目の毛細血管がボロボロに…高血圧や糖尿病の「失明」リスク

今回は、高血圧や糖尿病が目に及ぼす悪影響について見ていきます。※いくら見た目年齢を若く保っても、「目の老化」は避けて通ることができません。50歳を過ぎれば、白内障や緑内障、加齢黄斑変性、眼瞼下垂など、加齢による目の疾患のリスクが上昇します。加齢による目の疾患は、症状が少しずつ進行するものも多く、気づいたときには取り返しがつかなくなるケースも少なくありません。本連載では、加齢によって生じる目の疾患について、医師がやさしく解説します。

だんだん左目の視力が下がってきて…

【事例6】 高血圧を放置していたら眼圧が高くなり、危機的状況になった!

 

忠さん(68歳)は20年以上前から血圧が高く、現役時代は会社の健康診断のたびに、「きちんと通院して薬を飲まないと、将来、大変なことになりますよ」と注意されていました。

 

その直後は近所の内科に行き、降圧剤をもらってきて飲むのですが、通院が継続した試しがありません。

 

「高血圧は怖い」と言われても、自分自身が体の不調を感じたことがないので、何がどう怖いのかが実感できないのです。

 

また、妻が忠さんとは対照的に低血圧症で、朝の寝起きが極端に悪かったり、体力がなくて疲れやすかったりする姿を見続けてきたので、「大変なのは低血圧のほうだ。血圧の高い自分は寝起きもいいし、活力もある」という思いもありました。

 

そんな忠さんですが、だんだん左目の視力が下がってきているのを感じていました。やがてものがゆがんで見えたり、左目の視野の一部が欠けたようになったりしたので、重い腰を上げて眼科に行ったところ、医師に「どうしてこんなになるまで放っておいたんですか。あなたは以前から高血圧症だったんでしょう? 目の毛細血管がボロボロになっていて、出血していますよ」と言われてしまいました。

 

「これからレーザーでの治療をしますが、どの程度まで出血を抑えられるか確実なことは言えません」と言われ、このとき初めて忠さんは高血圧症を放置したことを後悔しました。

 

忠さんは、高血圧の治療を受けるよう、たびたび注意を受けていたにもかかわらず放置し続けた結果、眼底出血を起こしてしまいました。

 

私のクリニックにも高血圧症を持つ患者さんが多く来院されます。クリニックのある草加市は、開業医同士の連携プレーがうまくできていて、内科の先生から「この患者さんをお願いします」と回していただいたり、逆に私が眼底検査の際に高血圧症に気づき、内科の先生にご紹介したりしています。

 

高血圧症はよく聞く病気のためか、忠さんのように「血圧が高いんだけど、特に自覚症状がないから、ほっておいても大丈夫だろう」と考える人も少なからずいます。

 

高血圧からくる眼底出血を起こしている場合、レーザーを打って出血を止めなければなりません。

 

ところが、片目が悪いだけの段階では危機感を抱きにくいようで、どうにか説得してレーザーの予約までたどり着いても、予約した日にドタキャンする人が少なくありません。

 

放置すると新生血管が網膜の水の通り口を塞ぎ、続発性緑内障を引き起こしてしまいます。場合によっては神経や網膜がダメージを受けて失明したり、失明後さらに悪化すると目に激しい痛みを起こし、眼球摘出が必要になることもあります。

 

高血圧症の患者さんで心筋梗塞の心配をする人は多いですが、目の心配をする人はほとんどいません。

 

こうしたリスクがあることをよく理解して、3〜4カ月に一度は眼科を受診してほしいと思います。

検診で、右目の視力をほぼ失っていることが判明

【事例7】 糖尿病性網膜症で片目を失明してしまった

 

琢磨さん(48歳・会社員)は、38歳のときに健康診断で高血糖が見つかり、糖尿病

の治療を始めました。

 

食事指導を受けるための教育入院もしましたが、当初こそ食べ物に気をつけはしたものの、結局、食生活を改めることができず、運動習慣も身につきませんでした。

 

独身で一人暮らしをしており、食事はすべてコンビニ食か外食、仕事上のお付き合いで飲食の機会が多いということも、糖尿病を悪化させる要因となっていました。

 

とりたてて自覚症状がなかったため、健康診断のたびに医師から注意されるものの治療を放置していたところ、ある年の健診で右目の視力がほとんどなくなっていることがわかったのです。

 

さすがの琢磨さんも大慌てで眼科へ行ったところ、「網膜に新生血管というよくない血管がたくさん生え、そこから出血しており、また網膜剝離を起こしています。今から治療しても、視力回復させられるかどうかわかりません」と言われてしまいました。

 

琢磨さんが眼科に行ったときすでに右目は、目の前で医師が手を動かしてもそれを認識することができないくらい、視力障害が進んでいました。

 

網膜が出血を起こしてはがれ、ぐちゃぐちゃな状態になっていたのです。

 

糖尿病は相当病気が進むまで自覚症状の出ない、恐ろしい病気です。気づいたときには相当程度悪化していて、治療不能なところまで進んでいることが少なくありません。

 

糖尿病からくる網膜剝離は、末期状態になると眼内に悪い膜ができ、それが網膜を引っ張ってはがします。正常な膜と悪い膜の区別がつきにくく、すべてが渾然一体となってぐちゃぐちゃな状態になっているので、手の施しようがないことも少なくありません。

 

琢磨さんの右目も、そのような状態になっており、結局、視力が回復することはありませんでした。

 

深く反省した琢磨さんは、その後、真面目に糖尿病の治療を続け定期的に眼科を受診して、残った左目を守る努力をしています。

 

ここまで、目の病気を放置したときに起こりうるリスクについて、事例をもとにご説明しました。

 

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アイケアクリニック院長
医療法人トータルアイケア理事
アイケアクリニック銀座院副院長 医師

獨協医大越谷病院・眼科専門外来として、黄斑外来・緑内障外来・糖尿病レーザー外来・PDT外来・硝子体内注射外来等を担当しながら、栗原眼科にも勤務。
白内障や眼瞼、結膜疾患の手術を中心に担当。その後、八潮中央総合病院眼科医長として、白内障、眼瞼、結膜疾患だけでなく緑内障手術、網膜硝子体手術、硝子体内注射など幅広く手術も行いながら、外来診療では地域住民のかかりつけ医として地域医療にも貢献している。

http://cataract.eye-care-clinic.jp/

著者紹介

連載「目の疾患」の基礎知識…加齢がリスクになる白内障・緑内障・加齢黄斑変性とは?

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