銀行と業者がグル!? 不動産投資で6千万円の損失に泣いた事例

今回は、ビジネスマンで不動産経営者の加藤隆氏に、不動産経営の心得と、金融機関と不動産会社のために6000万円の損失を被った実体験を紹介してもらいます。※本連載では、投資用不動産業界の健全化を目指す一般社団法人首都圏小規模住宅協会が、正しい知識と公平な情報を紹介します。

32年の経験からわかった「不動産投資の本質」

【今回の著者紹介】

加藤 隆

サラリーマンの傍ら、不動産経営を行っている。所有資格は、行政書士、宅地建物取引士、甲種防火管理者、管理業務主任者・マンション管理士、AFP(Affiliated Financial Planner)・2級FP技能士等。

 

加藤隆です。まずは私の不動産投資の略歴について簡単にご説明致します。

 

私は32年前の1986年(当時28歳)から不動産経営を行っており、平成バブル崩壊(1990年)、ITバブル崩壊(2000年)、リーマンショック(2008年)も経験しましたが、何とか今まで、首の皮1枚で生き延びてきました。今回の、アベノミクスミニミニバブル崩壊(2018年?)も、何とか生き残りたいものです。

 

目下、東京・京都・名古屋・札幌・小樽・博多・千葉と、全国展開で、108戸所有しています。資産は、6億6,000万円-負債4億5,000万円=自己資本2億1,000万円。年間手取家賃は4,700万円-支払ローン3,200万円=手残りキャッシュフロー1,500万円です。

 

私の手法は、リスクの低いやり方から始め、徐々にリスクを取りつつ、リスク分散を図る方法を取っています。エリアで言えば、東京から始め、地方も含めた全国展開。種別で言えば、区分所有マンションから始め、一棟アパート、一棟マンション、戸建て。鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)から始め、木造、鉄骨造(S)。

 

単身者用から始め、ファミリー用も。築年数で言えば、新築から始め、築浅、中古。資金調達で言えば、固定金利から始め、変動金利も。元利均等返済から始め、元本均等返済も。自己資金多め(10%)から始め、少な目(5%)、フルローン、オーバーローン。団体信用生命保険有り(パッケージ型ローン)から始め、無し(事業用プロパー型ローン)も、といった感じです。

 

あらためて振り返ると、なんでもアリでやってますね。

 

そんな私にとって不動産経営とは、預貯金・外国為替・貴金属・株等といった金融商品・マネーゲームと違って、不動産経営と言われるように、経営・事業の一種だと思います。

 

従って、不動産会社、金融機関、その他:損害保険会社、各種士業(司法書士・税理士・弁護士等)等、様々な方との関係も深くなるものです。その際、優良な会社・先生を選択し、うまく取引・業務委託・委任できれば、不動産経営も成功し易くなります。

 

逆に、魑魅魍魎な不動産業界にあって、後で述べる三為会社のような悪徳業者等を選択してしまった場合、騙されたり、トラブルに巻き込まれ、へたをこけば、金額が大きいだけに、自己破産・一発玉砕・再起不能にもなりかねません。皆さん、くれぐれもご注意くださいね。

販売会社・仲介会社選びのポイント

さて、これから不動産会社の選び方について私なりの考えを述べていきたいと思うのですが、不動産会社といっても、設計・施工会社、販売・中古会社、建物管理・賃貸管理会社等、多岐にわたります。

 

今回はまず、販売・仲介会社について考えていきたいと思います。

 

 心得1  販売・仲介、建物管理・賃貸管理迄含めたワンストップ会社を選ぶ

 

まずは、選定においては、ワンストップ会社を選ぶことです。販売・仲介のみで、後のことは知らないでは、困ります。

 

1995年頃、販売・仲介のみの新宿駅傍の区分所有マンションを購入した際、「賃貸管理はやっていないので、自分で探して下さい」と言われました。

 

私は、新宿駅傍の賃貸管理会社を飛込で探して回ったものです。けっこう大変でした。販売・仲介、建物管理・賃貸管理迄含めたワンストップ会社であれば、そのリスクは低減されるので、優先して選びたいところです。

 

続いては、割安価格で購入することです。決算期や相続絡み、売り急ぎ絡み等、割安価格の物件を見つけて、優先的に検討しましょう。また、価格を割安にするには、仲介手数料や売買差益についても考慮したいところです。

 

一般企業・個人から購入し、不動産会社が仲介に入る場合には、売買差益は抜かれませんが、仲介手数料が必要となります。逆に、一旦、不動産会社が購入し、転売する場合には、仲介手数料は発生しませんが、売買差益は抜かれます。

 

通常、不動産会社は、転売不可能リスクを避ける為に、前者の仲介パターンの方が多いかと思います。不動産会社による仲介・転売は、それぞれ、一長一短あってどちらが得ということもありません。

 

強いて言えば、不動産会社が転売している物件の場合には、売主が宅建業者となりますので、瑕疵担保責任(2年間)は特約でも排除できませんし、クーリングオフも適用の可能性がありますので、やや安全性が高まります。

 

 心得2  建物・賃貸管理、修理・リフォーム等、なるべく割安価格にすることを心掛ける

 

もう一つ、不動産会社は、建物・賃貸管理、修理・リフォーム等で儲けるわけですが、これもなるべく割安価格にすることを心掛けましょう。

 

 心得3  ある程度の財務内容・収益力のある会社を選ぶ

 

続いては、財務内容等体力のある会社を選ぶことです。

 

いくら品質確保法・アフターサービスといっても、会社が倒産してしまっては意味がありません。私の場合も、最初に御世話になった不動産会社(設計・施工・販売・建物管理・賃貸管理会社)は、バブル崩壊後倒産しました。

 

また、家賃保証会社(設計・施工・販売・建物管理・賃貸管理会社)が、家賃滞納・夜逃げ・倒産したこともありました。

 

不動産会社の倒産は、割とよくある事例なのです。

 

可能な限り避けるためには、ある程度、財務内容・収益力のある会社を選ぶことです。

購入するつもりの物件はきちんと視察を

販売・仲介会社を選んだら、次は物件の購入です。ここでも注意したいポイントがあります。

 

まず、購入するつもりの物件はきちんと視察しましょう。素人でも、傾き(土地と建物の平行具合、水準器・パチンコ玉、ドアの開閉等)、床の密度、壁の密度、雨漏り等は、ある程度、わかるものです。

 

ただ経験上、雨漏りが時折ある程度で、そうそうあるものではありません。隠れたる瑕疵としては、水回り(給排水不良、水漏れ等)はわかりにくいですね。

 

こちらの方は、極寒の時期とか、経年劣化で、結構、起こりますので注意したいところです。購入を決めたら手付金を払う必要がありますが、手付金は少な目にするように交渉しましょう。販売会社に体力がない場合には、融資不承認で売買契約白紙解約といったトラブルが発生することもあります。この場合、手付金返還遅延・不返還という事態も起こりえます。こうした事態に備えて、なるべく、手付金は少な目にした方が無難です。

 

また、金融機関の融資も実行されるまで気を抜いてはいけません。

 

中には、悪徳不動産会社と結託した悪質な金融機関もあり、融資承認、金銭消費貸借契約締結したにもかかわらず、決済前日になって、特段の理由もなく、ドタキャンするようなこともあります。この後くわしく私の体験談をお話しますが・・・。

 

なるべく、金融機関から一筆貰っておく、重要な事は電子メール・録音等記録しておく、銀行側・当方側、複数で対応し、証人を増やしておく、白紙解約期限までに融資実行させる等の確実な対応が重要かと思います。

 

最後に、建築関係書類等は、受領し、保管しておくことをご注意してください。建築関係書類等は、融資受け、売却等の際に必要となってきますので、必ず受領し、保管しておきましょう。

 

ただ、古い物件を購入する場合には、無い場合もあり得ます。

 

こういった書類は、もし無い場合には、修理・リフォーム・リノベーション・融資受け・売却等の際にも困るでしょう。原則として、書類がない物件には手を出さない方が無難かなと思います。

融資をドタキャンされ、6千万円の損失が発生!

さて、ここからは、私が実際に体験したひどい失敗事例をご紹介致します。あれは、過去取引のある金融機関の担当者から、あと3億円迄融資可能という話があり、物件を探していたときのことでした。

 

小樽駅傍の戸建てを現金購入した際に付き合いができた不動産仲介会社から、札幌駅傍の大規模一棟マンション(土地600坪、2億円〈その後値下げ要求が通り、1億8,400万円で確定〉)の案件が紹介されました。

 

すぐに、金融機関に連絡、進めることとなりました。一方、不動産仲介会社は、売り主:所有者との間に、自社の専務取締役を入れさせて欲しいと言ってきました。今思うとこの動きがおかしかったのですが、当時の私は気が付きませんでした。

 

不動産仲介会社は、諸般の事情があってとか、意味不明のことを言っていましたが、購入価格が変わるわけでもないし、まさかトラブルになるとは夢にも思っておらず、あまりこだわらずに受け入れてしまいました。

 

その後、重要事項説明、売買契約書締結と、事務処理は滞りなく進みました。

 

一方、金融機関からは、融資正式承認、金銭消費貸借契約書締結で、一安心という段階まで進みました。ところが、その後、白紙解約期限も過ぎ、融資実行、決済の一営業日前になって、特段の理由も無く、融資ドタキャンをされました!

 

融資が実行されなければ、物件を購入することができません。別の融資先を探しているうちに、物件が別の方に売却されてしまうこともあり得ます。私は、不動産仲介会社とも話し、別件共同担保も付けて、融資金額を下げてでも、なんとか決済しようと努力し、当該金融機関から、融資金額を下げて再承認を取り付けました。しかし不動産仲介会社は、わずか数日経過しただけで、既に、勝手に、他に販売してしまっていたのです!

 

思えば、不動産仲介会社は、自社の専務取締役を間に入れることによって、売主・買主両手の仲介手数料どころか、売買差益まで抜いていたものと思われます。買主としての仲介手数料は、結局、裁判所は理解してくれず、敗訴し、払わされました。

 

更には、売主は、宅地建物取引業者(宅建業者)ではない為、特約で、瑕疵担保責任も排除していました(宅建業者であれば、2年間の瑕疵担保責任がありますが、売主が宅建業者であれば、特約でも、瑕疵担保責任(2年間)を排除することはできないのです)。

 

さらに、今回のようなトラブルになっても、クーリングオフは適用されません。

 

いわゆる、他人物売買・中間省略登記・三為業者のやり方なのかも知れません。不動産仲介会社からは、手付金(500万円)は帰ってこず、違約金(売買金額1億8,400万円の2割)、仲介手数料(売買金額の3%+6万円+消費税)、訴訟費用、不動産会社への金利(年6%)も、請求されました。

 

その後、本件、違約金・仲介手数料・融資ドタキャンにつき、裁判となりましたが、8か月位経過して、驚くことが判明しました。

 

金融機関は、お抱えの不動産会社を、コンサルティング会社として介入させていたのですが、私の知らないうちに、手付金領収書、重要事項説明書、売買契約書の原本をコピーし、金額を嵩上げし、偽造していました。

 

そして、あろうことか、私のせいにしてきました。

 

結局、手付金不返還、違約金、仲介手数料、不動産会社への金利(年6%)、更には、弁護士費用、裁判費用(先方分も含め)、その他等で、6,000万円もの損失となってしまいました。

 

こんな金融機関・不動産業者、本当にいるのかよ! って思うでしょう? 本当にいたんですよねぇ・・・。

 

以上の経験から、この記事の前半でまとめたような心得が、不動産経営には必要だと思うのです。

投資への関心が高まる中で、高い安定性から注目を集める不動産投資。しかし不動産業界の現状は残念ながら不透明な部分が多く、様々な場面で個人投資家様の判断と見極めを要します。一人ひとりの個人投資家様が正しい知識を身に付け、今後起こり得るトラブルに対応していくことが肝要です。私たち一般社団法人首都圏小規模住宅協会は、投資用不動産業界の健全化を目指す活動の一環として本サイト「不動産投資塾」を介し、公平な情報をお送りいたします。

著者紹介

連載初心者から上級者まで…知っておくべき「投資用不動産」の基礎知識

本連載は、「不動産投資塾」の記事を抜粋、一部改変したものです。

 

 

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