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重い税負担に悩まされる医師…開業しても「高ストレス」の実態

前回は、医師が税金対策を行う重要性を取り上げました。今回は、重い税負担に悩まされる医師の実態を見ていきます。

稼げば稼ぐほど税率が高くなる「日本の税制」

日本の所得税では、累進課税制度が採用されており、お金を稼げば稼ぐほど税率が高くなっていきます。ここで所得400万円と4000万円で比較してみましょう。

 

 例:課税所得400万円

  (400万円×20%)80万円−42.75万円=所得税37.25万円

 

 例:課税所得4000万円

  (4000万円×40%)1600万円−279.6万円=所得税1320.4万円

 

所得税は1320.4万円÷37.25万円=約35倍ということになります。

 

累進課税は昔からあった税制度ですが、いちばんの問題はここ20年近くで所得税率が上がっているということです。つまり、同じ年収であっても20年前に比べて手取りが少なくなっているわけです。

 

図表1〜5をご覧ください。国税庁が毎年公表している『民間給与実態統計調査』をもとに、所得税の年収階級別の負担額を示したグラフですが、1999年、2004年、2009年、2014年、2017年の推移を見ていくと、年収によって負担の増減が二極化していることがわかります。

 

[図表1]1999年

(注) 国税庁「民間給与実態統計調査」をもとに作成。2017年の予測値は14年の数値を規準とし、給与所得控除の上限額引き下げや所得税の最高税率引き上げの影響を考慮した。
(注) 国税庁「民間給与実態統計調査」をもとに作成。2017年の予測値は14年の数値を規準とし、給与所得控除の上限額引き下げや所得税の最高税率引き上げの影響を考慮した。
【出典】日本経済新聞『Visual Data』

 

[図表2]2004年

(注) 国税庁「民間給与実態統計調査」をもとに作成。2017年の予測値は14年の数値を規準とし、給与所得控除の上限額引き下げや所得税の最高税率引き上げの影響を考慮した。 【出典】日本経済新聞『Visual Data』
(注) 国税庁「民間給与実態統計調査」をもとに作成。2017年の予測値は14年の数値を規準とし、給与所得控除の上限額引き下げや所得税の最高税率引き上げの影響を考慮した。
【出典】日本経済新聞『Visual Data』

 

[図表3]2009年

(注) 国税庁「民間給与実態統計調査」をもとに作成。2017年の予測値は14年の数値を規準とし、給与所得控除の上限額引き下げや所得税の最高税率引き上げの影響を考慮した。 【出典】日本経済新聞『Visual Data』
(注) 国税庁「民間給与実態統計調査」をもとに作成。2017年の予測値は14年の数値を規準とし、給与所得控除の上限額引き下げや所得税の最高税率引き上げの影響を考慮した。
【出典】日本経済新聞『Visual Data』

 

[図表4]2014年

(注) 国税庁「民間給与実態統計調査」をもとに作成。2017年の予測値は14年の数値を規準とし、給与所得控除の上限額引き下げや所得税の最高税率引き上げの影響を考慮した。 【出典】日本経済新聞『Visual Data』
(注) 国税庁「民間給与実態統計調査」をもとに作成。2017年の予測値は14年の数値を規準とし、給与所得控除の上限額引き下げや所得税の最高税率引き上げの影響を考慮した。
【出典】日本経済新聞『Visual Data』

 

[図表5]2017年

(注) 国税庁「民間給与実態統計調査」をもとに作成。2017年の予測値は14年の数値を規準とし、給与所得控除の上限額引き下げや所得税の最高税率引き上げの影響を考慮した。 【出典】日本経済新聞『Visual Data』
(注) 国税庁「民間給与実態統計調査」をもとに作成。2017年の予測値は14年の数値を規準とし、給与所得控除の上限額引き下げや所得税の最高税率引き上げの影響を考慮した。
【出典】日本経済新聞『Visual Data』

 

年を追うごとに高所得者の税負担が大きくなっているのです。また、年収が低いと税金が減っているということも見てとれます。1999年以降、「年収700万円超」以上は全階層で所得税額が上昇していますが、一方で「700万円以下」の階層は軒並み減少しています。

 

例えば、「2500万円超〜」の負担額は、921万円(1999年)から1225万1000円(2017年)と約300万円増加しているのに対して、日本人の平均年収に近い「400万円超〜500万円以下」の負担額は12万5000円(1999年)から9万1000円(2017年)と3万4000円減少しているのです。

 

つまり、年収「400万円超〜500万円以下」は約3割減っているのに対して、「2500万円超〜」では約3割増えているのです。このような比較からも、低所得者に比べて高所得者への税負担が確実に増えていることがわかります。

所得4000万円以上なら、実に5割を超える税負担に

このように、年収700万円前後を境に二極化が進んだ理由は何でしょうか。累進課税である所得税は1999年以降だけでも2回の税率改定があり、高所得層を中心に負担が増加傾向にあります。2013年から給与所得控除に上限額が設けられた影響も大きいでしょう。

 

一方で所得695万円以下の税率はこの15年間、ほぼ変動していません。社会保険料の上昇に伴って課税所得が下がったことや各政権が行った減税策の影響で、負担はむしろ減っているのです。

 

2017年より給与所得控除は6段階から5段階制度に変更になり、年収1000万円超の給与所得控除額は上限220万円となり実質的な増税となりました。

 

また、2015年より所得税の累進課税は6段階から7段階制度に変更になりました。所得4000万円超の所得に対して最高税率45%、住民税と合わせると55%の税金を払う制度になったのです。

 

今、日本の高所得者は、江戸時代にあった収穫の半分を年貢として納め、残りの半分を農民のものとする「五公五民」を超える重税に耐えなければならず、高所得者の財産を脅かす国家となっており、給与所得控除額や所得税率の据え置きが続く低・中所得層との負担額の差は拡大傾向にあります。

 

累進課税において年収を上げることは資産形成には総合的に必要なことではありますが、やはり課税所得のコントロールがいちばん大切なことだと思います。

節税の知識を身に付け、勤務医として働くのが堅実!?

どうしても考えておかなければならないのが、節税対策です。

 

勤務医と開業医の違いは、何でしょうか。開業医の場合、個人事業主と同じになるので、給与や経費をある程度コントロールできることが強みの一つとなります。

 

一方、勤務医の場合、そういったコントロールができないので、課税所得に左右され、お金を増やす(残す)ことが容易ではありません。 例えば、学会に行く旅費交通費でさえ、経費ではなく自腹という方もいます。

 

だからといって、誰もが開業医になって給与や経費をコントロールできるかというと、そんなこともありません。開業したとしても、経営戦略を誤ったら、最悪のケースでは多額の借入を残して廃業もあり得ます。「勤務医のまま働いておくべきだった」と後悔する開業医もいることは事実なのです。

 

そう考えると、勤務医のまま働いて「節税の知識・ノウハウ」を身に付けることは、もっとも堅実な生き方といえるのかもしれません。

 

そして、その一歩先の提案として、不動産投資で「不労所得」を得ることをおすすめします。不労所得とは読んで字のごとく、働くことなく得られる収入です。

開業医の収入は、勤務医を大きく上回る

一口に「医師」といっても、病院に勤めている「勤務医」と、自身で医院やクリニックを経営している「開業医」がいます。

 

厚生労働省の「第19回 医療経済実態調査」によれば、勤務医の平均年収は約1507万円となっています。一般的なサラリーマンの平均年収が約400万円です。

 

年収1500万円以上となると、給料所得者全体のわずか1%程度ですから、かなりの高所得に違いありません。とりわけ医師の場合、研修医終了後のわずか数年程度で1000万円の大台に乗るのも珍しいことではなく、高収入を得られると認識されている職業です。

 

勤務医は大手優良企業に勤めるスーパーサラリーマンのように収入が安定している強みがあります。それに対して開業医は、一般のお店や会社を経営するのと同様ですから、収入は流動的になり、良いときもあれば、悪いときもあるでしょう。

 

安定性には欠けるものの、開業医にはお金持ちの医師が多い傾向にあります。厚生労働省の発表によれば、開業医の平均年収は2787万円。勤務医が1507万円ですからおよそ2倍。大きな差です。しかも医療法人が設立した病院(民間)の院長ともなれば、その平均年収は3160万円(2016年度)にもなります。加えて、面倒な院内政治に振り回されることもありません。

節税面では開業医が有利だが、開業のハードルは高い

収入や仕事量も自分でコントロールすることが可能という、良い面もありますが、すべての開業医が成功するわけではありません。

 

独立ともなれば医師としてのスキルが問われるのは当然ながら、医療機関ならではの経営ノウハウも必須です。通常のビジネスにおいては「価格」で勝負することもできますが、一部を除いて医療行為には該当しません。

 

大学病院や大きな病院はブランド力で患者を獲得できますが、開業したばかりのクリニックともなれば、その院長の人柄や医療技術をアピールし、患者に存在を知ってもらうことから始まります。そこで「患者 = お客様」として接することができるのか、もしくは周辺住民にとって魅力的なオリジナリティーがあるのかも重要になってきます。

 

加えて、開業には大きな資金が必要です。そのため、開業医には医師としての技量だけでなく、経営者としての卓越した能力も求められます。設備投資の効率を検討し、税務や労務、人事について判断を下す能力が欠かせません。開業医になると、このような経営者としての仕事が増えがちです。

 

そうした経営力が求められる一方で、日々患者を診療することも忙しく、院内の労働環境を整備するのが疎かになってしまうことが多いようです。

 

さらに、日々更新される医療情報を取得する必要もあります。大きな病院で働いていれば扱う症例も多く、医師同士の交流から新しい知識を得ることもできるようですが、個人の医院は他院との接点が少ないため、どうしても情報量が限定されてしまうこともあるようです。

 

それゆえに向学心の高い医師は、あえて開業せず勤務医という働き方を選択するケースも多いと聞きます。一般的なイメージでは、「医師の多くは開業するものだ」と思われていますが、実際はごく少数といえます。

 

むしろ最近は、親が開業していても継がない医師が増えている印象です。というのも、前述したような事情から、開業医よりも勤務医のほうがリスクやストレスが少ないと思われているからでしょう。節税の観点からみれば、開業医のほうが圧倒的に選択肢は多いのですが、それを差し引いても開業へのハードルは高いのです。

 

 

秋葉 侑輝

東京不動産投資株式会社 代表取締役

 

東京不動産投資株式会社 代表取締役

■運営サイト:医師のための不動産投資メディア「不動産投資アカデミー」(https://ft-academy.jp/


22歳で不動産ベンチャー企業に入社し、わずか3年後、社内最年少の25歳で取締役に就任。
その後、不動産デベロッパーにて取締役副社長に就任。2015年、東京不動産投資株式会社を設立。長年のキャリアの中で、医師をはじめとした高所得者に対する重い税負担が「不動産投資」によって軽減され、労働収入だけに頼らない効率的な資産形成となることに気づく。
その運用方法を解説する東京不動産投資株式会社主催のセミナーに参加した医師は、実に700人を超える。

著者紹介

連載医師のための節税の教科書

 

医師のための節税の教科書

医師のための節税の教科書

秋葉 侑輝

幻冬舎メディアコンサルティング

診察、事務処理、学会準備・・・ 休む暇なく働いているのにお金が貯まらないドクターへ 手取り額を増やして資産を築くために、押さえておきたいマネーリテラシー

 

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