会計学の教授が「家庭を築く」ことをオススメする理由

今回は、結婚や子供の有無が老後にどのような影響を与えるかを考察します。※本連載では青山学院大学大学院教授の榊原 正幸氏の著書、『老後資金、55歳までに準備を始めれば間に合います』(PHP研究所)から一部を抜粋し、老後対策として自宅はどうするべきか、年代ごとにやるべき老後対策はなんなのかについて解説します。

思い切って踏み出せば、想像以上の世界が開けることも

本連載は恋愛を主題にはしていませんので、結婚観についてはあまり深く突っ込みませんが、結婚については肯定的な立場をとりたいと思います。すなわち結婚は、しないよりはしたほうがいいという立場です。理由はいろいろとありますが、やはり一生独身では寂しいですし、人生のバランスも偏った感じになりがちだからです。

 

結婚については、「石橋を叩いて、叩いて、叩きすぎて壊してしまって渡れない」という人が多いように思います。私も多少そういった節がありました。だからこそいえるのですが、「『結婚』といっても、実は、学生時代の『カレシ・カノジョ』の延長線上にあるものだと思いますよ。ですから、『適齢期』に好きな人ができたら、思い切って踏み出してみては⁉」といった感じです。これは「恋愛と結婚は別だ」派の人には受け入れがたいメッセージかもしれませんが、結婚はやはり恋愛の延長線上にあったほうが自然だとは思います。

 

なお、「適齢期」とは、ザックリいえば男女とも「25歳~35歳」くらいでしょうか。精神的に自立した大人であることを条件にして考えれば「25歳以上」が適齢ですし、子育てのことを考えれば「35歳くらいまで」が適齢だというわけです。

 

人生には「ご縁」というものがたくさんあると思います。結婚相手はまさにその好例ですが、他にも親友や職業(勤め先)、生まれた地域や長く住む地域、そして、住むことにした住居など、さまざまなものが「ご縁」という不思議な巡り合わせによって決まっていくのが人生だと思うのです。

 

ですから、「『適齢期』に一緒にいた『好きな人』」とは「ご縁」があったのだと思って、思い切って結婚してみればいいのです。日本人男性は誰もオードリー・ヘップバーン女史とはご縁はなかったわけですが、「『適齢期』に一緒にいた『好きな人』」こそが各人のオードリー・ヘップバーンであり、ジェームズ・ディーンなのです。

 

次に、子供についてですが、これも価値観は人それぞれだと思います。「結婚はしたものの、子供はほしくない」という生き方もありでしょうし、子供はたくさんほしいという考えもありでしょう。

 

私は個人的には、結婚には慎重だったとはいえ比較的前向きでしたが、子供については結婚以上に極度に慎重になっていました。とにかく「子供=責任」という重圧感が重くのしかかり、子供を持つことについてはなかなか肯定的になれませんでした。

 

30代前半の私は、精神的にまだまだ未熟だったのでしょう。「父親になる」ということが、どうしても実感できなかったのです。妻が妊娠している時期に「マタニティー・ブルー」になったのは、妻ではなく私だったくらいです(苦笑)。

 

しかしなんと、実際に生まれてきた自分の子供を抱いた瞬間に、すべての不安は吹っ飛んでしまったのです。ひたすら「かわいい!」と感じ、ただそれだけになってしまいました。文字通り、「案ずるより産むが易し」なのです。

 

「子供はかわいいから、ぜひ産むといいですよ!」とは言いません。「子供のいない人生も、また楽し」だと思います。しかし一方で、ひとたび自分の子供を手にしてしまったならば、子供のいない人生は、もう想像できなくなります。「自分の子供」というのは不思議な存在です。

老後対策のために「家族」を持つのではなく…

☆「老後対策」との関連で「結婚と子供」について考える

 

「老後対策」というと、どうしても一番に頭に浮かぶのは「お金の心配」ですね。しかし、お金とは違う次元で、非常に大切な「老後対策」が、「家族を持っていること」だと思うのです。

 

「老後対策」の一環として結婚や子供を考えるというのはおかしいと思いますが、結婚して子供を持っておくことは「老後対策」の重要な一側面をサポートしてくれるのだとは思います。つまり、「老後対策」→「結婚や子供」ではなく、「結婚や子供」→「老後対策」なのです。すなわち、順番としては、

 

1.真剣に結婚に対して前向きになり、素敵な結婚をする

2.大人としての自覚と責任をもって、子供を産み育てる

3.結果として、老後を寂しく暮らすということにならずにすむ

 

といったイメージです。ただし、この逆の論理は間違っています。老後対策のために子供を持つとか結婚するとかいうのは、若い人の考えることではありません。

 

なお、もちろんのことながら、自分の子供に自分の老後の面倒をみてもらおうなどとは夢にも思わないことです。それこそお金の面に始まり、介護などについても自分の子供やその配偶者は一切あてにしないことです。子供は、ただ元気に育って社会に巣立ってくれればそれでいいとしなければなりません。そして、「いてくれるだけでいい」という存在なのです。できれば近所に住んでくれればそれに越したことはありませんが、遠くにいても元気で活躍してくれればそれでいいのです。

 

また、子供がいなければ「孫」を楽しみにしたり、かわいがったりすることもできません。子供や孫がいてくれることで、老後における精神的な楽しみが得られれば、それがなによりの幸せにつながると思うのです。

 

 

榊原 正幸

青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科教授

 

青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科教授

専攻は会計学。1961年、名古屋市に生まれる。1984年、名古屋大学経済学部卒業。1990年、名古屋大学大学院経済学研究科博士課程修了。1997年、東北大学助教授。2001年、レディング大学よりPhDを授与される。2003年、東北大学大学院教授を経て、2004年から現職。

著者紹介

連載大学教授がやさしく解説!科学的マネー戦略による「老後資金」準備術

本連載は、投資を促したり、特定のサービスへの勧誘を目的としたものではございません。また、投資にはリスクがあります。投資はリスクを十分に考慮し、読者の判断で行ってください。なお、執筆者、製作者、PHP研究所、幻冬舎グループは、本連載の情報によって生じた一切の損害の責任を負いません。

 

老後資金、55歳までに準備を始めれば間に合います

老後資金、55歳までに準備を始めれば間に合います

榊原 正幸

株式会社PHP研究所

「安心老後」と「貧乏老後」の分かれ道は、55歳!? 「預貯金、株式投資、保険、副業、自宅購入、不動産投資、金地金・・・、結局どうすればいいの?」――還暦間近の大学教授が科学的に分析し、読者の疑問に答える画期的一冊。 …

 

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