ADHDやASDなどの発達障害の子どもたちは類まれな能力を持っていることも多く、その才能は幼児期の適切な教育によって引き出すことが可能です。それには、子どもの集中力をいかに持続させるかが重要です。本記事では、子どもが60分間「夢中になる」学習法を紹介します。

子どもが集中できる時間は「年齢+1分」まで

私は2017年から、幼児教室「コペル」に加えて、発達障害の子どもの支援に特化した「コペルプラス」という児童発達支援スクールを始めました。

 

そもそも、私が25年前に幼児教育に興味を持ったのは、自分の子どもが生まれたのがきっかけでした。

 

近所に住む家族にも同じくらいの子どもがいて、ある日、子どもと一緒に遊びに行きました。そのとき、部屋の壁に五十音の表が貼ってあるのを見かけ、驚いて

 

「ずいぶんと気が早いんですね」

 

と言いました。すると、

 

「何を言ってるんですか! 0歳児教育こそ大事なんですよ」

 

と諭され、書店には0歳児教育のコーナーがあるほどなのだ、ということを知りました。

 

ためしに書店に行って本を眺めてみると、確かに幼児教育に関する本が数多く並んでいました。実際に手に取って見てみると、そこには潜在意識に働き掛けるような内容が書かれています。

 

「これはいい!」

 

と確信しました。

 

というのも、私は、もともと潜在意識に興味を持っていたからです。子どもの頃に「自律訓練法」を受けたことがあり、その効果を経験を通して知っていました。幼児教育の本に書かれていたのは、子どもの頃に受けた自律訓練法とよく似た内容だったのです。

 

思い立ったらすぐ行動に移さずにはいられないのが、ADHDの特性です。私は会社を辞め、その3か月後には教室をつくっていました。最初は市販の教材を200個ほど購入し、スタートしました。1994年のことです。

 

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開校したばかりの教室で子どもたちの様子を観察していると、目を輝かせて教材に取り組んでいます。よい傾向だと思い、安心しました。

 

ところが、何回も同じ教材でレッスンを行ううちに、困ったことが起きました。子どもたちが、あんなに喜んでいた教材に見向きもしなくなってしまったのです。

 

どういうことだろうといろいろ調べるうちに判明したのは、子どもが目を輝かせて取り組めるのは、年齢プラス1分ということと、子どもの目を輝かせるには、初めて見るものでなければいけないということでした。

 

そこで、常に新しいものを出し続けようと、日々教材づくりに勤しみました。バリエーションを増やしたり、歌をつくってみたり。そうして作成した教材を、レッスンで実際に試し、ブラッシュアップしていきました。同じ教材でも、見せ方や声かけの仕方次第で、子どもたちの反応が変わることがあります。そのため、先生同士で、こうしたら子どもたちが興味を示したとか、今度はこんな教材をつくってみたらどうだろうとか、知恵を出し合いながら磨きをかけていきました。

 

その結果、教材の数は一番多いときで4000個を超えました。これは4トンのトラック4台分です。おそらく世界中で一番多くの教材を持っている幼児教室だと思います。

 

そこから、教材を絞り込んでいき、現在は2000個を使っています。

保険適用で受講料の負担を大きく軽減可能

コペルプラスでも、コペルとほぼ同じ教材を使っています。ADHDの子どもでも、ほかに注意が移る前にどんどん新しい教材が目の前に出てくるので、結果的に50もしくは60分のレッスン中、教室から飛び出すことはおろか、席を立ったり、立ち歩いたりすることもなく、夢中になって取り組んでいます。

 

コペルプラスがなかった頃、コペルに通っていた子どもたちの中には、発達障害の子どもたちも多くいました。そのため、先生の中から「発達障害の子どものために、認可を受けたクラスをつくりたい」という声が何度も上がっていました。認可を受ければ、保険が適用され、保護者の負担が軽くなるからです。

 

しかし、そのためには国の定めた基準があり、既存の教室で、その基準をクリアするためには、さまざまな調整が必要だったこともあり、先送りにしていました。

 

2017年、既存の教室で認可を受けることが難しいなら、新しい教室をつくってしまえばよいのだということで、コペルプラスを立ち上げました。2018年11月現在、全国で50教室に増えています。これまでコペルに通っていた発達障害児がコペルプラスに移り、ソーシャルスキルトレーニングや運動の時間も含め、楽しく通っています。

 

また、費用の面では、保護者の所得等の状況に応じて、負担上限月額が設けられています。非課税世帯であれば、利用者が費用を負担することなく通うことができます。そのため、経済的な理由で幼児教室をあきらめていた子どもも、通うことができます。

 

コペルプラスに子どもを通わせている保護者からは、こんな声が届いています。

 

<利用者の声>

 

●Aさん

 

通い始めて1ヶ月、いろいろ変化がありました。

 

今までは、苦手なものは途中で投げ出したり、やらなかったり、自分勝手な部分が多い子でしたが、コペルプラスの先生方が、やさしく上手に誘導してくれるおかげで、苦手なものにも積極的に取り組むようになってきました。

 

できたことについて、たくさんほめてくださるので、子供ももっともっとやりたくなるようです。

 

子供のレベルに合わせてメニューを組んでくれますし、いつも違う内容を行ってくれるので、子供も飽きず、いつも行くのを楽しみにしているほどです。

 

親としても、子供とどう接するのがいいのか、先生方の対応を見て、参考にさせていただいています。

 

通うことに決めて、子供、親、どちらにとってもよかったと思います。

 

●Mさん

 

公的療育を卒業して、こちらにお引越ししてきましたが、先生方の雰囲気がいいのと、プログラムが充実しているので、本当に楽しそうに通園しています。

 

以前の療育では、参加すらしなかったことにも、積極的に取り組んで、お名前を呼ばれたら手を挙げるなど、一歩一歩できることが増えてきています。

 

“取り組む”時点でつまづいていた息子にとって、このような明るい雰囲気のお教室に通えることは、本当にありがたいことだと思います。通い始めたばかりですが、毎日「きょうコペウ?」「あしたはコペウ?」と聞いてくるほどです。

 

●Tさん

 

娘が「発達障害があるのでは?」と定期検診で言われてから、お医者さんに通うようになり、クリニックや言語療法、作業療法等を行い、娘の成長につながれば……と思っていましたが、月に1回程度しか通うことができず、親の期待に沿う内容ではありませんでした。

 

しかし、親自身、どう療育していけばいいか、仕事の都合上、時間もなく、共働きということもあり、悩んでいました。

 

ネットでコペルプラスを知り、見学や体験を行って、娘の成長に刺激になると思い、コペルプラスに決めました。

 

教室では、毎月変わるカリキュラムや発言につながる歌、インプット、アウトプット、日常生活につながる教材が多く、娘も楽しくがんばっていて、とても満足しています。

 

コペルプラスに通ってから、娘の新しい発見も知ることができました。

 

50音を言ったり、読んだり、歌を歌ったりと、新たな一面も見ることができ、驚きと喜びを感じることができました。

 

日々、少しずつですが、娘の成長が感じられ、娘も楽しく勉強できて、親としてはとてもうれしく思います。

 

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幼児教育の源流をたどると、もともとは障害児教育に行き着きます。イタリアのマリア・モンテッソーリ博士や、アメリカのグレン・ドーマン博士などに代表されるように、欧米では障害児教育が進んでいました。コペルではそれらのいいとこ取りをして、レッスンに取り入れていきました。

 

日本のすばらしいところは、さまざまなものを取り入れ、独自のものをつくりあげることだと思っています。たとえば、自動車を発明したのは日本人ではありませんが、世界に通用するすばらしい車を数多く世の中に送り出してきました。

 

それと同様のことが、今、幼児教育の世界でも起こっています。海外で行われている幼児教育のよいところを取り入れて作り上げられた幼児教育のメソッドは、海外でも熱狂的に受け入れられているのです。

 

コペルに関していうと、2018年11月現在で、海外は北京、上海、蘇州、深圳の合計9教室を展開しています。これらの教室は「日式」と呼ばれ、あっという間に定員が埋まり、新しく教室を開きたいという問い合わせも次々にきています。

 

 

大坪 信之

株式会社コペル 代表取締役
 

本連載は、2018年12月4日刊行の書籍『「発達障害」という個性 AI時代に輝く――突出した才能をもつ子どもたち』から抜粋したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「発達障害」という個性 AI時代に輝く──突出した才能をもつ子どもたち

「発達障害」という個性 AI時代に輝く──突出した才能をもつ子どもたち

大坪 信之

幻冬舎メディアコンサルティング

近年増加している「発達障害」の子どもたち。 2007年から2017年の10年の間に、7.87倍にまで増加しています。 メディアによって身近な言葉になりつつも、まだ深く理解を得られたとは言い難く、彼らを取り巻く環境も改善した…

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