会計学の教授が「固定金利・超長期ローン」で自宅購入した理由

今回は、自宅購入の際に固定金利・長期ローンを選択するメリットを見ていきます。※本連載では青山学院大学大学院教授の榊原 正幸氏の著書、『老後資金、55歳までに準備を始めれば間に合います』(PHP研究所)から一部を抜粋し、老後対策として自宅はどうするべきか、年代ごとにやるべき老後対策はなんなのかについて解説します。

一括返済しない理由は「いつ死ぬかわからない」から

私は自宅の購入にあたっては、完済時79歳という最長期間(29年)でローンを組みました。金利は全期間固定です。これからのインフレ時代には固定金利が必須条件です。

 

私が勤務している青山学院大学は、定年が68歳と9カ月(満68歳になった後に最初に迎える3月31日)で、一般的な定年の時期よりは遅めですが、それでも定年になってから10年以上も続く長いローンを組みました。もちろん、退職金やその他の蓄えで、定年のときには一括完済が可能であろうという計算もたっていたのですが、私としては定年後も完済はせずに、ローンを払い続けようと思っています。というのも、団体信用生命保険(いわゆる「団信」)に入っているので、残債部分に相当する金額の生命保険に入っているような感覚だからです。金利分が生命保険代といった感じです。

 

また、株式等によって資産運用をすることを前提にして考えた場合、住宅ローンの金利より高い運用利回りが期待できるのであれば、住宅ローンについては一括返済をせずに、運用に資金を充てたほうが有利だからということもあります。

 

「住宅ローンの金利 < 運用利回り」であれば、一括返済はしないほうが有利だということです。

 

そして、長いローンを組んで定年後も完済はせずに、ローンを払い続けようと思っている本当の理由は、実は、「人間、いつ死ぬかわからないから」です。死ぬ少し前に(たとえば70歳のときに)ローンの残債(たとえば3,000万円)を一括返済してしまって、その1年か2年後に死んでしまったら、一括返済した分(3,000万円)が水の泡ですよね。だから、一括返済はしないのです。ただし、この場合に重要なことは、「いつでも全額完済できる分の資金を保有していること」です。そうでなければ、単に老後のか細い収入の中から無理矢理資金を捻出して、住宅ローンを支払い続けるという無理なプランになってしまいます。そういう無理なことは老後には避けなければなりません。

 

この節の内容をまとめます。住宅ローンを組むにあたっては、次の点がポイントになります。

 

①金利は全期間固定が必須。

②できるだけ長いローンを組む。

③ローンを組む際に団体信用生命保険に入る。

④定年退職時には退職金等で一括返済が可能なように設計する。

⑤ただし、定年退職時にも一括返済はせず、ローンを払い続けることとする。この場合に重要なことは、いつでも全額完済できる分の資金を保有していること。

自宅購入にお勧めのタイミングは2021年 or 2022

自宅購入で最も重要なのは「購入のタイミング」です。2016年11月現在も、2012年12月からのアベノミクス以降、「都心の駅近」の不動産の価格は上がり続けています。ですから、購入のタイミングは今すぐではないと私は考えます。

 

では、いつなのか?

 

「2021年」か「2022年」です。

 

早ければ2017年の年央遅くとも2019年中には東京オリンピックバブルがピークになって、株価や不動産価格がはじける(急落する)でしょう。そして、その2~3年後の2021年か2022年には不動産価格が安くなっている可能性が高いと私は予想しています。すなわち、不動産価格は、東京オリンピックの前には天井を付けて、下落を開始する可能性が高いと思いますが、底値圏になるのは天井を付けてから少なくとも2~3年という時間を要するでしょう。ですから、2021年か2022年が底値圏になるのではないかと予想されるのです。

 

なお、その頃には国債バブルもはじけて、日本が国家財政破綻をきたしてしまい、日本経済が大混乱になり、ハイパーインフレになっているかもしれません。そこで、そうなる前、すなわち、「東京オリンピック後、かつ、ハイパーインフレ前」が千載一遇のチャンスです。

 

日本における不動産の価格の推移を大ざっぱにみていくと、次のようになります。

 

[図表1]

 

以上のようなこれまでの推移から、以下のように予想します。

 

[図表2]

 

この予想は、これまでの推移から、そして、東京オリンピックの開催時期を織り込みながら単純に予想したものなのですが、経済的に成熟した国の不動産市場というのは、このように周期的な変動を繰り返すと予想されるのです。ただし、インフレが持続するようになった場合は、不動産価格も長期的な上昇をすることになるでしょう。

 

今(2017年)から2021年か2022年までの4~5年の間は、住宅用の頭金を貯めながら、不動産の勉強をしておくのがベストでしょう。

 

また、本書(『老後資金、55歳までに準備を始めれば間に合います』)第4章で解説する株式投資を実践していくことで、2022年頃には、まとまった資金ができているかもしれません。その資金の一部を自宅投資の頭金に充当するのもよいかと思います。

 

なお現在、賃貸住宅にお住まいの場合は、今すぐダウンサイジングをするといいでしょう。5~6年後に一戸建てを購入することにして、それまでの間は少し狭くて、勤務先から少し遠くても我慢して、その分を頭金のために貯金しておいたほうが賢明だと思います。ですから、自宅を買うのは5~6年後だとしても、老後対策としての自宅投資の計画は「今この瞬間から」スタートさせるのです。

 

まずは、老後対策の一環として、自宅投資の準備を始めましょう。その最初の一歩が、(賃貸住宅にお住まいの場合は)ダウンサイジングをすることだと思います。引っ越し代と礼金・仲介手数料で、たとえば40万円くらいかかるとしても、家賃が毎月3万円くらい安くなるならば、5~6年間で140万円~176万円は浮くことになります。

 

3万円×5~6年(60カ月~72カ月)-40万円(引っ越しなど諸費用)=140万円~176万円

 

私の場合は、老後対策を始めたのが2010年末で、不動産価格はそのときが底値圏だったので、すぐに購入の行動を起こしましたが、2017年の現時点ではすぐに自宅を購入することをすすめているわけではありません。

 

しかし、頭金の貯金や賃貸住宅のダウンサイジングということ24は、今すぐに始められることですので、それを始めておいて、自宅投資のタイミングを虎視眈々と待つというのが現時点におけるベストな戦略だと思います。

 

 

榊原 正幸

青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科教授

 

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青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科教授

専攻は会計学。1961年、名古屋市に生まれる。1984年、名古屋大学経済学部卒業。1990年、名古屋大学大学院経済学研究科博士課程修了。1997年、東北大学助教授。2001年、レディング大学よりPhDを授与される。2003年、東北大学大学院教授を経て、2004年から現職。

著者紹介

連載大学教授がやさしく解説!科学的マネー戦略による「老後資金」準備術

本連載は、投資を促したり、特定のサービスへの勧誘を目的としたものではございません。また、投資にはリスクがあります。投資はリスクを十分に考慮し、読者の判断で行ってください。なお、執筆者、製作者、PHP研究所、幻冬舎グループは、本連載の情報によって生じた一切の損害の責任を負いません。

老後資金、55歳までに準備を始めれば間に合います

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榊原 正幸

株式会社PHP研究所

「安心老後」と「貧乏老後」の分かれ道は、55歳!? 「預貯金、株式投資、保険、副業、自宅購入、不動産投資、金地金・・・、結局どうすればいいの?」――還暦間近の大学教授が科学的に分析し、読者の疑問に答える画期的一冊。 …

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