欠陥住宅を見抜く…「建物の見えない箇所」を確認するには?

本記事では、建売住宅の欠陥・不具合を見抜く秘訣を「外壁」「建物の見えない箇所」「室内」「水回り」に分けて解説します。今回は「建物の見えない場所」編です。

建物内部の見えない箇所は、業者を信じるしかない!?

ポイント① 素足で床の感触を確かめるのが基本

 

建物内部のチェックポイントを解説します。建物にとって、見える部分の良し悪しが大切なことは繰り返し述べてきましたが、見えない箇所はさらに大切です。

 

長く安全・快適に暮らすために求められる家の機能や安全性に関する部分は、基本的に内部に入っているからです。水回りや電気の設備、断熱、防水などの施工状態に関しては、一般の人はなかなか見る機会がありません。

 

建売住宅の場合はすでに完成している物件を見るわけですから、内部に納められている設備などがきちんと施工されていると信じるしかないというのが実情です。

 

通常、内部を確認する際には、チェックポイントを押さえたうえで、厳しい目線で臨まないと、気づかずに通り過ぎてしまいがちです。賢く、確実にチェックすることで、買ってから後悔することがないようにしてください。

ゆっくり歩きながら基本チェックポイントを細かく確認

まず建物の中を確認する際は、スリッパは履かないでください。不動産会社に案内される場合、通常は玄関に用意されているスリッパを履くことをすすめられるでしょう。ごく当たり前のサービスですが、スリッパを履いて歩くと、床の感触がわからなくなります。

 

特別な測定器具を持っていなくても、指先に感覚を集中しながら床を歩くことで気づくことは少なくありません。

 

・床の傾き

・フローリングの浮き

・床のキズやへこみ


これらのチェックポイントは基本中の基本ですが、ゆっくりと歩きながら、床の施工状況を確認していきましょう。

 

そのためにも、物件を見る際は時間にゆとりを持ってスケジュールを組むことをおすすめします。いくつも物件を見ようとすると焦ってしまいますので、注意してください。

 

もっとも、暖房器具が何もないフローリング床はかなり冷えますので、体調とも相談しながら進めてください。靴下だけではつらい方は、足裏の感覚をつかめる薄手のスリッパを履いたうえで、床を意識しながら歩いてもいいでしょう。

建物の寿命と人の健康を脅かす床下のトラブル

ポイント② 床下の水漏れは大問題

 

床下の水漏れは、建売住宅のトラブルの代表例のひとつです。家の1階部分には、床下点検口や収納庫がありますので、ここから床下の状況を確認することができます。床下収納庫の場合は、ふたを開けて、はめ込まれている収納庫を外します。特別な工具は必要ありません。

 

次に、床下を見るのですが、その前にやるべきことがあります。細かいことですが、上着の胸ポケットを確かめておきましょう。床下をのぞき込んだ際に、転げ落ちるようなものは入っていないでしょうか。携帯電話やペンなどは、ポケットから必ず出しておいてください。

 

それでは、いよいよ床下へ頭を入れてのぞき込んでください。懐中電灯を持参していると、奥まで確認できるのでおすすめです。ここでいちばん多いトラブルが、水漏れです。チェックすべきは、次の点になります。

 

◦床下は、水漏れしていないか

◦湿気を感じないか

◦カビ臭さを感じないか

 

建売住宅は、注文住宅にくらべて工期が短く、1棟当たり2カ月程度の突貫工事で建てられている場合が多くあります。突貫工事で建てられることによる弊害は少なくありません。基礎工事の段階で雨が降ると、本来はしっかりと乾燥したことを確認して先に進みますが、工期が限られている場合はそれを待てません。

 

注文住宅の場合は時間をかけて建てますから、自然に乾燥していく時間がありますが、建売住宅の場合はその時間がないのです。乾燥を待たずに工事を続行していくと、濡れた基礎の上に家が建つこともあります。基礎のコンクリートに水が残っていないか、または、湿気からカビを発生させていないか、自分の目と鼻をフル稼働させて、確認してください。

 

実際に私が診断を行った物件でも、床下を開けると水が溜まっていてプールのような状態になっていたことがありました。排水管の接続部がきちんとつながっていなかったのが理由です。ここまでひどい例はめったにありませんが、少しでも漏れていると、じわじわと建物の寿命と私たちの健康に悪い影響を与えていきます。

物件引渡し前に「木材の含有水分率」を計測すべき理由

湿気を含んだ状態で建築が進むと、もうひとつ問題があります。木は水分を含みますから、通常の状態でも、梅雨時と冬の乾燥時とでは、含有水分量が大きく変わります。通常は15%以下が正常で、梅雨時に20%、乾燥時に3%ぐらいまで動く幅はありますが、この範囲であれば適当な含有水分量といえるでしょう。

 

ところが、濡れた状態を放置して、必要以上に湿気を帯びたままで工事が進むと、床下に湿気がこもった状態が継続します。これが徐々に乾燥すると、水分を含んでふくらんだ木が乾燥してやせていきます。これによって、施工時にはなかった隙間が生じてしまいます。床を踏んだ際にきゅっきゅっと床鳴りがしたり、きしんだりする場合には、床下の乾燥がきちんと行われているかを、細かくチェックしたほうがいいでしょう。

 

家を検討する時期によって、重点的にチェックする箇所は変わります。梅雨時なら床下、中でも基礎のコンクリート部分を念入りに見てください。冬の乾燥している時期には、すべてが収縮していますから、どこに隙間があるか、空き具合はどうかを細かく見るようにしましょう。

 

万一、床下の水漏れがあった場合でも、適切に乾燥してもらえば購入自体に問題はありません。ただし、きちんと乾燥されたかを確認するためにも、引き渡し前に必ず木部の含水率を計測して数値的に判断する必要があります。

 

私が行う住宅診断では、床下で水漏れが起きていないかを見て、カビ臭さを確かめることに加えて、含水率測定器を使って入念なチェックを行います。床下の木の部分に測定器の針を刺すと、含水率を数値で見ることができます。何も問題のない家の場合は、乾燥している冬の時期で0~3%。夏でも20%程度です。

 

しかし、床下が濡れて湿気がこもった状況だと、これを大きく上回る数値を示します。その場合は、施工業者があらためて乾燥させなければならないレベルだということになります。

 

一部だけの軽度な水濡れであれば、2~3日程度で乾燥します。床下全体の水濡れであれば、1週間は乾燥させる必要があります。契約する前に発見した場合は、できれば他の物件を選んだほうが無難です。

パイプ施工の「重大な瑕疵」が事故につながる理由

ポイント③ パイプの貫通部はきれいになっているか

 

家の床下には、水道管やガス管などのさまざまなパイプが走っています。これらの施工が雑に行われていると、大きな事故につながる場合もありますので、要チェックです。

 

パイプはコンクリートの基礎に穴を開けて通しています。通常は、パイプの周辺部がパテできれいにふさがれた状態になっていますが、ときとして、基礎に無理やり穴を開けたようになっていて、パイプ周辺部に隙間ができてしまっているケースがあります。

 

これでは、基礎の強度が保てません。「貫通部の施工不良」です。基礎内部の鉄筋を切ってしまっている場合は、重大な瑕疵として購入を断念したほうがいいと思います。

 

それ以外の場合は、モルタルやエポキシ樹脂などで適切な補修をしてもらえば問題ありません。

断熱材の雑な施工を確認する「目視と温度計測」とは?

ポイント④ 断熱材は入っているか

 

フローリングの下には断熱材が貼られていますが、これがきちんと納まっていないことがあります。また、床下点検口付近の断熱材の貼り忘れも高い頻度で見かけます。床下からのぞき込むと断熱材が貼られている様子を実際に見ることができるので、目視で確認してください。

 

また、雑な貼り方をしたために、断熱材が垂れ下がっていることがないかも注意して見てください。もし問題が発覚した場合でも、引き渡しまでに修理してもらえるように交渉すれば間に合いますので、チェックさえしっかり行えば過剰な心配はいりません。

 

また、完成後に目視で確認できない箇所の断熱材の施工状況については、内部の温度変化を調べることによって確認します。たとえば「赤外線サーモグラフィー」を使った温度測定がそのひとつです。

 

木造住宅の場合、壁や床に断熱材が入っていないと断熱効果がゼロに等しく、暑さや寒さがダイレクトに建物内に伝わってしまいます。

 

外気温との差や測定箇所の状況比較から、断熱材の有無を確認していくのですが、実際に、この温度測定によって、断熱材が部分的に欠落したり、貼り忘れていたといった施工不良を発見したケースもあります。

「たかがゴミ」と思わないことが肝要

ポイント⑤ 床下のゴミは要注意!

 

雑な工事が行われた場合は、工事中のゴミがきちんと片付けられていないことがあります。危険物が落ちていないか確認してください。また、ゴミが落ちているような工事が行われた場合は、全体を通して雑な工事が行われたことが想像できます。

 

基本的にはゴミを片付ければOKですが、床下などの見えない部分が汚い場合は、いい加減な職人が施工した可能性がありますので、他の箇所も入念に建物診断するようにしています。

 

たかがゴミと思われるかもしれませんが、現場を細やかに確認している人がいないということですから、施工業者への信頼性は低く感じられるでしょう。こうした見えないところから、厳しく見ていくことが大切です。

中古住宅の場合、床下の「束石」にも注意

また、中古住宅の購入も視野に入れている場合に注意していただきたいことがあります。現在、新築住宅に関しては、基礎はコンクリートになります。土台となる部分にコンクリートが流し込まれていますので、直に土が露出しているわけではありません。

 

しかし、古い住宅の場合は、床下が土のままになっている「布基礎(ぬのぎそ)」の場合があります。この場合の床下でチェックしていただきたいのは、家を支える土台の束石(つかいし)と束のズレです。つまり「木製束取り付け不良」です。

 

このズレは、家そのものを揺るがす大問題ですから、もし発見された場合は購入しないほうが無難でしょう。

 

 

田中 勲

レジデンシャル不動産法人株式会社 代表取締役

 

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レジデンシャル不動産法人株式会社 代表取締役

仲介手数料無料ゼロシステムズを運営して首都圏全域の不動産仲介と建物診断を行う。不動産業界に20年以上従事しており、物件の売買実績は1000件以上。そこで得た経験をもとに“田中式建物診断”という独自の建物診断を提唱している。欠陥住宅の購入を防ぐ欠陥住宅の専門家として知られ、独自の建物診断の第一人者として、ラジオ、テレビ、雑誌、書籍等多数のメディアで活躍している。

著者紹介

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本連載は、2015年6月25日刊行の書籍『こんな建売住宅は買うな』から抜粋したものです。その後の法律・条例改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

こんな建売住宅は買うな

こんな建売住宅は買うな

田中 勲

幻冬舎メディアコンサルティング

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