自然を五感で楽しむことで育まれる「自然」の知能とは?

今回は、感受性に影響する「自然」の知能、優れたセンスに影響する「感覚」の知能、リズム感等に影響する「音楽」の知能について見ていきます。※本連載は、モンテッソーリ教育を日本人向けにアレンジ・実践する乳幼児親子教室「輝きベビーアカデミー」代表理事の伊藤美佳氏の著書、『モンテッソーリ教育×ハーバード式 子どもの才能の伸ばし方』(かんき出版)より一部を抜粋し、家庭で楽しく簡単にモンテッソーリ教育を実践する方法を紹介します。

自然の小さな変化を「五感」で楽しむ

「感じる心」が豊かな子を育てるには?―「自然」の知能

 

「自然」の知能とは、自然や人工物の種類を識別する能力のことです。自然は変化に富み、表情豊かです。名前もついていないような小さな山でも、花や木々が四季によってさまざまな表情を見せてくれます。

 

こうした自然に触れることによって、感性やセンスが磨かれます。

 

敏感期の子どもは好奇心旺盛なので、自然の小さな変化や違いにもよく気づきます

 

たとえば、私のベビースクールに通っているお子さんは、イチョウの葉を拾うことに夢中になっていたとき、葉の形が2種類あることに気づき、お母さんに報告しました。ここではじめて、お母さんはイチョウの葉は雄株と雌株で形が異なるということを知りました(ただ、実は葉の形で見分けられるというのは俗説で、本当は花の形で見分けられるそうです)。

 

実際に、自然を五感で楽しみ、じっくりと観察することで、子どもたちはさまざまな発見をし、刺激を受けます。そうした体験を積み重ねることによって、「感じる心」が磨かれていきます

 

大人になってから美しい風景を実際に見たり、写真で見たりしたとき、「ウワーッ」と心の底から感動する人がいる一方で、同じ風景を見てもあまり感動しない人もいます。こうした差は、「感じる心」の違いから生まれます。

 

もっといえば、乳幼児期に、「自然」の知能を伸ばしてきたかどうかの違いだと考えられます。

 

「自然」の知能が発達している人は、「今日の雲は、ユニークな形だね」「今日は月が明るいね」「雨の降りそうな匂いがする」といった言葉が自然に出てきます。「普通の人が見えないものを感じる力」があります。

自然は遊びの宝庫…見方を変えれば違う世界が広がる

「自然」の知能を伸ばすには、敏感期である乳幼児期に、できるだけ多くの自然に触れさせ、知的欲求を満たしてあげることが大切です

 

散歩中に子どもが「アリさんだっ!」といって、アリの行列に夢中になったら、できるだけ付き合ってあげる。道に落ち葉を踏んで「カサカサ」という音を楽しんだり、落ち葉の微妙な色の違いを子どもと観察したりしてもいいでしょう。

 

自然のすばらしさを子どもと一緒に楽しむ。そんな気持ちで外に出かけてみてください。

 

「外に出ると、おもちゃ屋さんに行かなくても、たくさん遊ぶものが見つかりますね。私も『自然ってこんなに美しくて、不思議なものだったんだ!』と改めて気づかされました」などの感想をスクールの親御さんからもらうこともあります。

 

自然は遊びの宝庫。ありふれた景色にすぎなかった木々や花も、見方を変えるとまったく違うものに見えてくるはずです。

五感でさまざまな情報を敏感に受ける「感覚」の知能

センスのある子を育てるには?―「感覚」の知能


「感覚」の知能は、五感を駆使して、さまざまな情報を敏感に受け取れる能力のことです。この知能だけは多重知能理論の中に該当する項目はなく、私がオリジナルで付け加えたものです(多重知能理論の他の知能と重複する部分は存在します)。

 

これまでの私の経験から、五感でさまざまなことを感じ取る体験をしてきた子どもほど、センスがよく、表現力が豊かな大人に成長する傾向があると強く感じています

 

ほんの一例ですが、絵を描くときの色の組み合わせがユニークだったり、服を選ぶセンスなども優れていたりするものです。

 

いわゆる「センス」というものは、生まれつきのものというイメージがあるかもしれませんが、私は乳幼児期からの経験、つまり五感でいろいろな情報を感じとってきた体験から形成されるものだと考えています。

 

「あの人は何をするにもセンスがあるよね」と評される人は、乳幼児期から五感をフルに使う経験を積み重ねてきたからこそ、まわりの人が一目置くような選択ができるのだと思います。また、「感覚」の能力が秀でている人は、人の気持ちの変化にも気づきやすく、コミュニケーション力が高いという特徴も見られます

 

では、どうすれば、「感覚」の知能を伸ばすことができるのでしょうか。五感をひとつずつ分解して見ていきましょう。

美術館で「本物の芸術」に触れさせよう

「視覚」から情報を得るには、さまざまなものを見ることが大きな刺激になります。外出して自然や風景、人を見たりするのはもちろん、美術館などで本物の芸術に触れたりするのもいいでしょう

 

また、前述したように実物を見ることで、子どもは目の前のものが何であるかを理解します。ですから、絵本などの教材を使うと同時に、実物を見に出かけてみる。たとえば、動物の絵を見せたあとに、実物を見に動物園に出かけると、「これがゾウさんだ!」とイメージと実物が結びついていきます。

 

「聴覚」は「音楽」の知能とも関連してきますが、耳からさまざまな情報を収集することで、音の大小や音色などの区別がつくようになります。また、ヒアリングの力も発達するので、言語能力もアップしていきます。

 

「音楽」の知能のところでも述べましたが、乳幼児期はさまざまな音楽、特にクラシックなど一流の曲を聴くことが大切です。

 

また、音楽をただ流しておくだけでなく、子どもが能動的に音楽に触れられるように、親子でいっしょに歌う体験もしましょう

 

歌やリズムに合わせて手や体を動かす「手遊び歌」などがおすすめです。

 

お母さんといっしょに音楽を楽しむことで、聴覚からさまざまな刺激を得ることができます。

乳幼児期は、できるかぎり自然に近い味を

「味覚」からも子どもはさまざまな情報を得ています。

 

乳幼児に離乳食を与えていると、ときどき口からペッと出すことがあります。これは、お腹いっぱいのサインでもありますが、同時に「これは食べたくない」という子どもの意思表示でもあると考えられます。

 

「うちの子どもは、新鮮な野菜しか食べないんです」「不思議と冷凍した食材は口から出してしまうんです」といったお母さんの声をよく聞きます。

 

また、昆布とかつおぶしから出汁をとった離乳食を食べていた子どもが、ファミレスのごはんにはまったく手をつけなかったという話も耳にします。

 

人工調味料の味に違和感を覚えたのでしょう。

 

このように小さな子どもといえども、本物の味をしっかり選ぶことができるのです。

 

味の違いに敏感な乳幼児期は、新鮮な野菜など、できるかぎり自然に近い味を口に入れるよう心がけることが大切ではないでしょうか。

 

「嗅覚」も乳幼児にとっては重要な感覚です。生まれて間もない赤ちゃんは視力が弱いため、「嗅覚」を頼りにします。赤ちゃんがお母さんに抱っこされると落ち着くのは、お母さんの匂いを嗅いで安心するからだと言われています。

 

乳幼児期にいろいろな匂いを嗅いで刺激を受けることで、大人になってからも匂いからさまざまな情報を得ることができます。

 

そのためにも、積極的に匂いを感じとれるような機会を、親がつくってあげるとよいでしょう。

 

たとえば、外に出て、風の匂いを感じてみる。家の窓を開けて、新鮮な空気を入れることを習慣にしてみてもいいでしょう。花や植物の香りをいっしょに嗅いでみるのも効果的。その際、「ローズマリーの匂いだね」「ミントの香りだね」と言葉にすることで、経験と言葉が一致して、子どもはその匂いを認識できるようになります。

 

身近なところでは、料理や食材の匂いもおすすめ。私の運営する保育園では、わざと調理室の窓を開けておき、「あっ、カレーの匂いがしてきたね」と子どもたちに匂いを嗅がせています。食べ物の匂いが食欲につながるという効果もあります。

 

料理が上手な人は味覚だけでなく、嗅覚もすぐれているため、大人になってからも役立つ能力で、また、不快な匂いにも敏感になるので、身のまわりを清潔にするようにもなります。

小さい頃に「さまざまなモノ」に触れる大切さ

最後は「触覚」です。

 

子どもは、とにかくいろいろなモノを手で触りたがります。でこぼこした壁、スカートの裏地、ペットボトル、草花・・・などなど。子どもたちは実際に手でモノに触れることによって、ザラザラ、ツルツル、熱い冷たいといった情報を得て、自分なりに研究しているのです。また、モノに触れて情報を得ることによって、脳の神経細胞がつながっていきます。

 

特に都会の子どもたちは、自然に触れる機会が少ないので、虫にほとんど触ることなく、成長していくケースが少なくありません。

 

すると、学校の授業の中で「チョウチョウは、卵からかえると、幼虫、さなぎの段階を経て成虫になる」と教わっても、触ったことがないから実感がともなわず、脳にインプットされにくくなります。最近は魚を触ったことのない子どもも多いので、魚料理が苦手という人も少なくありません。

 

お母さんの中には、「公園の砂場は汚いから遊ばせたくない」という人が一定数います。砂場でさえダメなのですから、泥遊びなどはもってのほかです。

 

しかし、砂や泥に触ることなく育つと、大人になってもそれらを触ることに抵抗を感じる可能性が高くなります。

 

もちろん、触れなくても生きていくことはできるでしょうが、それが子どもにとって本当によいことなのか考えてみる必要はあります。

 

なお、子どもが興味をもって何かに触っているときは、「ツルツルだね」「ザラザラだね」などと言葉で表現してあげてください。言葉と感触が一致して、子どもの認識力がアップします。

音楽の種類、リズム、音程を識別する「音楽」の知能

リズム感のある子を育てるには?―「音楽」の知能

 

「音楽」の知能は、音楽の種類やリズム、音程などを識別する能力のことで、この知能が発達していると、作曲や演奏が得意になります。

 

また、「音楽」の知能が高い人は、聞く力も向上しますから、言葉を扱う能力にも秀でています。

 

音楽に関する才能は、乳幼児期の環境や体験に大きく左右されると考えられています。

 

赤ちゃんの頃からさまざまな音楽を聴いていた人は、リズム感が身についているので、大人になってからも歌ったり、演奏したり、踊ったりすることが得意です

 

反対に、乳幼児期に「音楽」を楽しむ機会がなかった子どもは、将来、リズム感が悪かったり、音楽に苦手意識をもったりする傾向が強いようです。いわゆる音痴も、乳幼児期の体験が影響していると考えられます。

「音楽の才能」があれば、人生は豊かなものに

「音楽はあまり得意ではない」というお父さん、お母さんもいるかもしれませんが、そういう家庭こそ、育児に音楽を取り入れて、子どもの「音楽」の知能を伸ばしてあげてください。

 

音楽の知能を伸ばすといっても難しく考える必要はありません。

 

朝は落ち着いたクラシックの曲を流し、片づけや掃除をしているときはポップな音楽を流すというように、生活に音楽を取り入れるだけでも身近な存在になります

 

曲はお父さん、お母さんにとって心地よいものでもかまいませんが、できることなら長い年月を経て多くの人に聴かれているクラシックの名曲がよいでしょう。

 

 

伊藤美佳

「輝きベビーアカデミー」代表理事

(株)D・G・P代表取締役

 

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「輝きベビーアカデミー」代表理事
(株)D・G・P代表取締役

0歳から天才を育てる乳幼児親子教室「輝きベビーアカデミー」代表理事。(株)D・G・P代表取締役。幼稚園教諭1級免許。日本モンテッソーリ協会教員免許。保育士国家資格。小学校英語教員免許。NPO法人ハートフルコミュニケーションハートフル認定コーチ。サンタフェNLP/発達心理学協会・ICNLPプラクティショナー。日本メンタルヘルス協会認定基礎心理カウンセラー。

モンテッソーリ教育を実践していく中で、IQ以外の才能を見つけるハーバード大学教授の「多重知能理論」を取り入れ、日本人向けにアレンジしたオリジナルメソッド「9つの知能」を開発。子どもの隠れた才能を発見し、最大限伸ばす手法として、スクールでも取り入れている。現在、自身のスクールを運営し、ママ向けの子育て講座やインストラクター養成講座を開催するほか、保育園・幼稚園教員向けに指導を行うため全国を飛び回っている。

著者紹介

連載子どもの才能を伸ばす「モンテッソーリ教育×ハーバード式」メソッド

モンテッソーリ教育×ハーバード式 子どもの才能の伸ばし方

モンテッソーリ教育×ハーバード式 子どもの才能の伸ばし方

伊藤 美佳

かんき出版

「9つの知能」で子どもの才能を見つけ、「集中(フロー)状態」でぐんぐん伸ばす! 史上最年少プロ棋士・藤井聡太さんが幼児期に受けた教育として、一躍脚光を浴びた”モンテッソーリ教育”。 最も脳が発達する幼児期に受ける…

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