マス広告の衰退が止まらない。野村総合研究所の調査によると、2012年から2015年の3年間でテレビCM、ラジオ・新聞・雑誌広告を情報源として利用している人の数は明らかな現象傾向にある。また、雑誌『宣伝会議』の調査では、テレビCMが広告主の信頼度に与える影響が少なくなっていることもわかった。マス広告のみならず、マスメディアそのものも「一方的」「押し付け」と捉えられる現代の風潮について、データに基づき分析する。

実際、「CMで見たから」という理由だけで商品を購入するような人達が一昔前の日本には大勢いました。しかし、日本人がCMに対して抱いてきたそのような絶対的な信頼感は、もはや過去のものになろうとしています。例えば、宣伝・広告の専門誌として知られる『宣伝会議』は、一般消費者300人を対象にテレビCMの信頼度・信用度に関する調査を行い、2016年12月号の同誌で公表しています。その中身の一部を見てみましょう。

 

①「『テレビCMを出している会社』であることは、その企業に対する、あなたの信頼度に影響を与えますか」

はい・・・51.7%

いいえ・・・48.3%

 

②「あなたは、商品・サービスの選択の基準として『テレビCMを見たことのある企業の商品・サービスであること』を、どの程度重視していますか」

非常に重視している・・・2.7%

重視している・・・30.7%

どちらとも言えない・・・40.0%

あまり重要でない・・・13.7%

全く関係がない・・・13.0%

 

③「あなたは、テレビCMを見たことのある企業でも、「信用に値しない」と感じることがありますか」

ある・・・49.3%

ない・・・0.7%

 

まず、①の回答が示しているように「テレビCMを出していることが、その企業に対する信頼度に影響を与えない」と答えている人は半数近くに達しています。しかも、③では、「CMを見たことのある企業でも信用に値しないと感じることがある」と回答してい る人が半数近くいます。また、②が示しているように商品・サービスの選択の基準としてCMを重視している人は3分の1程度に過ぎません。

 

このように、以前のように「CMで見た企業・ブランドだから」というだけでは信頼を得ることは難しくなっているのです。

CMは見られなくなっている

CMの影響力に関してより根本的な指摘をするならば、そもそも「テレビCMは年々見られなくなっている」現状も存在します。次にあげるのは、野村総合研究所が2017年9月に公表したテレビCMに関するアンケート調査の結果をまとめたものです。

 

[グラフ3]テレビ視聴時間の推移

 

 

[グラフ4]テレビをほぼ見ない層の推移

 

 

グラフ3は「テレビ視聴時間の推移」を示したものですが、2010年から2017年で1週間あたりのテレビの視聴時間は1時間ほど減少しています。また、グラフ4は「テレビをほぼ見ない層の推移」を示したものです。ご覧のように、テレビをほぼ見ない層の割合は上昇傾向にあり、20代では何と25%に達しています。

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