欠陥住宅を見抜く――「外壁周り」5つのチェックポイント

本記事では、建売住宅の欠陥・不具合を見抜く秘訣を「外壁」「建物の見えない箇所」「室内」「水回り」に分けて解説します。今回は「外壁」編です。

素人でも見抜けるチェックポイントが存在

欠陥や不具合の大部分は施工者のケアレスミスが原因です。それがたとえ細かなミスだったとしても、甘く見てはいけません。長い年月をかけて建物をむしばみ、日常生活に支障をきたすような問題に発展する可能性もあるからです。

 

皆さんに知っておいていただきたいのは、たとえ、建築の素人であっても、見るべきポイントを押さえて丁寧にチェックしていくと、施工がきちんと行われているかどうかを見抜くことができるということです。

 

きちんとした仕事によって建てられた家は、特別な装飾などはなくても、あるべきものがあるべき場所に設置され、必要十分な造りになっているはずです。この〝必要十分〟を満たしているかを確認できなければなりません。

 

本格的な調査には専門的な機器が必要ですが、本記事では、そういった機器による調査も含めて、簡単に実践できるチェックのポイントを、「外壁」「建物の見えない箇所」「室内」「水回り」に分けて紹介していきます。この知識をもとに内覧すれば、購入後に後悔する可能性はグッと低くなるはずです。今回は「外壁」編です。

釘を打つ場所が継ぎ目に近すぎると…

〈外壁〉
 

ポイント①外壁の継ぎ目にひびはないか

 

家の見た目はとても大切です。もちろん、デザインがカッコいいとか、豪華な装飾が施されていることをいっているわけではありません。同じ建材を使って、同じ設計プランで建てられた家でも、施工業者が違うと、まったく同じに仕上がるとは言い切れません。

 

施工をする職人の熟練度、真面目さ(ときには、残念ながら不真面目さ)、現場の監督と職人との人間関係といった、買い手の側からはうかがい知ることができない部分が、家の見た目に現れてしまうのです。

 

家の外観でまずチェックすべきなのは外壁です。建売住宅で一般的に使われている外壁は、サイディングボードです。その素材は大きく3種類に分けられ、セメント、セラミック、金属が主原料となっています。パワービルダーが使っているものは、耐水性や耐火性、耐久性での基準を満たして規格化されたサイディングボードです。

 

この場合、工場生産であるため品質が均一であることや、価格が安く抑えられているメリットがあります。特別なタイプを選ばない限りは、安全性には問題はないはずです。サイディングボードは、下地に釘(サイディング釘)で取り付けていきますが、釘を打つ場所は、合い決り(あいじゃくり)と呼ぶ継ぎ目の部分から20ミリメートル離して打つように決められています。

 

しかし、これが守られず、継ぎ目に近すぎる場所に打っている場合があります。継ぎ目から近すぎる場所に釘が打たれていると、周辺のサイディングボードに割れや欠けが発生してしまいます。

 

また、工事業者によっては、サイディング釘をきちんと最後まで打ち込んでいないこともあります。釘の頭が飛び出していると、何かのときに体に触れて、けがをすることがあり、とても危険です。こうした点もチェックしてください。

 

継ぎ目から20ミリメートル未満であっても、サイディングが割れていなければ通常は問題ありませんが、割れていた場合は売主側に何らかの補修を要請する必要があります。

 

[図表1] サイディング釘打ち

カビの発生を防ぐ外壁と水切りの間の隙間

ポイント② 外壁と水切りの隙間は開いているか

 

外壁の下部と水切りとの間は、隙間を作るように決められています。この箇所は、外壁の内側に防水シートが貼られている構造になっています。

 

これは、万が一、外壁の内側に水が入り込んでも、防水シートを伝って下から水が流れ落ちることで、さらに内側へと水が浸入しないように防ぐためです。

 

しかし、この隙間がとられていないケースがよくあります。これでは、壁内の通気が悪くなるだけでなく、壁内部に入り込んだ水の逃げ場がありません。壁内部に水が浸み込むと、カビの原因になります。

 

カビの発生は、家を傷めてしまうだけでなく、住んでいる人のアレルギー症状を引き起こすこともありますし、良い点は何もありません。

 

家の造りは、すべて理由があって決められていることばかりです。これらを見落としたまま工事が行われてしまうと、家の寿命を縮めてしまうことになりかねません。もし、この状態であれば、速やかに売主に是正するよう依頼する必要があります。

 

[図表2]外壁と水切りの隙間

外壁の内部は必ず「建築中」にチェック

また、防水シートを貼る場合は、端を100ミリメートルずつ重ねるように決められています。防水シート本体にも、目安として100ミリメートルの線が印刷されていて、わかりやすくなっているほどです。

 

しかし時折見られるのが、この防水シートの重なり不足です。理由はいくつか考えられます。雑な仕事をする職人が、きちんと必要分を重ねなかったのかもしれません。

 

あるいは、重ねる分を少なくすれば貼るシートの量を少なく抑えられますから、少しでもコストダウンをしようと、あえて行われているのかもしれません。重なり不足によって、防水シートの内部にまで水が入り込んでしまう可能性が出てきます。

 

先ほども説明しましたが、それによってカビが発生することは、家の寿命を考える面からも、健康面からも避けたいところです。外壁の内部のチェックは、建築途中でなければできません。もし、気になっている物件がある場合は、外壁の釘打ちをするよりも前の段階で確認するようにしてください。

 

[図表3]防水シートの重なり

家の土台を揺るがす「ネジ」の重要性

ポイント③ ホールダウン金物のネジは十分に締まっているか

 

家の造りは、下から順に「基礎」→「土台」→「柱」となっています。この柱を留めて
いるのが、ホールダウン金物という大きなネジです。

 

文字通り土台ですから、このネジがしっかり留まっていないと、土台が揺らいで家その
ものの安全性が損なわれます。

 

ここでチェックしたいのは、ネジを留めるナット部分です。

注意箇所は建築途中に自分で確認に行く

ナットは締めた状態でネジ山が3山分以上見えていないといけないことになっていますが、ネジのギリギリ上部で留められていることがあります。

 

住宅の安全性を考えれば、きちんと締め直してもらわなければなりません。これについても壁の内部と同様に建築中でなければ見られない箇所ですから、建築途中でも自ら確認に行くことをおすすめします。

 

もしホールダウン金物のナットが緩んでいた場合でも、適切に締め直せば問題はありません。

 

[図表4]ホールダウン金物の施工

小さなひびでも幅と深さによっては深刻なダメージが…

ポイント④ 基礎部分のひびは要注意

木造住宅の場合でも、家の基礎はコンクリートでできています。コンクリートの強度不足は家の安全性を著しく低下させるので、基礎に不具合がある場合は深刻です。

 

皆さんは、「しゃぶコン」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。コンクリートは、セメント粉と水、砂を混ぜて作りますが、コストを下げるために水を規定の量よりも増やして、〝じゃぶじゃぶ〟の状態にすることを指した言葉です。これでは基礎の部分に本来必要な強度を実現できません。コンクリート自体の強度は見た目だけで判断することが困
難です。

 

「しゃぶコン」ではないものを使っているかどうかは、非破壊検査などの建物診断をしなければわかりません。見た目で判別できる不具合は、コンクリートのひびです。建売住宅の基礎部分は、まず金属の型枠を組み、その中にコンクリートを流し込んで造りますが、流し込んで固まった状態のままでは表面がギザギザで見た目が美しくありません。

 

そこで、モルタルを重ねて左官仕上げをします。文面ではイメージしにくいかもしれせんが、たとえばケーキの周囲に生クリームを塗って、なめらかに整える処理に近いものです。コンクリートは、固まる際の収縮や温度差による伸縮で、幅0.3ミリメートル以下のひび、通称ヘアクラック(髪の毛程度の細いひび)が入ることがありますが、これはそれほど大きな問題ではありません。

 

注意しなければならないのは、その幅と深さです。たとえば太さ0.5ミリメートルのシャープペンの芯をひび割れ部分に差し込んでみれば、ひび割れのおおよその幅がわかります。芯が差し込めない程度であれば、おおよそヘアクラックと判断して問題ないレベルだといえます。

 

一般的な住宅診断でもひびの幅は測定されますが、幅が0.3ミリメートル以下のヘアクラックだったとしても、どれだけ深いひびであるかはわかりません。より専門的な診断では、「超音波クラック深度測定器」を使ってコンクリートのひびの深さを計測します。

 

これによって、コンクリート内部のひび割れ、ひびの深さ、空隙、均質性などを測定することができます。こうした非破壊検査によって、施工状況の詳細を確認していきます。ひび割れの深さについては、残念ながら一般的な住宅診断などでも調べることができません。不安がある場合はクラック深度測定器を使って高度な建物診断ができる業者に依頼すべきでしょう。

 

万が一、ヘアクラックと呼べないレベルの大きなひび割れがある場合、クラックから基礎コンクリート内部に空気と水分が浸入して内部の鉄筋を腐食させたり、冬場では、クラック内部に浸入した水分が凍結して膨張することにより基礎コンクリートにダメージを及ぼす可能性があります。

見えない箇所は「非破壊検査」で徹底的に測定

内部の見えない部分は、購入者が自分で調べようとしても限界があります。かといって専門家が調べる際にも、購入前の物件を破壊して内部を調べるわけにはいきません。そこで、〝建物を破壊しない=非破壊検査〟によって精度の高い住宅診断を行います。そのひとつが、コンクリートの強度を検査する「シュミットハンマー」を使った診断です。

 

これは、器具の先端を少し出した状態でコンクリートの基礎にグッと押し付けて、戻ってくるときの衝撃の反発力で、コンクリートの強度を調べるというものです。この機器を使ってコンクリートの基礎部分を複数箇所で測定し、平均値を出します。これによって、コンクリートの圧縮強度の測定ができます。

 

コンクリートは施工後27日で固まるので、施工から約1カ月後には調べることが可能です。住宅の基礎以外の部分でコンクリートを使用している箇所が、もうひとつあります。土砂崩れを防ぐための擁壁(ようへき)です。

 

関東地方でいえば、坂や崖が多い神奈川県では、宅地造成地を造る際に擁壁をコンクリートで造ることがあります。地盤の安定化のために行われるわけですから、その強度は極めて重要です。前述した「しゃぶコン」のような水分の多いコンクリートで造った壁にひびがあると、土のほうから水が浸み込んでしまい、強度が損なわれてしまいます。

 

この場合も見た目で判別することは不可能なので、「赤外線サーモグラフィー」を使ってコンクリート表面の温度変化を0.1度単位で測定します。他の箇所に比べて温度が低くなっている箇所は、水分が含まれている可能性があります。

 

水分が存在する可能性のある箇所を把握したうえでシュミットハンマーを使った診断を行えば、より精度の高い強度の測定が可能です。

キズや汚れを発見した際には必ず「記録を残す」

ポイント⑤ ドア・窓枠の細かなキズは証拠を記録する

家が完成すると、それまで建築工事に使っていた足場を解体します。このときに起こりがちなのが、足場をぶつけてドアやサッシにキズを付けてしまうことです。

 

新築物件の場合には、こうした小さなキズひとつについても、引き渡し前に確認するようにしてください。

 

住宅の性能や安全性に直接的な影響はありませんが、住宅の購入は一生に何度もない大きな買い物ですから、可能な限りダメージのない状態で手に入れたいと思うのは当然です。

 

もし、引き渡し後に気づいた場合は、パワービルダー系の建売業者の場合は、原則的に傷、汚れ、隙間の類は、補修してもらえませんので注意が必要です。こうしたキズを見つけたときには、図面に書き込んだり写真を撮るなどして記録を残しておいてください。

小さなキズがあれば雑な工事が行われている可能性も…

一ヶ所だけなら目をつぶってもいいと思えるかもしれませんが、傷がひとつあるということは、それだけ雑な工事が行われていて、複数の箇所にダメージが潜んでいる可能性があります。

 

施工者の過失であることを正確に指摘するためにも、メモや写真で記録しておくことを忘れないようにしてください。小さなキズをつけても気づかずにいる施工業者だということは、他の箇所についても同じようなことが起きている可能性が高くなります。

 

「このぐらいは仕方ない……」と見逃さずに、小さなキズひとつから大きな瑕疵を発見することにもつながると考えて、念入りにチェックしましょう。

 

 

田中 勲

レジデンシャル不動産法人株式会社 代表取締役

 

レジデンシャル不動産法人株式会社 代表取締役

仲介手数料無料ゼロシステムズを運営して首都圏全域の不動産仲介と建物診断を行う。不動産業界に20年以上従事しており、物件の売買実績は1000件以上。そこで得た経験をもとに“田中式建物診断”という独自の建物診断を提唱している。欠陥住宅の購入を防ぐ欠陥住宅の専門家として知られ、独自の建物診断の第一人者として、ラジオ、テレビ、雑誌、書籍等多数のメディアで活躍している。

著者紹介

連載幻冬舎ゴールドオンライン人気記事ピックアップ

本連載は、2015年6月25日刊行の書籍『こんな建売住宅は買うな』から抜粋したものです。その後の法律・条例改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

こんな建売住宅は買うな

こんな建売住宅は買うな

田中 勲

幻冬舎メディアコンサルティング

注文住宅と比べて安く購入できる建売住宅は、特に地価の高い都心近郊で人気がありますが、実は流通している住宅の大部分が目に見えない欠陥・不具合を抱えているのが実情です。 実際に、断熱材のズレ・不足や、準防火地域にお…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧