介護が原因となって、親のみならず子の世帯までが貧困化し、やがて破産に――いわゆる「介護破産」は、もはや社会問題の一つになっています。しかし、利用する側が積極的に動いて情報を集め、最適なサービスや施設を正しく見極めれば、介護破産に陥るリスクは大きく軽減できます。そこで本記事では、介護破産を回避する「補助金」「減税制度」を紹介します。

社会福祉法人による負担減額…社会福祉法人の減免制度

⑤ 社会福祉法人の減免制度

 

生活保護受給者、および住民税非課税世帯で、世帯収入や預貯金が一定条件にあてはまる人は、社会福祉法人が利用者負担を減額してくれる制度があります。ただし、この制度を実施するかどうかは各施設の判断に委ねられているので、事前に確認が必要です。実施している社会福祉法人は、市区町村の窓口で教えてもらうことができます。

 

対象者の条件は、住民税が非課税で、図表2の①~⑤を満たす人で、本人の収入や世帯状況、利用者負担などを総合的に勘案して、生活が困難であると自治体が認めた人です。

 

[図表]社会福祉法人の減免制度

法人グループ内の例
法人グループ内の例

 

減額の対象になるのは、医療系サービスを除いた、申し込む先の社会福祉法人・市区町村が行う各種の介護サービスです。適用を受けるには、居住する自治体に申請して「確認証」の交付を受けます。該当の社会福祉法人からサービスを受ける時に、確認証を提示しましょう。

無料または低額料金で介護老人保健施設の利用が可能

⑥ 無料低額介護老人保健施設利用事業

 

社会福祉法の規定に基づいて、生計困難者が経済的な理由で必要な介護を受ける機会が制限されることのないよう、無料または低額の料金で介護老人保健施設(老健)を利用できるようにする事業です。非課税世帯で、自己負担金を免除しないと介護サービスの利用計画ができない人が対象になり、介護保険の自己負担分と、居住費や食費などの自己負担分の合計が無料、または減免されます。

 

ただ、社会福祉法人の減免制度と同様に、この事業を実施するかどうかは各施設の判断に委ねられているため、事前に確認が必要です。自治体の社会福祉事業の担当窓口や、社会福祉協議会、福祉事務所などに相談してみましょう。

 

なお、私の法人グループにおいても本事業を実施しています。たとえば介護老人保健施設「ジョイフル名駅」(愛知県名古屋市)では、生活保護受給者には当該利用月における施設介護サービス費、食費、居住費の合計金額全額を減免しています。

 

また、住民税世帯非課税者、あるいは特別な事情により生活困難者であると施設長などが認めた場合、当該利用月における施設介護サービス費・食費・居住費・教養娯楽費の合計金額の10%を減免しています。要介護3・第2段階の人で「ジョイフル名駅」を30日間利用した場合、利用料金は食費込みで約7万円ですが、減免額は約3万〜4万円。要介護3・第3段階の人で利用料金は約10万円ですが、減免額は約4万〜5万円になります。

人生を破滅に導く「介護破産」

人生を破滅に導く「介護破産」

杢野 暉尚

幻冬舎メディアコンサルティング

介護が原因となって、親のみならず子の世帯までが貧困化し、やがて破産に至る──といういわゆる「介護破産」は、もはや社会問題の一つになっています。 親の介護には相応のお金がかかります。入居施設の中でも利用料が安い…

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