変化に伴う家賃の変動や空室リスクだ。これに対し、三井ホームではどのような対策を行っているのだろうか?

 

 

依田氏「空室対策については、三井ホームグループの賃貸管理会社である三井ホームエステートが最長で30年にわたり一括して借り上げることで、リスクを低減します。ただし、マーケットというのは常に変化していて、家賃下落による収益性低下などのリスクを回避しきれないケースがあるのも事実です」

 

「30年一括借上げシステム」は、空室リスクの低減と管理業務の代行で、空室の心配や入居者とのトラブル、近隣のクレームから解放されるといったことから、多くのオーナーが利用しているサポートだという。しかし一括借上げといっても、マーケットの状況によっては条件の見直しや、最悪の場合、契約解除へと至るケースもある。昨今浮上している「サブリース問題」は、こうしたマーケットリスクについて、事業者側がオーナーにしっかりと説明しきれていないことも要因の一つとして考えられる。

 

 

取材・文/前田智行 撮影/押木良輔(人物)
※本インタビューは、2019年2月27日に収録したものです。

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