中古一棟不動産投資…「デッドクロス」の罠を回避するには?

今後の少子高齢化を見据え、競争激化が進む国内の不動産投資市場。賃貸需要が安定的に望めると予測されている都心部でも、物件価格が高騰して「利回り」が出づらい状況だ。そこで注目したいのが「中古一棟不動産投資」。本連載では、「融資を引き出す専門家®」としても活躍する株式会社Buddy代表取締役・堀内幹根氏に、成功する「中古一棟不動産投資」のポイントを伺っていく。第4回目のテーマは、「デッドクロス」の罠をどう回避するかである。

キャッシュフロー計算では「空室の可能性」を必ず考慮

前回もお話ししたように、不動産投資は年収の数倍もの資金を借り入れ、レバレッジ効果によってキャッシュフローを最大化できるのが大きな魅力です。

 

私たちが提携する銀行のなかには、お医者さんや士業の方々など、属性の高い方であれば年収の最大20倍まで融資してくれるところもあります。年収5000万円の方なら、10億円までの融資が受けられるのです。

 

しかし、多額の借り入れをすればするほど、あとで大きな苦しみを味わう恐れもあります。最も懸念される苦しみのひとつは、入居者が確保できず、十分な家賃収入が得られなくなり、家賃収入とローン返済が逆ザヤになってしまうことでしょう。

 

通常、不動産会社が示す物件の収支シミュレーションは、満室を想定して計算されています。満室状態なら十分な利益が確保できますが、空室率が10%、20%と高まるにつれてキャッシュはどんどん減っていってしまいます。

 

したがって、収支をシミュレーションするときには、どれだけ空室が増えるといくらキャッシュが残るのかといったことまで綿密に計算する必要があるのですが、残念ながら、そこまでしてくれる不動産会社はあまり多くありません。

 

私たちはあらゆる事態を想定して綿密なシミュレーションを行っていますし、そもそも空室リスクが発生しにくい物件を吟味して提案しています。立地や入居者のニーズ、周辺の家賃相場などを十分に考慮し、入居付けがしやすい物件を絞り込んで空室リスクを抑えているのです。

 

たとえば、通勤・通学に便利な駅近であれば単身者向けのワンルームマンション、駅からやや遠い場合は、駐車場の広いファミリータイプのマンションといったように、立地に応じて最適と思われる物件を選んでいます。空室リスクを徹底的に抑えることは、オーナーのキャッシュフローを最大化するうえで重要なポイントだと理解しているからです。

 

また、私たちがお売りする物件で空室があるものについては、家賃保証もさせて頂く場合もあります。

 

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キャッシュがマイナスに…デッドクロスはなぜ起こる?

多額の借り入れによって不動産投資を行う場合、注意しなければならないもうひとつのポイントがあります。それは「デッドクロス」をいかに回避するかということです。

 

不動産投資の経験をお持ちでも、「デッドクロス」についてはあまりご存じない方が多いようですので、わかりやすく説明します。

 

ひと言で言えば、「デッドクロス」とは、家賃収入はいままでどおり入ってくるのに、キャッシュがマイナスになってしまう状態へのターニングポイント(転換点)のことです。

 

なぜそんなことが起きるのかと言えば、これにはローンの仕組みと、税金の仕組みが大きく関係しています。

 

株式会社Buddy 代表取締役・堀内幹根 氏
株式会社Buddy
代表取締役・堀内幹根 氏

まずは税金ですが、不動産の購入費用のうち、建物や設備の部分は利用可能な年数に分割して経費計上できる仕組みがあることはご存じだと思います。いわゆる「減価償却」です。減価償却が適用される期間は、毎年の課税所得からその分を経費として差し引けるので、税金を支払わなくても済むか、払う額を抑えることができます。

 

ところが減価償却期間が終了すると、それまで毎年計上していた経費が計上できなくなります。その結果、突然納税額が増え、キャッシュフローも大きく減ってしまうのです。

 

一方、ローンの返済額は、元本と利息で構成されています。このうち利息については経費とみなされますが、元本は経費計上できません。なぜなら、ローンが完済すれば元本はすべて自分のお金となるからです。一方、利息は元本を自分のお金にするために支払うコストなので、経費として扱われるわけです。

 

ここで問題となるのは、通常よく利用される元利均等払いローンの場合、毎月の返済が進むと、返済額に占める利息の割合が少しずつ減り、相対的に元本の割合が少しずつ増えていくことです。

 

利息の割合が高いうちは、その分が経費計上できるので納税額を抑えることができますが、元本の割合が高くなるにつれて納税額も増えていきます。その分、キャッシュフローも少なくなるのです。

 

このように、減価償却期間の終了と、ローン返済における元本割合の増加によってキャッシュが回らなくなるタイミングのことを「デッドクロス」というのです

 

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累積で「数千万円のマイナス」となるケースも⁉

デッドクロスが発生すると、どれほど収益が悪化するのでしょうか? 実際の例で見てみましょう。

 

あるお客様が、減価償却期間が10年残っている中古一棟マンションをフルローンで購入することにしました。金利は年4.5~3.1%、返済期間は35年です。

 

シミュレーションをしたところ、家賃収入を年間約1757万円(入居率94%)とすると、初期費用がなくなる2年目以降は、税引き後でも年120万~150万円のキャッシュフローが確保できることがわかりました。

 

ところが、減価償却期間が終了した11年目の税引き後キャッシュフローは約73万円とおよそ半分に。さらに15年目には約64万円の赤字となることがわかりました。シミュレーションの結果、ここでデッドクロスが発生することが判明したのです。

 

その後マイナスはどんどん膨らみ、ローン返済が終了する35年目には、累積で約1941万円もの赤字になることがわかりました。

 

そこで私たちは、減価償却期間が終了する10年目の時点で、物件を売却する戦略を提案しました。10年間はキャッシュフローをコツコツと蓄え、デッドクロスが発生する前に売り払って、インカムとキャピタルの両面で収益を確保するプランを描いたのです

 

結果的にこのお客さまは、多額の損失を被るどころか、インカムとキャピタルを合わせて約2000万円の収益を得ることができました。

 

このように、不動産投資戦略を立てる際には「デッドクロスをいかに回避するか?」という視点を持つことが非常に大切です。

 

残念ながら、一般の不動産会社には、デッドクロスを考慮に入れて収支シミュレーションを行う会社が少ないようです。それが落とし穴となって、収支が大幅なマイナスになってしまう恐れもあるので、十分に注意してください。

 

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株式会社Buddy 代表取締役

大手不動産会社勤務の後、2013年株式会社Buddy代表取締役に就任。現在に至るまで500棟を超える物件を扱っており、「融資を引き出す専門家®」としても活躍している。

著者紹介

連載「融資を引き出す専門家®」が伝授! ファイナンス戦略で差をつける「中古一棟不動産投資」の勝ち方

取材・文/渡辺 賢一 撮影/永井 浩 
※本インタビューは、2018年8月7日に収録したものです。