なぜ「70歳までに金融資産1億円」を目指すべきなのか?

今回は、株式投資で「70歳までに金融資産1億円」を形成すべき理由を見ていきます。※本連載は、青山学院大学大学院教授の榊原正幸氏の著書、『現役大学教授が実践している堅実で科学的な株式投資法』(PHP研究所)から一部を抜粋し、人生100年時代の資産形成に役立つ、堅実で科学的な株式投資術を紹介します。

「将来の備えが万全」なら、今を楽しむことができる

前回に引き続き、「人生100年時代に備えるお金の基盤作り」という視点から、株式投資による資産形成の長期的戦略についてまとめます。

 

(4)「老後の安心」を得つつ、「今を楽しむ」こともできる

ここに書いたことは絵に描いた餅のような話にもみえますが、70歳になる前の時点でも、50代後半か60歳の時点で、金融資産が1億円を超えていれば、先行きの「安心」が手に取るように実感できるようになります。「あぁ、このままいけば、老後は安泰なんだなぁ」という、昭和時代の楽隠居のような古き良き感覚を、このご時世にして感じることができるようになります。

 

なお、スタートが遅くて、50歳の時に5,400万円もなくても、1,600万円以上に達していれば、70歳の時点で1億円を突破します。そうすれば、70歳以降は配当だけで年間に300万円を受け取ることが期待できます。そして、年金を普通どおりに(年額120万円~300万円)受け取れると仮定すれば、金融資産残高が2億円ではなく1億円でも、配当と年金を合わせて年額で420万円~600万円は得られますから、それでも十分でしょう。

 

ちなみに、1億円ないし2億円という金融資産総額は一生減らさないのが原則ですが、大きな病気をしたり、何らかの大きな出費が必要になった場合の財源にもなるので、そういう意味でも「老後の安心」を得られます。盤石(ばんじゃく)の態勢を築けるのです。

 

また、株式投資の効用として忘れてはならないのは、「資産を増やしながら、インフレ対策にもなる」ということです。長い人生において、今後もしかすると日本経済が強いインフレに見舞われるかもしれません。すでにインフレは始まっています。そういった場合の備えとしても、資産を株式で保有しているのは有利だといえます。

 

そして、株式投資の究極の目的は、ここに書いたように「老後の安心を自分で築くこと」です。こう言うと、遠い先の老後のためだけにお金を増やしても「今」が楽しくないじゃないかと思う方もいるかもしれませんが、それは間違いです。株式投資をきちんと実践して、資産を着実に形成していけば、毎月の収入やボーナスを貯金に回す必要がなくなるのです。

 

「毎月5万円は貯めておいて、年末に株式に投入する」ということを先に書きましたから、それを実践するためには、「毎月5万円」の貯金だけは必要になりますが、それ以外は安心してつかってしまって「今」の生活も最大限楽しむことができます。そうやって「今」を楽しむことができるのも、堅実な株式投資を続けていくことで「将来への備えは万全だ」と思えるからです。

 

このように、株式投資を実践し続けることは、遠い将来のためだけではなく「今を楽しむ」ことにも大きく寄与するのです。

株式投資を10年続けた自信こそ最大の財産に

(5)「自信」こそが最大の財産

本連載で紹介する投資手法を基軸にして、堅実で科学的な株式投資を「少なくとも10年」続けてください。そうすれば誰にでも「自信」がつきます。それが最大の財産です。

 

最初は少なめの金額で、たとえば100万円から始めたとしても、毎年60万円ずつ追加投入していけば、株式投資を始めてから10年後には金融資産総額は(100万円+60万円×10年+運用益で)1,000万円をゆうに超えてくるでしょう。

 

もちろん、10年後でも金融資産総額は1億円や2億円にはまだ遠いですけれども、「10年続けて培った自信」が最大の財産となるのです。

 

「10年続けて培った自信」があれば(スタートした時の年齢にもよりますが)、「70歳になるまでに1億円(~2億円)を創り上げることはできそうだな」という自信が芽生えてきますから、そうなったらもう安心です。生き馬の目を抜くともいわれる株式市場を相手にしているのですから油断は大敵ですが、自信と安心を胸に秘めながら、「70歳になるまでに2億円」という最終目標に向かって実践あるのみです。

 

最後に、前回と今回に書いたことを簡潔にまとめておきます。

 

ここまでのまとめ

〜お金の面での人生設計〜

 

●株式投資を始める年代は20代が理想だが、30代や40代でも手遅れではない。とにかく「始めること」と「続けること」が大切。

 

●50歳までは、「アクティブ投資」と「低PBR投資」で資金を積極的に増殖させる。目標利回りは、手取りで年率10%とする。そして、最初に目標とする資金総額は「50歳の時点でおよそ5,400万円」。

 

●50歳から70歳にかけて「アクティブ投資」から「パッシブ投資」へ徐々に移行させる。この時期の目標利回りは、手取りで8%とする。

 

●複利の力をフルに活用すれば、資金総額は60歳の手前で1億円を突破し、70歳の時点ではおよそ2億8,000万円になる。

この「70歳の時点で2億円以上の金融資産」を築き上げるのが最終目標。

 

70歳までにはすべての資金を「手取りの配当利回りが3%」の株式に切り替え、手取りの受取配当を年額600万円(またはそれ以上)にする。

 

年金をあてにしなくても、70歳からは未来永劫、「手取り年収600万円(またはそれ以上)」が確定する。

 

これで100歳まで生きても安心!

 

これを可能にする科学的で堅実な投資手法は、書籍『現役大学教授が実践している堅実で科学的な株式投資法』で詳しく解説しています。

 

皆さん、一緒に頑張りましょう。10年後、20年後の皆さんの「笑顔」を楽しみにしながら、私もまだまだ走り続けます!

青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科教授

専攻は会計学。1961年、名古屋市に生まれる。1984年、名古屋大学経済学部卒業。1990年、名古屋大学大学院経済学研究科博士課程修了。1997年、東北大学助教授。2001年、レディング大学よりPhDを授与される。2003年、東北大学大学院教授を経て、2004年から現職。

著者紹介

連載人生100年時代の必修科目…堅実で科学的な株式投資の教室

本連載は、投資を促したり、特定のサービスへの勧誘を目的としたものではございません。また、投資にはリスクがあります。投資はリスクを十分に考慮し、読者の判断で行ってください。なお、執筆者、製作者、PHP研究所、幻冬舎グループは、本連載の情報によって生じた一切の損害の責任を負いません。

 

現役大学教授が実践している 堅実で科学的な株式投資法

現役大学教授が実践している 堅実で科学的な株式投資法

榊原 正幸

PHP研究所

上昇期でも下落期でも勝率8割! 「Prof.サカキ式投資法」の最新版。コツコツ利益を積み上げて一生安泰! ■「安全で堅実な投資法」を長年研究してきた著者の最新作 青山学院大学大学院教授(専門は会計学と株式投資に関する…

 

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