決算書に難癖!? 悪質な法人保険営業・代理店を見抜く勘所

今回も、前回に引き続き法人保険の販売代理店・担当者選びのポイントを見ていきましょう。※法人保険で税金対策を行うには「全社・全商品比較」と「出口戦略」が不可欠です。本連載では、入り口となる「全社・全商品比較」をしっかり行ってくれる保険営業担当者、豊富な戦略をもとに一緒に「出口」を考えてくれる営業担当者の見極め方を紹介します。

「決算書を見せてください」という営業担当は多いが…

前回の続きです。

 

③決算書などの財務諸表を読めるか、理解できるか

 

決算書を見て法人保険をすすめるのは、実にシンプルでよくあるパターンです。法人の決算対策スキームを提案するうえでは、決算書などの財務諸表の知識は不可欠な要素です。この理解が不足していると、経営者サイドから見れば、「君とは使う言語が違う」「日本語が伝わらない」と距離を置きたくなるものです。

 

一方、ある保険会社の法人保険の現場では、販売高における銀行等の金融機関系のシェアが大半を占めており、「金融機関系以外の代理店は不要、一人二人の中小零細税理士事務所や代理店をまわるのは非効率」というスタンスの保険会社もあります。金融機関は財務諸表を本業で読む習慣がついているため、オーナー経営者の安心感は高くなりやすく、日本語も伝わりやすく、法人保険のシェアが自然と高くなるため、保険会社もそういった販路を好みます。

 

ただし、経営者に対して「会社の決算書を見せてください」という営業担当者は多いと思いますが、浅い知識でおかしな分析をする営業担当者も少なくありません。なんとか保 険を売りたいがために、決算書に難癖をつけて、事を大きくし、なんとか保険をはめこもうとする営業担当者も存在します。そのため、

 

●決算書等の財務知識があるかどうかを確認するだけでなく、

●難癖をつけてなんとか保険を売ろうとしている下心から身を守る、

 

といった心構えも必要です。

 

昨今は、保険の販売競争が激化しており、今後、金融機関も生き残りをかけて、背に腹はかえられない営業をしかけてくる可能性は高いです。保険業界では、「決算書分析勉強会」などが頻繁に開催されており、「決算書に難癖をつけていかに保険を買ってもらうか」というテーマに結局なりがちです。急に保険営業担当者が決算書を見せてくれといってきたら、単に決算書や財務の知識が高いというだけで営業担当者を信用せず、難癖のつけ方がどの程度かをしっかり確認しながら、営業担当者と付き合っていきたいところです。


④税務申告書を読めるか(=税の申告の仕組みを理解しているか)

 

法人税、所得税、相続税等、税の申告書からは、法人の会計上の損益、税務上の損益、個人の所得の内訳、資産の内訳などが把握できます。申告書をきちんと読めれば、法人がどんな株主構成で、どのような資産を持ち、どんな借り入れをして、どのような売り上げがあるのか、個人でどのくらいの稼ぎがあって、どのくらいのストックがあるのかが一目瞭然です。

 

昨今は、保険営業担当者の中でも、自身で不動産投資や事業経営を行っている人がいて、税務申告や税務調査などを自ら経験している人が多くなっています。これらの申告書をさらっと読める、解説できる営業担当者と付き合うことが重要です。そうでないと「日本語が伝わらない」という結果になり、知らず知らずのうちに、全くテーマ違いの保険に入らされる可能性が出てきます。

 

また、税理士について注意すべきは、法人税には詳しくても相続税には弱い、または、相続税には強くても法人税は弱いなど、税理士によって得意不得意があるということです。特に消費税については、一部の不動産投資家の間では、特定の消費税に強い税理士に依頼が殺到しているケースがあり、相続税と並んで税理士格差が非常に大きくなっているケースがあります。相続税については、そもそも日本の税理士の数と相続税の税務申告の数を考えると、一人でそう何件も申告の実績を積めるとは限らず、相続専門といっても実は申告実績がほとんどないといったケースも散見されます。

 

結局、「申告書が読める」と一口にいっても、それぞれの専門分野があるため、何でもかんでも一人の税理士に依頼すると思わぬ落とし穴があるかもしれないということになります。

 

また、税理士の中には、先輩税理士や税務署、法人会などへの「業界内政治」を重要視しすぎて、顧問先対応は2番手3番手、節税アドバイスには消極的になっている税理士もいれば、引退前の税理士で「自分はもう辞める前だから失うものはないし、さし違える覚悟で税務署と闘う」といった税理士、「脱税経験のある顧問先を積極的に受け入れる」税理士などもいて、その税理士が社会的に置かれている立場によって、顧問先への対応、税理士業務への取り組み方が違っている場合があります。そういったことも情報として持っておくと、税理士業界ともよりよい付き合いができるといえます。

社会保険・労働保険の仕組みを知っているか?

⑤給与計算や、雇用保険料・労災保険料等の計算の仕組みを知っているか(=社会保険・労働保険の仕組みを知っているか)

 

給与計算の仕組みがわからないと、社会保険の負担などに対する的確なプランニングや提案ができず、法人保険を十分に活用することはできません。また、労働保険の仕組みを理解していなければ、会社の労務に対する問題点の把握ができず、それに基づいたリスクマネジメントの設計、資金設計の提案を行うことはできません。ハーフタックスプランなど、従業員向けの退職金設計を行ううえでは、特に重要な知識となります。

 

最近では、自動車産業を中心に、社会保険の会社負担分を増加させているところがあります。社会保険料は、会社と従業員で折半するのが一般的ですが、会社が3分の2を負担するなど、福利厚生のスペックにも格差が出てきました。外資系の保険会社でも、本部のキャリア社員になると、社会保険料の負担は会社が100%というところも出てきまし た。企業間による社会保険負担の格差も理解しながら保険の提案ができる営業担当者の択が必要です。

幻冬舎総合財産コンサルティング 執行役員

CFP・1級FP 行政書士
鹿児島市出身。1999年鹿児島大学法文学部卒業
大手ノンバンクでの債権回収業務を経て、FP・行政書士の資格を24歳で取得後、税理士事務所、保険専業代理店での保険販売・FPコンサルティング業務に携わる。
保険会社時代には、銀行・証券等の金融機関代理店をはじめ、日本全国の保険代理店の販売サポートに携わり、販路が多い業界の表裏事情に精通。
セミナーでは、他に類をみない、年間1000名以上の参加者が集まり、相談における取扱金額は100億円を超え、依頼は後を絶たない。
保険会社内部事情、営業の現場事情に関係なく、公平・正直に情報を伝えることを心がけている。
宅地建物取引士、証券外務員、貸金業の資格も保有。行政書士として、会社設立や遺言等の官庁法務書類作成もサポート。

著者紹介

連載法人保険の販売代理店選びで「タックスメリット」を最大限に引き出す方法

本書籍は、保険会社の中枢にいて、商品開発をはじめ、銀行・証券・税理士事務所をはじめとした全国の販売代理店支援やトラブル対応の経験を持ち、保険業界の裏事情をよく知る吉永秀史氏に監修をしていただきました。

本資料は、取材・調査に基づき、現実に存在している一般的な生命保険活用事例を示したものであり、データやスキームの正確性や将来性、投信元本の利回り等を保証するものではありません。また、本書籍は、平成30年1月1日現在の法令に基づいて作成しており、今後変更される可能性もあります。個別具体的な法令等の解釈については、税理士等の各専門家・行政機関等に必ずご確認いただくようお願いいたします。記載されている保険商品のイメージ図につきましては、概算値を表示しています。各スキームの導入時は約款や契約概要、パンフレットを必ずご覧ください。

なお、本書籍で示している「契約者」とは、保険料を支出する人で、契約の変更・解約などの権限を持っている人、「被保険者」とは、保険を掛けられる人、その対象となる体を提供する人をいいます。

 

法人保険で実現する 究極の税金対策 改訂版

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監修 吉永秀史
編著 幻冬舎ゴールドオンライン編集部

幻冬舎メディアコンサルティング

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