空室続きのワンルームマンション…損切りのタイミングは?

今回は、空室続きの投資用ワンルームマンションの損切り術を見ていきます。※本連載では、投資用不動産業界の健全化を目指す一般社団法人首都圏小規模住宅協会が、正しい知識と公平な情報を紹介します。

期待した効果が得られないなら「損切り」を

ワンルームマンションは、長く持っていればプラスになると考えている人が多いかもしれません。しかし、実態はそれほど甘くはなく、短期的にも中長期的にもマイナス運用になるケースもあります。そのようなときは、いったん売却して仕切り直すのも1つの方法です。

 

今回はマイナス運用になっているワンルームマンションの損切りについて考えてみます。

 

ワンルームマンションを買う動機は投資家によって様々です。退職後の収入源を作るために買う人もいますし、自分に万一のことがあったときの生命保険代わりとして保有している人もいます。

 

不動産に限らず、投資を行うときは目的を明確にしておくことが大事です。「老後の収入源になりそう」「生命保険代わりになって安心」など、自分で決めた目的を果たせているという実感があるなら、そのマンションは価値があると言えます。とくに急いで売る必要もないでしょう。

 

一方、目的に対する期待したような効果が得られそうにないのであれば、運用を見直す必要があります。

 

具体的には、思ったほど儲からないと感じている場合、管理や運用の手間が面倒に感じている場合、節税効果が小さかったり、税金計算などが大変だと感じている場合などです。

 

保有した時の目的を振り返り、このままで達成できそうもないのであれば、今一度保有する意味を考えた方が良いでしょう。場合によっては売却したほうが良いこともあります。

 

また、オーナーの中にはワンルームマンションを持つ目的が曖昧のまま買ってしまっている人もいます。その場合は、いまからでも遅くありませんので、何のために保有しているのかを明確にしたほうが良いでしょう。

 

例えば、十分な年金収入が見込めそうなら、老後の収入源として物件を持ち続ける必要性は低くなるでしょう。

 

生命保険代わりにすることについても同じで、すでに保険に入っているなら生命保険代わりとしての物件は不要かもしれません。とくに運用がうまくいっていないのであれば、本当に必要かどうかを真剣に検討したほうがいいでしょう。そういう場合も、これからの運用についてあらためて計画し直すことが大事です。

中長期の視点で、どの程度の赤字になるかを計算

収支計算もした方が良いと思います。投資の基本は資産を増やすことですので、まずは月単位・年単位で黒字になっている必要があるでしょう。

 

また、現時点での収支は、入ってくる家賃と月々の返済額、コストなどを計算すればすぐにわかりますが、それだけでなく、中長期の目線で収支を考えることも大事です。

 

仮に現状の収支が黒字でも、運悪く空室が続けば、中長期では赤字になるかもしれません。現状の収支がすでに赤字の場合は、保有期間が長くなるほどマイナスも増えますので、基本的には手放した方が良いと言えます。

 

赤字を出している物件が、将来的に黒字になる可能性はあまり期待できません。中長期で見て、どれくらいの赤字になるか計算してみれば、手放した方が良いという判断もしやすくなるでしょう。

 

投資家の中には「持っていればいずれ儲かる」と考えている人もいますが、そんなことはありません。持っているだけでは決して儲からないのが、ワンルームマンション投資なのです。それどころか、物件によっては、ずっとマイナスになる可能性もあります。

 

そのような結果を避けるために、短期と中長期の両方の目線で収支をシミュレーションし、いま持っているマンションの価値や、保有する意味をしっかり考えることが大事です。

 

損切りという表現が適切かどうかわかりませんが、マイナス運用になる(なりそうな)物件であれば、負債が大きくなる前にできるだけ早く手放すことは資産を守るために必要な手段と言えます。

早く売る方が売却価格が高くなる

損切りを含む売却のタイミングとしては、なるべく高いときに手放すのが理想です。仮に損切りの売却だったとしても、高く売れれば損失は小さくなりますし、売り時を逃すとマイナスがさらに大きくなります。物件価格の値動きを読むのは難しく、売却した後でさらに価格が上がる可能性もあるでしょう。そこは自分で予想するしかなく、投資方針や運営戦略によるところですので、こうすれば得するといったノウハウはありません。

 

地価や相場の変動を脇に置くとすれば、基本的には早く売却した方が高く売れる可能性が高くなります。というのは、物件価格は築年数に応じて下がっていくためです。銀行などの担保評価も、築年数を基準とするケースが多いため、古くなればなるほど売却面では不利になります。

 

ただし、地域差はあります。

 

現状、都市部は物件価格が高止まりしていますので、少しタイミングが遅れたとしても下がりにくいと言えます。一方、地方の物件は、都市部の物件よりも築年数の影響を受けやすいため、早く売る方が売却価格が高くなると言えます。

 

もちろん、売却価格の値動きは物件によって変わりますので、都市部の物件で値下がりしやすいものがあれば、地方の物件で値下がりしにくいものもあります。そのため、現状としては都市部の方が値下がりしにくいという傾向は押さえつつ、例えば、不動産会社に査定を依頼するなどして売却価格の動向を把握しておくことが大事です。

大規模修繕の予定があるなら売却を急ぐ

個々のマンションの事情に目を向けると、例えば、これから大規模修繕が行われる予定がある場合は急いだ方が良いかもしれません。

 

というのは、大規模修繕が決定すると物件価格が下がるケースが多いからです。管理組合などで近々大規模修繕をすることになったと決まれば、そのことは重要事項説明書に記載をしなければならなくなるのです。近々、長期間の修繕工事が行われるとなれば、そのストレスを考えるとなかなか引っ越そうとする人はいないでしょう。しかに、修繕後に価格が上がるわけではありません。なおさら、早めに売却を始めるべきでしょう。

 

同様の理由で、物件の管理費や修繕積立金の改定も物件価格に影響します。地価や相場の変動を脇に置くとすれば、そういった変更が売却のタイミングを考える目安となるでしょう。

 

税金面では、物件取得から5年以内の場合と、5年超の場合とで税率が変わります。税率は、5年以内(短期譲渡)の場合が39.63%、5年超(長期譲渡)の場合が20.315%とで税率が変わります。そのため、売却によって利益が出る場合は、節税のために5年超となるまで待つのも1つの方法です。

 

また、税金は利益に対してかかりますので損切りの場合は無関係になりますが、正確に計算するために税理士などに依頼するのも良いと思います。

「マンション購入」と「資産形成」は別のもの

損切りは、一般的な投資では当たり前に行われていることなのですが、ワンルームマンションの投資家にはあまり馴染みのない考えなのかもしれません。理由としては、長期保有を前提に買う人が多いことが挙げられるでしょう。老後の収入源や生命保険代わりとして買うケースがその典型で、そもそも売却するという意識が薄いのです。

 

また、ワンルームマンションの投資家は、マンションを持つことが資産形成になるという考えが強いという傾向も見られます。

 

「将来に向けた資産形成のために、コツコツとローンを返す」「長期的にはプラスになり、不労所得が得られる」そういうイメージを持っている人もたくさんいます。

 

しかし、本当にそうなのでしょうか。私が思うに、マンションを買うことと資産形成は別のものです。マンションを持ち、将来的にマイナスになることもあります。長期的には空室になり、家賃が入ってこない時期も出てくるでしょうし、一方で維持管理のコストはかかり続けます。

 

そう考えると、ワンルームマンションを持つことは、資産形成というよりも、管理費などを身銭で切り、物件を買うという表現の方が実態に即していると思います。

 

保有期間が長くなれば、身銭を切る額も増えます。「長期で持つ」という考えに固執してしまうほど、管理費などのコスト負担によって破産することはなかったとしても、着実にマイナスが増えていくことがあるのです。

 

一般社団法人首都圏小規模住宅協会 代表理事

都心のワンルームマンションを販売する不動産会社にて業界経験を積み、2014年7月、独立し不動産会社を設立。2017年には自社ブランドマンションをリリースする。2018年度は業界の健全化を図る目的で「一般社団法人首都圏小規模住宅協会」を発足し、ビジネス面以外にも力を入れ、活動の幅を広げていく。

■一般社団法人首都圏小規模住宅協会運営サイト「不動産投資塾
 (https://ft-school.com/

著者紹介

連載初心者から上級者まで…知っておくべき「投資用不動産」の基礎知識

本連載は、「不動産投資塾」の記事を抜粋、一部改変したものです。

 

 

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