発達障害の子どもの「能力」を最大限に引き出す子育て術

発達障害の子どもたちは、多くの才能を秘めているにもかかわらず、ときに「問題児」として扱われます。周囲からの理解が満足に得られず、生きづらさを感じている子供たちも少なくないですが、それは幼児期の適切な教育によって軽減できるのです。本記事では、子どもの「能力」を最大限に引き出す子育て術について見ていきます。

子どもが失敗しても、指摘せずに「見て見ぬふり」を

発達障害児の能力を引き出す子育てのポイントをご紹介していきます。まず、発達障害の子どもを育てるうえでの示唆に富んだ、イルカの調教の例をご紹介しましょう。

 

イルカの脳は、人間と同じくらいの大きさがありますが左脳が発達していません。発達障害の子どもは左脳がうまく機能していないことが多いので、イルカは発達障害の子どもとよく似た脳を持っているともいえるでしょう。

 

トレーナーのイルカへの接し方から、発達障害の子どもの能力を引き出すための、大切なヒントを読み取ることができます。

 

ポイントは二つあります。

 

一つめは、意図的に褒めるシチュエーションをつくるということです。

 

イルカに棒を跳び越える芸を教えるとき、最初は棒をプールの底に沈めて、その上を泳いで横切らせることから始めるのだそうです。当然イルカは簡単にクリアできるので、すかさず褒めます。

 

そこから、棒の位置を徐々に上げていき、クリアできるたびに褒めます。すると、イルカは棒を水の上に置かれても、さらに棒の位置が高くなっても、ちゃんと跳べるようになっていきます。

 

二つめのポイントは、失敗したときに見て見ぬふりをするということです。

 

昔は、棒の先にボールをつけ、失敗したらそのボールでイルカを叩いて芸を仕込んでいくというのが主流でした。そのやり方でも、ある程度の芸はできるようにはなりますが、凡庸な技しか習得できません。しかし、褒めて伸ばすやり方だと、イルカたちは自分の最高のパフォーマンスを発揮できるようになるというのです。

 

棒の位置が高くなればなるほど、失敗する確率も上がります。失敗したときに、「今のは失敗だよ」というメッセージを送ると、そのイルカは失敗するイルカになってしまうのだそうです。

 

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私の運営する教室でもまた、簡単にできることから始め、できたことを褒めて、徐々にステップアップしていく方法で学習を進めています。課題に取り組んだもののうまくできなかったとしても、見て見ぬふりをし、少しでもできたところに注目して褒めるようにします。失敗したときに、「今のは間違いだよ」と指摘して直させようとすると、その子はその場で間違いを理解できても、また次も失敗するようになってしまうからです。

 

このやり方は、ご家庭でも応用できるでしょう。子どもが苦手なことについては、難易度を最大限に下げたところからスタートして自信をつけさせ、うまくいかなくても偶然見ていなかったようなふりをします。そして少しでもできたところがあれば、すかさず褒めるようにするのです。

 

子どもを褒めるときの注意点としては、評価するような褒め方をしないということです。

 

「この絵、上手だね」

 

という褒め方だと、自分が褒められたのではなく、絵が褒められたということになってしまいます。子どもは絵を上手に描かないと褒められないと認識してしまうのです。

 

一方、

 

「この部分の色使いが素敵ね。葉っぱの細かいところまで描けていてすばらしいね。お母さんびっくりしちゃった」

 

という褒め方であれば、お母さんはその絵が上手だから褒めているのではなく、子どもが工夫した点に感動したから褒めているということが伝わってきます。つまり、お母さんの感情をスタート地点として褒めているということです。

 

お母さんが自分の描いた絵を好きだと言ってくれたということは、子どもにとって大きな喜びです。

 

褒められてうれしいと感じたとき、脳内には「ドーパミン」というホルモンが分泌されています。子どもは、もう一度あのホルモンがほしいと無意識のうちに感じていて、再び得られるように行動するようになります。それがやる気の正体です。やる気はスタートではなく、ゴールなのです。

 

スモールステップを積み重ね、その都度お母さんをはじめ、身近な養育者が自分の感情を起点に褒めるということをくり返していれば、子どもの能力はぐんぐん伸びていきます。

やる気を摘み取らない、伸ばすためのサポートを意識

発達障害の子には、定型的な発達をしている子どもよりも、より多く褒めて自尊感情を育む必要があります。もし、学校で何かうまくいかないことがあって傷ついて帰ってきたとしても、お母さんの「あなたはすごい!」という褒め言葉をシャワーのように浴びているうちに、子どもの自尊感情は揺るぎないものとなるからです。

 

だからといって唐突に褒めるのも、お互いに違和感があるでしょう。

 

日常生活の中で、どのように褒めるシチュエーションをつくっていったらよいのでしょうか。

 

たとえば、買い物から帰ってきたとき、重そうな買い物袋を見て「僕がキッチンまで運ぶよ」と子どもが言ってくれたとします。このとき、まだ幼い子どもが、重い買い物袋を無事に冷蔵庫まで運べるか不安がよぎり、お母さんが「卵が入っていて割れてしまうと困るからやめなさい」と言ってしまったら、子どもはどう感じるでしょうか。お母さんの役に立ちたいと思ったのに、自分にはできないのだと意気消沈してしまいます。

 

そういった場面ならば「ありがとう!じゃあ、お母さんは端っこを持つね」と言って、実際は9割くらいお母さんが持ちながら「よいしょ、よいしょ」と一緒に運ぶようにすればよいのです。無事に運び終わったところで、「ありがとう。重いのによく運べたね。お母さん助かったよ」などと声をかければ、子どもは「ああ、僕もお母さんの役に立ったなぁ」と満たされた気持ちになります。その気持ちこそが自尊感情です。

 

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褒めるシチュエーションをつくるといっても、何も特別なことをする必要はないのです。日々の生活の中で子どもがやる気を見せたときに、その芽を摘まないようにし、伸ばせるようにサポートしてあげるのです。

 

逆に、現実を教えなければという思いから、たとえば相撲をとるときに本気を出して毎回勝つお父さんがいます。子どもは毎回負け続けるうちに、心が折れてしょんぼりしてきます。やがて、「もうやらない」と諦めてしまいます。

 

本来は3回に1回くらいはわざと負けてあげる方が、子どものやる気を引き出すことができます。子どもも、お父さんがわざと負けてくれたということはわかっていますが、それでもうれしいと感じ、次へのやる気につながるのです。

 

 

大坪 信之

株式会社コペル 代表取締役

 

株式会社コペル 代表取締役
福岡大学 人間関係論 非常勤講師
一般社団法人徳育学会 会長
日本メンタルヘルス協会公認カウンセラー 

1963年、福岡県生まれ。
日本アイ・ビー・エム株式会社を経て、現在、子どもの瞳を輝かせ続ける徳育教室コペルの代表として心の教育を志し、様々な研究に取り組み続けている。
全国各地で、子育てセミナーや子どもの潜在能力を引き出すための講演活動を通じて、たくさんの親子にアドバイスを行う。
良好な親子関係を構築するファミリーダイアログなど、多様なオリジナルプログラムを開発実施して活躍している。
著書に『偉人を育てた母の言葉』(致知出版社)、『あなたの言葉で子どもは育つ』(プレジデント社)、『きみの可能性は無限大』(少年写真新聞社)がある。

著者紹介

連載AI時代に輝く――突出した才能をもつ子どもたち~書籍『「発達障害」という個性』より

本連載は、2018年12月4日刊行の書籍『「発達障害」という個性 AI時代に輝く――突出した才能をもつ子どもたち』から抜粋したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「発達障害」という個性 AI時代に輝く──突出した才能をもつ子どもたち

「発達障害」という個性 AI時代に輝く──突出した才能をもつ子どもたち

大坪 信之

幻冬舎メディアコンサルティング

近年増加している「発達障害」の子どもたち。 2007年から2017年の10年の間に、7.87倍にまで増加しています。 メディアによって身近な言葉になりつつも、まだ深く理解を得られたとは言い難く、彼らを取り巻く環境も改善した…

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