保険の販売代理店・担当者選び…商品比較力&販売実績の重要性

前回は、激増する法人保険の「解約難民・出口難民」の実態を取上げました。今回から、保険の販売代理店・担当者選びの重要ポイントを見ていきます。

複数社の商品をしっかり公平に提案できるか?


前回は、保険会社や販売代理店、担当者を選ぶ際の基本的な観点を解説しましたが、ここからはより具体的に、11の「見極めのポイント」を見ていきましょう。今回は

 

①最低8社の保険商品を紹介できるか

 

これまで何度か説明したとおり、昨今は新商品がかなりふえ、全社・全商品比較がしづらい状況になっています。ありとあらゆる営業担当者が自身の都合のいいセールストークを身につけ、また、会社内のロープレ研修によって洗脳されたセールストークをひっさげて、中立・公正なふりをしながら皆さんのところへ押し寄せてきます。数々の営業担当者の話を聞いた皆さんの大半が混乱します。

 

そのため、複数社の商品をしっかり公平に提案できるかどうか、全社・全商品比較をさせてもらえるかどうかは非常に重要です。監督官庁も、特定の商品だけを販売する代理店については注視しており、根拠の薄い「1社ごり押し」などの提案活動は、業界内で取り締まりにあう可能性が高くなっています。

「営業担当者の実績」の確認は不可欠

②法人保険の取扱い実績は十分か

 

優秀な販売担当者であっても、対象が個人ばかりというケースは少なくありません。個人の契約と法人の契約は、使う商品は同じであっても、使い方や税務の取扱いなど、異なる部分が数多くあります。それを担当者自身がきちんと理解していなければ、よい提案が受けられる可能性は低いといえます。昨今、100%損金商品を扱う保険会社が増えたことから、これまで個人しか扱ってこなかった営業担当者が突然、法人契約を取り扱うケースが増え、法人先で事故を起こす事例が増えています。

 

このような営業担当者に会った経営者が口々にいうのは「日本語が通じない」「そんな言い方、普通はしない」「生きている世界が違う人がきた」などという言葉です。また、法人保険業界に長くいた営業担当者でも「解約返戻率が高い低いという話しかしない」「保険料が経費で落ちるか落ちないかという話しかしない」など、法人保険の本当の使い方や出口戦略を知らない、いわゆる「パンフレット売り」の営業担当者もたくさんいます。そんな詰めの甘いセールスにまんまと引っかからないためにも、営業担当者の実績の確認はしっかりしておきたいところです。

保険営業マン全体の実績を測る「四つの方法」

なお、保険営業マン全体の実績を測る方法は主に次の四つがあります。

 

●保険会社からの表彰
●保険会社の代理店サポート職の社員からヒアリング
●MDRT
●FP資格

 

一つめの保険会社からの表彰です。たくさんの実績を挙げると保険会社から表彰されます。監督官庁からの指導もあり、昨年くらいから派手な海外旅行はなくなってきたものの、期末、年末などに、都内の有名ホテルなどでパーティが開催され、優績者が集まる時間があります。そこに行くと、実績を挙げた営業担当者がたくさん出席しています。そういった情報を手にすれば、実績がある営業担当者かどうかがわかります。

 

二つめの保険会社の代理店サポート職の社員からのヒアリングは、実は非常に重みがあって確実性の高いものです。

 

保険会社の代理店サポート職は、代理店の実績が上がるように、また、各営業担当者個別のスキルや実績が上がるような活動をしています。そのため、日本全国の保険代理店をくまなくまわっており、どの保険代理店がどのような販売活動をしており、どのくらいの実績を挙げていて、どのような客層が多く、どのようなトラブルや訴訟を抱えているか、さらには、実際の現場の営業担当者の細かい愚痴、激しい愚痴などを聞いており、裏事情までよく知っています。

 

また、保険代理店となっている全国の税理士事務所もまわっているため、各税理士が何の専門で、どういう顧問先を抱えていて、保険の知識やスキルがどのくらいあるのか、税務調査のときにどのようにして顧問先を守っているのか、どの派閥の税理士か、元マルサか税務署OBか、税務署側の税理士か、さらには、顧問先はなるべく黒字にしてたくさんの納税をさせ、納税表彰だけを狙っている税理士かどうかなど、税理士のキャラクターや裏事情をよく知っています。

 

代理店サポート職の間では、非公式に保険代理店ブラックリストなるものもあり、どこの保険代理店と付き合うのがいいか、どの税理士が使えるかといった情報も共有されています。

 

ある保険会社の部署では、毎日のように全国の税理士からの質問を受けているところがあります。そこには、税理士であるはずなのに、自身で調べることなく「この保険の経理処理どうするの?」と毎年保険会社に電話をかけてくる税理士がいます。そういった事実を現実に知っている保険会社の代理店サポート職は、いかに税理士には「保険に無知」な人が多いかを痛感しています。代理店サポート職は、保険会社によっては、1社10人程度のスタッフで全国5000以上の拠点をサポートしているところもありますが、近づきになるとより生々しい情報を得ることができます。

 

三つめのMDRTは、米国に本部がある世界的な表彰組織です。名刺にこのアルファベットとマークが記載されているのを見たことがある人は多いと思います。このMDRTには三つのランクがあり、毎年のコミッション収入額という基準では、次のようにランク付けされます。

 

MDRT・一般資格 年間約1200万円以上のコミッション収入

MDRT・COT資格 年間約3600万円以上のコミッション収入

MDRT・TOT資格 年間約7200万円以上のコミッション収入

 

一般資格の条件は、たいていどの営業担当者でも達成はできるため、自慢に値するものでは一切ないのですが、COTやTOTになると一気に対象者が減り、価値が高まります。一部の保険会社のホームページでは、この認定者を検索できるところがありますが、COT資格者になると数千人に1人、会社全体で数名など、一気に少なくなる保険会社が大半です。

 

TOT資格者は、日本でわずか80名ほどの人数です。日本では保険募集人は約100万人の登録がありますが、そのうちわずか80名程度であり、全体の0.008%です。このTOTが日本の保険業界においてトップクラスで稼いでいる人たちです。GGO編集部では、昨年6月に米国オーランドで開かれたMDRTの世界大会の取材に行きましたが、日本人のTOT資格者とは、わずか3名ほどしか会うことはできませんでした。

 

ただ通常、個人保険ばかりを扱っていると、COTやTOTになるのはかなり厳しいですが、法人保険や相続専用保険、資産運用型保険などを扱っていると、COT資格には自然と到達します。大手銀行の場合、1年目23歳の行員でも、TOTクラスになる金額は容易に扱っています。そのため、できればTOT資格、最低でもCOT資格を持っているかどうかを確認することが重要といえます。

 

四つめのFP資格ですが、あるにこしたことはありません。ただし、この書籍に掲載されているような法人保険や相続専用保険は、FP資格では一切学べないものです。FPの教科書には、この本で取り上げたような話は載っていません。つまり、FP資格があるというだけでは、薄く広い知識はあるものの、企業オーナーや富裕層の課題解決について深くアドバイスしてもらえるようなレベルまでは期待できないということになります。

 

昨今、資格ビジネスや検定ビジネスが流行・横行しており、「○○診断士」や「○○アドバイザー」など、名前だけの中身のない資格が増えています。そういった資格に惑わされないことも非常に重要です。ある銀行では、2級FPやAFPの資格は名刺に載せるな、という指示もあります。資格を、名刺にこれみよがしに堂々と載せている人は要注意です。

 

最後に、昨今、「○○マネープランセミナー」「○○学校、スイーツ付き!」など、お金にまつわるセミナー等を行っているところが多数あります。実績がよく見えない、普段どんな顧客を相手にしているのかが確認できない講師が、お金のことについて勉強会を行っています。そういったセミナーは、結局「保険」や「不動産」を売りたいだけのセミナーが大半で、保険が売れるという結末から逆算したプレゼントークが仕組まれています。実績がよく見えない講師と安易に付き合うのは危険です。中には、ある保険会社のコラムにて、「医療保険は不要!」という記事を、保険会社からお金をもらって書いている女性が、違うセミナーでは「医療保険必要です!」と全く真逆のことを堂々と言っているケースもあります。

 

週刊誌などのランキングも要注意です。保険が売れるように仕組まれた記事が大半です。税理士においても、自身の顧問先に対しては、アグレッシブな提案をしますが、銀行等から紹介された顧客については、「それはグレーです、それはだめです、それはおすすめしません」と言うケースが少なくありません。

 

営業担当者は、ビジネスマンである以上、自分のそのときそのときの立場で都合のいいように仕事を進めるのは仕方のないことですが、そういった各営業担当者、代理店の置かれている背景や実績をしっかり確認して、保険とよりよい付き合いをすることが重要です。

幻冬舎総合財産コンサルティング 執行役員

CFP・1級FP 行政書士
鹿児島市出身。1999年鹿児島大学法文学部卒業
大手ノンバンクでの債権回収業務を経て、FP・行政書士の資格を24歳で取得後、税理士事務所、保険専業代理店での保険販売・FPコンサルティング業務に携わる。
保険会社時代には、銀行・証券等の金融機関代理店をはじめ、日本全国の保険代理店の販売サポートに携わり、販路が多い業界の表裏事情に精通。
セミナーでは、他に類をみない、年間1000名以上の参加者が集まり、相談における取扱金額は100億円を超え、依頼は後を絶たない。
保険会社内部事情、営業の現場事情に関係なく、公平・正直に情報を伝えることを心がけている。
宅地建物取引士、証券外務員、貸金業の資格も保有。行政書士として、会社設立や遺言等の官庁法務書類作成もサポート。

著者紹介

連載法人保険の販売代理店選びで「タックスメリット」を最大限に引き出す方法

 

法人保険で実現する 究極の税金対策 改訂版

法人保険で実現する 究極の税金対策 改訂版

監修 吉永秀史
編著 幻冬舎ゴールドオンライン編集部

幻冬舎メディアコンサルティング

節税、相続対策、会社から個人への資産移転…… 法人保険を使って税金を極限まで減らす方法を徹底解説! 日本の法人課税は諸外国に比べて高い水準にあり、税引き前所得に対して35%程度の実質的な法人税率が課されます。 いか…

 

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