欠陥住宅を見抜く――「室内」で確認すべき6つのポイント

本記事では、建売住宅の欠陥・不具合を見抜く秘訣を「外壁」「建物の見えない箇所」「室内」「水回り」に分けて解説します。今回は「室内」編です。

建物の品質がひと目で分かる「入隅」の仕上げ

ポイント① 住宅に入ったらまず角を見る

 

家の快適さは、室内の仕上げで決まります。不具合を感じながら暮らしていくことは、大きなストレスになりますし、小さなイライラが募って家族間に不和を生む原因になるかもしれません。

 

せっかく新築の家を購入したにもかかわらず我慢を強いられる羽目にならないように、事前に厳しくチェックしていきましょう。そのための見分けるポイントを解説していきます。

 

住宅の内覧などを行う際に、皆さんでも建物の品質、職人の腕を見分けられるポイントがあります。玄関を入ったら、まず「入隅(いりずみ)」を見てください。入隅とは、部屋の角の隅のことを指します。この部分の角材の結合箇所に不自然な隙間ができていないかをチェックするのです。

 

入隅には建築に携わった職人の腕が表れます。隙間が開いている場合は、言葉は悪いですが、経験の浅い下手な職人であるか、もしくは時間がなくて雑に済ませているかのどちらかである可能性があります。大きな問題ではなくとも、家全体の仕上がりをチェックするためには、最初に見ておきたい場所です。

 

専門家である私たちはもちろんですが、建築に詳しい人なら、初めての家ではまず、「入隅」から見ます。良い家か、雑に建てられた家かを見極める箇所といっても過言ではありません。また、クロスを貼る際に入隅に継ぎ目ができてしまっている場合も多いので、隙間が開きすぎているとさらに目立ちます。

 

木は含有している水分量によって伸縮しますから、冬の乾燥している時期と梅雨時では隙間の開き具合も違ってきます。見る時期によって、ある程度の動きはあることを考えのうちに入れておく必要があるでしょう。

新築なのに「出隅の隙間」が開いていると質が低い!?

住宅の角の引っ込んだほうを「入隅」と呼ぶのに対して、出っ張った角は「出隅(ですみ)」といいます。この「出隅」や「入隅」部分の角部分の巾木や廻まわり縁ぶちなどは、左右の木材を斜め45度にカットして突き合わせるのが本来の職人の手法です。

 

しかし、職人によっては、この手法をもとから知らないのか、斜めにカットする手間を省きたかったからなのかはわかりませんが、直線にカットした面を垂直に合わせている場合があります。

 

これは欠陥とまではいいませんが、新築であるにもかかわらず出隅の隙間が大きく開いているのは質の低い家であるひとつの目安です。経験の浅い職人が造った、工期の短い家だということが一目でわかってしまいます。

 

長く住んでいるうちに家が揺れたりすることで、少しずつ隙間はできるものですから、中古住宅の場合は、ある程度の隙間があって当然です。ただし、極端に開いているものは論外です。

 

建物の入隅や出隅の隙間は、よほどひどい状態でない限りは見た目の問題だけで済みますので、同色系のコーキング材で補修してもらえば大きな問題にはなりません。

特別な道具を使用しなくても「異常な傾き」は確認可能

ポイント② 家や床は1000分の6以上の傾きはアウト

 

家や床の傾きは、住宅の欠陥・不具合の代表例です。テレビ番組などで、ピンポン球を置いて傾きを確かめる様子などを見たことがある人も多いでしょう。

 

家が傾いていると、ドアなどの建て付けが悪くなったりという不便があることに加えて、ひどい場合は人体にも悪い影響があります。ずっと傾いた状態で暮らしていることで平衡感覚がおかしくなってしまったり、目まいを起こしたりすることがあるのです。

 

家や床が傾いているかどうかの目安は、数字でいえば、1000分の6の傾斜までは許容範囲です。この数字以下なら暮らしていて不都合はありませんし、体に異常を感じることもないでしょう。家や床の傾きは、普通に立ったり歩いたりするだけでは、なかなかわかりません。

 

また、木造住宅においては、不陸(ふり)くといって、床には、わずかな傾きや、多少波打っている状態が一般的でもあります。そこで、特別な道具を使うことなく、自分で家の異常な傾きを確認する方法がいくつかあります。

 

ひとつ目は、室内のドアを開けてみることです。トイレ、居室など、どこでもよいので、ドアを開けて、途中で手を離してみてください。傾きに問題がなければ、手を離したところでドアは止まります。しかし家が傾いていると、勝手に動き出して閉まったり、逆に開いたりします。

 

もうひとつは、室内の照明器具や火災警報器など、室内にぶら下がっているヒモを見ることです。50センチメートル程度あるヒモがないか探してみてください。片目をつむった状態で、サッシやドア枠の縦のラインとヒモを重ねて見てみます。建物が傾いていると、縦のラインが斜めになって見えます。

 

家に適当なヒモがないときには、「重りと糸」を持参しておくと便利です。重りをつけた糸を、入隅の近くの壁にテープで貼ってみましょう。入隅の縦のラインとぶらさげた糸
を平行に見て、上のほうと下のほうとで開き具合が違うなら、傾いています。新築物件で壁にキズを付けるわけにはいきませんが、許可を得たうえで、跡が残らない場所にテープを貼るぐらいは許してもらいましょう。

「道路のマンホール」が家を傾かせる原因に!?

専門的な診断になりますが、「赤外線ラインレベラー」という機器を使えば、より正確に傾きを測ることが可能です。この器械から発する赤い赤外線ラインと、壁の隅のラインとを見比べて、傾きが許容範囲の1000分の6以内に収まっているかを確認します。

 

また、家の敷地が接している道路についてもチェックが必要です。家の敷地が接している道路にマンホールはないでしょうか。マンホールの上を大型車やトラックが通るたびに、家に振動が伝わってきます。その振動が長年続くと、やがて家を傾かせる原因になるのです。

 

中古住宅の場合には、すでに傾きが起きている場合がありますので、床鳴りを確かめながら歩いてみてください。1、2カ所なら問題ないと思いますが、3カ所以上にもなると、建物に問題があると考えられます。

 

自分で家の状態を確かめたいというご要望に応えて私たちが開発したのが、スマートフォン専用アプリ「水平くん」です。これを使えば、垂直と水平モードの切り替えで誰でも家の傾きの状態を確認することができます。

 

入隅で垂直を確かめる際には、「垂直」モードにしてください。また、床の傾きを見る場合には、「水平」モードを選んでください。いずれも傾きが1000分の6以上の場合は、要注意として、警告が出るようにもなっています。

 

複数の箇所を測定して、数値が同じであれば、家全体が傾いている可能性が大きいといえます。ときには、1カ所だけの傾きが大きく出ることもありますので、必ず、複数の箇所を測定してください。同じ方向に1000分の6以上の傾きがあるポイントが3カ所以上発見された場合は、購入を再検討すべきです。

大きく差がつく「クローゼットや押入れ」の内部

ポイント③ クローゼットでわかる工事業者の腕

 

部屋のように、一見してわかる場所ではないだけに、クローゼットや押し入れといった収納部には、事業者の質がはっきりと表れます。雑な職人と丁寧な職人の仕事ぶりには、大きく差が出てしまうのです。

 

そのひとつが、収納内部のクロスを貼らないタイプの物件の場合です。これは、奥の壁の部分に石膏ボードがむき出しで見えますから、継ぎ目の処理を見ることになります。

 

ボードの継ぎ目を見て、きれいに隙間を埋めるコーキング仕上げがされていれば問題ありませんが、中には継ぎ目がそのままでギザギザが見えている場合があります。

 

また、石膏ボードの上にクロスを貼った仕上げになっている場合は、石膏ボードの継ぎ目が出ていないか、釘を打った箇所が直に見えていないかを確認しましょう。

浴室、トイレ…すべての「扉・窓の開閉」もチェック

扉についても、部屋と同じく、動かせる部分はすべて開閉の確認をしてください。施工不良のケースとしては、扉を開けようとすると、止まっているはずの側まで動き出すことがあります。

 

また、扉の取っ手が仮留めのままになっていることもあります。クローゼット内ですから、多少のキズや隙間は大目に見るとしても、ここでどのような仕事をする職人だったかを確認したうえで、他の場所もチェックするといいでしょう。

 

ドアと同じく、開閉の確認が必要なのが窓です。一方向にはスムーズに動いても、逆に動かそうとすると、ひっかかりが生じることもあります。トイレや浴室などの小さな窓も含めて、すべて開閉の確認をしてください。

 

窓枠は、プラスチックや樹脂でできている場合がほとんどですが、窓枠のビスがきちんと留まっていないケースもあります。窓枠の仕上げ、ビスの付け忘れに不備がないか確認するようにしましょう。

念入りにチェックすべき「壁とフローリング」の境目

ポイント④ 巾木の仕上げをチェック 

 

巾木(はばき)とは、壁と、壁の下の部分にあるフローリングとの境目の部分を指します。この巾木のトラブルも、建売住宅でよく見かけます。

 

巾木は、“フィニッシュ釘”という頭の出ていない釘で留めるのですが、これが最後まで打ち込まれておらず、飛び出しているケースがあります。未処理のフィニッシュ釘は、とても危険です。

 

また、巾木の下からパッキンがはみ出していることや、ゴミが溜まっている場合もあります。隅の部分に隙間が開いているケースもあります。巾木は、室内のすべての壁の下にありますので、全室にわたって念入りにチェックするようにしてください。

 

掃除してきれいになる程度なら問題はないのですが、施工不良の箇所については、直してもらう必要があります。隙間が大きく開いている場合は、クロス補修剤(コーキング剤)で隙間を埋めてもらう必要があります。

入居後に「巾木と床の隙間」が広がる理由

巾木と床の隙間については、入居後にさらに目立ってくるはずです。室内での人の動きや家具の重さで床が沈むこともありますし、湿気や寒暖差、冷暖房の影響、外からの風や車の行き来によって伝わる振動など、さまざまな影響を受けていくからです。

 

狭小住宅とされる3階建ての建売住宅の場合は、揺れの影響が特に大きく出る傾向があります。上階のほうが揺れが大きくなるため、1階は問題なくても3階は隙間が大きくなっていることもよくあります。

 

こうした場合でも、あわてて補修を依頼するのではなく、家の状態が落ち着くのを待ってみましょう。

 

新築物件の場合、建物は10年保証ですが、クロス保証は通常1~2年間です。目立つ隙間やキズがあるなら、入居後数カ月を過ぎてから、まとめて依頼するとよいと思います。

 

[図表1] ドア枠と巾木の隙間

 

[図表2] フィニッシュ釘の処理

職人によって仕上がりに差が出やすい「階段の施工」

ポイント⑤ 階段は板と板の継ぎ目を見る

 

階段の施工は入り組んでいる部分が多いので、職人によって仕上がりに差が出やすい場所です。いくつかのチェックポイントがありますので、参考にしてください。

 

階段は足を乗せる踏み板と、爪先が当たる蹴込(けこ)み板、側面の「ささら」と呼ばれる部分に大別されます。

 

まず見るべきなのは踏み板と蹴込み板との継ぎ目です。ささらの部分に仕上げテープを貼り忘れたり、釘が直に見えていたりする不備も見つかることがありますし、踏み板と蹴込み板とささらの継ぎ目に、隙間が開いていることもあります。

 

継ぎ目の隙間が大きく開いていると、きしみの原因になりますし、住んでいるうちにさらに隙間が大きくなる可能性もあります。

「ビスの飛び出し」と「手すりの安定性」も要確認

階段は、裏側からビスを打って作っていきます。本来であれば板の厚みの中に、すべてのビスが収まっているのが正しい状態です。しかし職人の腕があまりよくないと、階段の表側にビスの先端が飛び出してしまうことがあります。

 

さらに、ビスの打ちどころが端に寄りすぎていたせいで、階段の表部分を持ち上げてしまったり、ひどい場合には板にひびが入ってしまうケースもあります。板と板の継ぎ目の部分に関しては、特に細かくチェックするようにしてください。

 

また、一般の建売住宅の場合は、回り込む形で、やや急な角度で階段が設置されていることが多くあります。このため、手すりの安定性が非常に重要になります。小さなお子さんのいる家庭では、さらに重要なポイントになるはずです。

 

支えが正しい位置にないと、手すりを持ったときに揺れて不安定です。軽く動かして、安定性を確認してください。

「天井付近の壁」「窓サッシ周辺」のシミをチェック

ポイント⑥ 天井のシミは雨漏りを疑え

 

中古住宅に限らず新築分譲住宅を検討する際も、天井付近の壁にシミがないかを丹念に見てください。天井裏を見ることはできませんが、壁の上のほうをチェックすることで状況は把握できます。

 

または、窓のサッシ周辺の木枠にシミがある場合もあります。必ずしも雨漏りが原因ではなく、結露の可能性もありますが、壁紙の表にまでシミがある場合は、内側に水分が含まれていることが多くあります。

 

私が行っている建物診断では、赤外線サーモグラフィーを使って内壁表面の温度変化を測定します。一般的な木造住宅の場合、ビニールクロス仕上げですから、壁内に水分が入り込んでも、表面上は見た目の変化が起きません。しかし、壁の中に水分が存在し続けることによって、建物全体の劣化を招いてしまいます。

 

雨水の浸入ルート、雨水がとどまっている場所、室内への雨漏り箇所も、温度変化によって診断できます。中古物件の場合は、すでに結露による建物の劣化が起きていることもあります。特に、天井の明かり取りをする天窓の周辺は温度差が激しいため、結露が発生しやすい場所です。

「雨漏り」「湿気」を防ぐさまざまな対策とは?

一見しただけではわかりませんが、赤外線サーモグラフィーを使えば水分を多く含んでいる箇所を特定できます。少量の雨漏りの場合でも、そのまま放置するとカビの発生やクロスの剝がれにつながりますので、結露対策が必要になります。水気に強いクロスに貼り替える、木部の塗装をすることによって、防露になります。

 

また、結露が出やすい建物の場合は、日当たりの悪さが理由のひとつですから、風通しをできるだけよくすることも必要になります。その場合、24時間換気システムを設置するケースが多いのですが、中古住宅であっても木造住宅であれば取り付けることは難しくありませんので、不動産会社、またはリフォーム業者に相談してみてください。

 

また、湿度をコントロールできる珪藻土や防湿効果のある機能性壁紙に替える方法もあります。湿度をコントロールして、カビが発生しないようにすることは、健康を守るうえでも大切なポイントです。

 

 

田中 勲

レジデンシャル不動産法人株式会社 代表取締役

 

レジデンシャル不動産法人株式会社 代表取締役

仲介手数料無料ゼロシステムズを運営して首都圏全域の不動産仲介と建物診断を行う。不動産業界に20年以上従事しており、物件の売買実績は1000件以上。そこで得た経験をもとに“田中式建物診断”という独自の建物診断を提唱している。欠陥住宅の購入を防ぐ欠陥住宅の専門家として知られ、独自の建物診断の第一人者として、ラジオ、テレビ、雑誌、書籍等多数のメディアで活躍している。

著者紹介

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本連載は、2015年6月25日刊行の書籍『こんな建売住宅は買うな』から抜粋したものです。その後の法律・条例改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

こんな建売住宅は買うな

こんな建売住宅は買うな

田中 勲

幻冬舎メディアコンサルティング

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