東南アジア不動産・・・日本と大きく異なる物件管理の実情

今回は、東南アジア不動産の物件管理に関する注意点を解説します。※本連載は、風戸裕樹氏の著書『初心者のための東南アジア投資ガイド 2018 プロが教える5カ国の不動産投資環境(タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナム、カンボジア)』(インターメディアジャパン株式会社)から一部を抜粋し、東南アジアへの投資について解説します 。

高額な国内不動産に賭けるより、海外の投資機会を探せ

日本の不動産市場はさらに多くのテコ入れが必要な状況にあるため、今そこに投資することはおすすめできない。東京都内の相場はいまだに底堅く、他のアジア市場ともいい勝負だが、開発の機会が限られていることや価格が原因で我々全員がそこに投資することは不可能だ。好機はあるにはあるかもしれないが、価格がほとんどの人にとって高すぎる。選択肢がもっと必要だ。

 

流動的である一方、過剰な額のお金が手に入らない普通の人にとって、大金をはたいて不動産投資するのは賢明とは言えない。今は国外に目を向け、他の投資機会を見てみることをお勧めしたい。実際海外には投資のチャンスが転がっている。インターネットと格安航空券のおかげで、今海外が投資性の高いオプションとなっている。より安全な先物取引ができ、その先物取引を確実にモニタリングできるようにもなっている。

不動産情報の収集は、日本のように容易ではないが・・・

だが、知っておくべきことや注意すべきことがある。日本人は日本のものに慣れてしまっていて、それが当たり前だと思ってきた。そして他国でも日本と同じようなやり方で行われているだろうと思っているかもしれない。ほとんどがそうはいかない。

 

例えば、日本では売り出し中の物件に関する情報を簡単に入手でき、それに慣れている。詳しい情報や価格は定期的に更新され、市況やその地域の見通しを考慮することもできる。ところが海外、特に東南アジアではそうはいかない。情報は公開されてはいるが、探さなくてはいけないし、探すのに困難を極める時もある。しばしば、有益な情報に辿り着くためには膨大な量の情報の中から役に立たない情報をふるい落とさなくてはならない。

 

さらには安全性の問題があり、日本人投資家の頭痛の種だ。それは誰にとってもそうだと思う。安全な国だからといって必ずしもその国の全地域が安全というわけではない。言い換えると、国の犯罪率がいくら低くくても常に注意は必要であり、あまり安全とは言えない地域を把握しておく必要がある。それと同様、安全ではないと一般に知られている国の中にもさほど心配する必要のない地域もあるかもしれない。

 

そういった情報を入手するのは日本以外の国では残念ながらあまり容易ではない。仲介業者に頼らなくてはならないが、彼らは売ることばかりが頭にあり、必ずしも全体像を教えてくれるわけではないため、十分な情報を得た上での賢い決断ができないかもしれない。売りたい物件の近くで窃盗や暴行がよく起きるなどとわざわざ言うだろうか? 恐らく言わないだろう。

投資家を「ケア」してくれる不動産管理会社はまずない

不動産管理会社についても当たり前に思っていることがあるかもしれない。日本には信頼性の高さでトップレベルを誇る不動産管理のプロがいるため、投資家は彼らに100%の信頼を寄せられる。何でもやってくれるし、不動産管理のことは全て任せられる。だから不動産の所有者は一切心配しなくていい。

 

だがそのような管理会社は東南アジアのほとんどの国では見つけることができない。確かに、前述した通り仲介業者や不動産管理会社はあるにはある。だが日本のような不動産管理会社ではなく、日本では当たり前のような不動産管理スキルが明らかにない。彼らにとって一番大事なのは不動産を買ってくれる顧客を得ること。つまり、一度手放してしまった不動産のことは気にも留めないのだ。もっと買ってもらえるといった見込みがあれば別だが。

 

本来不動産管理会社は特に売却後、顧客の不動産物件を管理する。家賃相場をモニタリングして家賃の価格がなるべく相場と合っているようにするのが普通だ。これは特に入居者と契約を更新する際に非常に便利だ。このようにモニタリングをしていないと、マンション所有者はその地区の価値が跳ね上がっていることに気付かないまま、元の契約を継続してしまうかもしれない。価格が下がっているのに同じ家賃を徴収したままだったら? 恐らく高すぎると見なされ、入居者は家賃相場に合った部屋を他に探し始めるだろう。土地の価値が下がって家賃を下げざるを得なくなったら不動産管理会社はそのことを所有者に伝えなくてはならない。入居者を失うリスクを冒さないためにも家賃の引き下げを検討してみませんか、と。

 

日本の不動産管理会社のように日本人投資家のケアをしてくれるような信頼できる仲介業者は全くいないのか。いるのだが探すのが一苦労だ。

物件所有者への規制のゆるさは、ある意味メリットにも

これは不動産管理を自らしてはいけない理由の1つでもある。自分で管理したほうが収入が増える、だからメンテナンスに人を雇う必要はない、と考えているかもしれない。日本人投資家の中にはすでに海外に住み始めている人や、何度も足を運んで現地に銀行口座を開設する人もいる。日本の口座だろうと海外の口座だろうと、入居者に家賃を直接振り込んでもらうのは、お勧めできない。その理由は単純だ。入居者が正直で良い人たちばかりだったとしても、支払期日を忘れたり、お金に困ったり、他にも責任があったりして身動きが取れないことはよくあることだ。また、支払い義務を忘れたり怠ったりすることも考えられる。

 

蛇口、照明、キャビネット、戸が壊れたら? その部分も含めて不動産管理会社にお願いするしかない。入居者のそばにいない、または同じ国に住んでいない状況でそういった日常の問題に対処しようとすると入居者サイドで不満が生じやすくなる。不動産管理会社がない場合や少なくとも信頼できて頼りになる仲介業者がいない場合、実に厄介な事態へと急変しかねない。不満を抱いた入居者は故意に物件を傷つけたり、必要な基準を満たさないまま勝手に修理してしまったりするかもしれない。

 

ところが「良い」部分もある。日本の場合、物件所有者に対する規制が非常に厳しい。家賃を滞納している入居者に対して家主は退去をお願いできないのだ。入居者側の権利のほうが圧倒的に強く、自由裁量の余地が与えられている。となれば家主は長い間、家賃を支払ってもらえるまで待たなくてはならない。賃貸中の物件をいくつも抱えている人であれば問題ないかもしれないが、1つの物件に頼りながら日々の生活や必需品をまかなっている人にとってこの状況は絶望的になりやすい。

 

東南アジアのような地域は違う。物事を異なって理解していて、入居者が家賃を納められない場合、必要ならば法的手段も辞さない構えで強制的に所有者が退去を言い渡せるのだ。この東南アジアの取り決めのほうがよっぽどいいと思う。家賃収入で必需品をまかなっている家主にとっては特にだ。あと、まったく融通の利かない入居者や家賃の支払いがたびたび遅れるような入居者にもこのほうがいい。

 

 

風戸 裕樹

Property Access 株式会社 CEO 創業者

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Property Access 株式会社 CEO 創業者

2004年、早稲田大学商学部卒業。不動産仲介、不動産投資ファンドの購入担当を経て、2010年、不動産仲介透明化フォーラム(FCT)を設立。米国型の売却エージェントサービス「売却のミカタ」を開始し、全国展開。2014年にソニー不動産にFCT社を売却、その後、ソニー不動産で営業を開始。ソニー不動産の執行役員、売却コンサルティング事業部長兼コンサルティング事業部長として創業に携わるとともに事業を拡大、不動産取引の透明化を加速。2017年、シンガポールにてProperty Access 株式会社を共同創業。日本では不動産売買の専門家として広く知られる。
著書に、『マンションを相場より高く売る方法』(ファーストプレス、共著)、『初心者のための東南アジア投資ガイド2018』(インターメディアジャパン株式会社)がある。

著者紹介

連載シンガポール在住のプロが教える「東南アジア不動産投資」の基礎知識

初心者のための東南アジア投資ガイド 2018

初心者のための東南アジア投資ガイド 2018

風戸 裕樹

インターメディアジャパン株式会社

海外投資はリスク? それともチャンス? 日本の不動産のプロである風戸裕樹が東南アジアを1年間飛び回り調査。初めての海外投資の前に伝えておきたいことを公開。 各国の不動産投資規制や税制、価格比較つき!

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