「必ず儲かる話」が「必ず損する話」になる理由とは?

詐欺師のターゲットはお金持ちだけに限りません。迫る魔の手からわが身を守る方法とは?人気経済学者、塚崎公義教授がズバリ解説。将来の経済不安には、正しい経済学の知識で対抗を。連載、第3回目です。※将来の資産形成、老後の人生設計すべてに「自己責任」が求められる時代。巷にはさまざまな経済情報・投資情報が溢れていますが、読者の皆さんは正しい知識を身につけ、活用できているでしょうか。本連載は、多くのメディアでもおなじみの塚崎公義久留米大学教授が「目からウロコ」の経済談義を通じて、正しい経済学の知識を伝授します。

「自分は大丈夫」と思ってはならない

詐欺被害に遭わないために心がけるべきことは様々ありますが、最も重要なのは、「自分は大丈夫だ」と思わないことです。

 

被害者の心の緩みに付け込むのが詐欺師です。

 

一流会社の上級管理職が詐欺に遭うケースも、決して少なくないそうです。「さすがにお目が高い! ご考察の通りです。貴方様のことですから・・・」などとおだてられるとプライドが邪魔をして、確認したいことを聞けないままサインしてしまう場合も多いからだと言われています。

 

反対に学生は、「自分はお金がないから、詐欺師など近寄って来ないだろう」と思っていると危険です。一人ひとりの学生から騙し取れる金額は少ないでしょうが、彼らは無防備で騙しやすいので、ターゲットとしては悪くないのです。

 

それ以外の人々も、自分は大丈夫だろうと考えずに、常に自分は詐欺師に狙われていると考えておくことが、詐欺の被害に遭わない最高の対策ですから、ぜひ。

 

現役の働き盛りの人々は、これまでの人生で、自分や周囲の人が詐欺に遭ったり、あるいは詐欺に遭った話を数多く耳にしたりしているので、学生や高齢者よりはリスクが低いかもしれませんが、その油断が災いの源かもしれません。学生よりもはるかにお金を持っていますから、やはり詐欺師に狙われてはいるわけで、油断は禁物です。

 

高齢者については、比較的多額の金融資産を持っている人も多く、判断能力も現役世代と比べて鈍っている人も多いので、詐欺師のターゲットになりやすいのですが、自分だけで気をつけるのは容易ではないかもしれません。周囲は何らかの手助けができないか、要検討ですね。

相手の立場に立てば、真相が見えてくる!?

さて、詐欺にも色々ありますが、最も典型的なのは「必ず儲かる投資話」でしょう。被害に遭わないための対策は、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という認識をしっかり持つこと、そして、「相手の立場で物を考える」ということがあげられるでしょう。

 

世の中には、苦労もせずリスクもなく必ず儲かる案件などありません。もし万が一そのような案件があったとしても、誰かが先に実行してしまっているはずです。世の中には資金も知恵も時間も十分にある投資家たちがウヨウヨいるわけですから。

 

したがって、「儲かる可能性がある案件には必ずリスクがある」ということは、しっかり覚えておきましょう。そうすれば、「必ず儲かる話」が来たときに、これは怪しい・・・と気付ける可能性が高まるでしょう。

 

余談ですが、高金利通貨などもリスクがあることは十分認識しておきましょう。もちろん、高金利通貨は詐欺ではなく、期待値的には悪くないのかもしれませんが、リスクがないと思って投資する人も多いようなので、念のためのご注意です。

 

次に、「相手の立場で物を考える」ということについてです。みなさんは「必ず儲かる投資話」を知っていたら、見知らぬ人に教えてあげますか? 教えてあげる人は非常に少ないはずです。そうだとすると、読者に「必ず儲かる投資話」を教えてくれている人は・・・。

 

余談ですが、「相手の立場で物を考える」というのは、様々な場面で非常に有効です。道徳の先生は、いじめっ子に対して「いじめられている子の立場に立って考えてごらん」などと言いますね。優しい心を持ちなさい、ということですね。しかし、ビジネスの世界では、そうではありません。

 

「お客様に一番ピッタリの商品です」という言葉も、そう言っているセールスパーソンの立場にたてば、「我が社の利益率の一番高い商品です」と読み換えることができるかもしれません。

 

また、「ライバルが何をされたら一番嫌がるか」を考えることも重要なのです。将棋や囲碁も、自分の好きな手を打つのではなく、相手が困りそうな手を打つわけですから、同じことですね。

「相談相手がいない人」は騙されやすい

詐欺に遭わないための心構えとして、「孤独にならない」ことも重要です。孤独になると、「相談できる相手がいないので、騙されやすい」という点に加えて、「孤独な人に親切にしてあげると心を開いてくれるから、それからゆっくり財産の話をしよう」と考えている詐欺師がいるからです。

 

気軽に雑談できる相手が大勢いれば、「こんな投資話があるのだが、君も一緒にどうか?」といった話が誰かとできるかもしれません。そうすれば、聞いた人が「その話は怪しいのではないか」と気づくかもしれません。

 

大勢いれば誰かが気づく、ということもありますし、当事者ではない友人の方が冷静に話を聞くので、傍目八目の効果も期待できるかもしれません。おそらく読者が儲かる商品について友人に説明するときには、詐欺師が読者に説明したときほど商品の魅力を上手には説明できないだろう、ということもありますし。

 

若者でも孤独な人はいるでしょうが、詐欺との関連でいえばそれ以上に深刻なのは、引退したサラリーマンでしょう。自営業者は元気な間は働けるので、孤独を感じる可能性は高くなさそうですが、会社と家の往復だけをしていたサラリーマンが会社に行かなくなると、自分の居場所がありません。

 

奥さんは自分たちだけのコミュニティをしっかり持っている場合が多いでしょうから、奥さんとずっと一緒にいると「濡れ落ち葉」などと言われかねません。

 

働ける間は、定年後再雇用でも転職でも起業でも、何か仕事をした方がよさそうですね。孤独を避けられるだけでなく、社会に貢献しているという実感も持てるでしょうから。場合によっては、収入の得られないボランティア活動でも良いかもしれませんね。

老親への親孝行が詐欺被害の予防策に

読者自身の問題を離れ、もしかして田舎で一人暮らしをしている高齢の親がいたりしませんか? いる場合、毎日電話していますか? 毎日電話をすることは、安否確認という意味でも重要ですが、親が孤独に陥らないためにも、親が孤独に陥っていないことを確認するためにも、とても重要なことです。

 

詐欺師は、孤独な高齢者に近づいて親切にして、信頼を得ることを心がけているとも言われています。うまくいけば「君の方が息子より遥かに頼りになる」と思ってもらえるかも知れません。そうなれば、無敵です。実の息子が「そいつは詐欺師だから、騙されてはいけない」と忠告しても、聞く耳を持たないからです。

 

読者の老親に、今頃詐欺師がコンタクトしているかもしれませんよ。早速今日から毎日電話をしましょうね。

 

今回は、以上です。

 

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塚崎 公義

久留米大学教授

 

経済評論家

1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の仕事に従事したのち、2005年に退職して久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と無関係に個人として行なっているものであるため、現職欄には経済評論家と記すものである。

著書に、『老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識』『初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく』(以上、東洋経済新報社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)、『退職金貧乏 定年後の「お金」の話』『なぜ、バブルは繰り返されるか?』(以上、祥伝社)、『経済暴論』『一番わかりやすい日本経済入門』(以上、河出書房新社)など多数。

趣味はFacebookとブログ。

著者紹介

連載塚崎公義教授の目からウロコの経済談義

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