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高収入の医師を苦しめる「累進課税制度」という仕組み

前回は、医師の節税に役立つ「確定申告」の基本を取り上げました。今回は、高収入の医師を苦しめる「累進課税制度」の仕組みを解説します。

高収入なのに「手取りの少なさ」を痛感する理由

毎月払われている給与と、年に1〜2回支給されることがある賞与の合計額、パートやアルバイトで得た給与なども「収入」です。そして「収入」から「必要経費」を引いて残った額が「所得」です。

 

一般的に給与収入のある勤務医は「必要経費」を個別に計算せずに、一定の「式」に当てはめ、収入から「所得」を計算します。この際、給与収入から差し引かれ、「必要経費」に該当するものを「給与取得控除」といいます。

 

給与(収入)-給与所得控除(必要経費)=給与所得(所得)

 

この「給与所得控除」は、給与所得控除の上限額が適用される給与等の収入金額が1000万円超であれば、その上限額が220万円です(図表1参照)。

 

[図表1]現況の給与所得控除額

(注)同一年分の給与所得の源泉徴収票が2枚以上ある場合には、それらの支払い金額の合計額により上記の表を適用してください。 [出典]税務省「平成30年分 所得税の改正のあらまし」
(注)同一年分の給与所得の源泉徴収票が2枚以上ある場合には、それらの支払い金額の合計額により上記の表を適用してください。
[出典]税務省「平成30年分 所得税の改正のあらまし」

 

これが2018年度税制改正で増税が決まり、2020年(平成32年分)から控除額が一律10万円引き下げられることになりました。給与所得控除の上限額が適用される給与等の収入金額が850万円超えに対して、その上限額が195万円となります。

 

●平成29年分〜平成31年分まで

 給与1000万円 − 給与所得控除220万円 = 給与所得780万円


●平成32年分〜

 給与1000万円-給与所得控除195万円=給与所得805万円

 

この給与所得から所得控除(生命保険料控除や基礎控除などの詳細は後述)を差し引いて残った額を課税所得といいます。

 

給与-給与所得控除=給与所得


給与所得- 所得控除=課税所得

 

この課税所得を基準にして所得税を決定します。前にも述べましたが、高収入であるはずの医師の手取りが少なく感じる理由には、所得税、住民税、社会保険料などがありますが、特に所得税の累進課税制度が影響しています。

課税所得が上がるほど「税率」はどんどん高く・・・

この所得税額の累進課税制度について、分かりやすく図解したいと思います。まずは「所得税の計算表」(図表2)をご確認ください。課税所得が上がるにつれ、5%~45%へと税率がどんどん高くなっているのがわかります。

 

[図表2] 所得税の速算表

【出典】国税庁ホームページ
【出典】国税庁ホームページ

 

この表の適用税率のみを見て、控除額を無視して所得税額を計算することは大きな誤りです。課税所得に税率を掛けて、控除額を差し引いて所得税額を算出するというのが正しい理解となります。


(誤)課税所得 330万円×税率 10%=所得税額 33万円


(正)課税所得 330万円×税率 10%-控除額 9万7500円=所得税額 23万2500円


ここで図表3を使って説明します。例えば、Aさんの給与所得が330万円、Bさんの給与所得が331万円だった場合、195万円超え330万円以下のAさんは税率が10%。Bさんは330万円超え695万円以下は税率20%です。

 

[図表3]単純累進税率方式の事例

 

図表3のような計算をすると、BさんはAさんより1万円所得が高いだけなのに税金は33万円も多く納めることになってしまいます。

 

初めに申し上げておきますが、この計算は間違いです。これは「単純累進税率」の計算で、日本の累進課税制度は「超過累進税率」となっているため、この計算は当てはまりません。


(誤)課税所得 330万円×税率 10%=所得税額 33万円


(誤)課税所得 331万円×税率 20%=所得税 66万円


では、次に「超過累進税率方式」で考えてみます(図表4)。

 

[図表4]超過累進税率方式の事例

 


Aさんの給与所得が330万円であり、Bさんの給与所得が331万円であれば「超過累進税率方式」では330万円を超えた1万円に対してのみ税率20%が適用されます。つ
まり、AさんとBさんの差というのは、あくまで超過した部分である1万円の税率分として2000円です。


ですから累進課税を簡単にいえば、割り増し分に対して段階的に課税率が上がっていくものとなります。


(正)課税所得331万円の計算方法


課税所得 195万円分×税率 5%= 所得税額 9万7500円


課税所得 135万円分× 税率 10%=所得税額 13万5000円


課税所得 1万円分×税率 20%=所得税額 2000円


所得税額合計=9万7500円+13万5000円+2000円=23万4500円

東京不動産投資株式会社 代表取締役

■運営サイト:医師のための不動産投資メディア「不動産投資アカデミー」(https://ft-academy.jp/


22歳で不動産ベンチャー企業に入社し、わずか3年後、社内最年少の25歳で取締役に就任。
その後、不動産デベロッパーにて取締役副社長に就任。2015年、東京不動産投資株式会社を設立。長年のキャリアの中で、医師をはじめとした高所得者に対する重い税負担が「不動産投資」によって軽減され、労働収入だけに頼らない効率的な資産形成となることに気づく。
その運用方法を解説する東京不動産投資株式会社主催のセミナーに参加した医師は、実に700人を超える。

著者紹介

連載医師のための節税の教科書

 

医師のための節税の教科書

医師のための節税の教科書

秋葉 侑輝

幻冬舎メディアコンサルティング

診察、事務処理、学会準備・・・ 休む暇なく働いているのにお金が貯まらないドクターへ 手取り額を増やして資産を築くために、押さえておきたいマネーリテラシー

 

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