
前回は、投資用不動産はRC造物件がお勧めの理由を取り上げました。今回は、不動産投資における物件選定のポイントを見ていきます。
購入すべき物件の利回りは、おおむね8%が目安だが・・・
不動産投資において購入するべき物件の利回りは、おおむね「8%」が目安となります(表面利回り)。ただし、建物の構造によって目安は若干異なります。たとえば、鉄骨造(S造)であれば9%以上、木造(W造)であれば10%ほどを目安にしておいたほうがいいでしょう。あとは、物件を購入するエリアや地域、立地なども総合的に勘案して利回りを判断するようにしてください。
もっとも、利回りもまた、物件の購入判断に活用できる一つの指標でしかありません。絶対視することなく、他の指標も確認して最終的な判断をすることが求められます。
たとえば都内で物件を購入する場合、23区内はもちろん、西東京のあたりで利回り8%の物件が購入できれば問題ありません。東京都内であれば、20~30年ほど経過している建物も候補に入るでしょう。加えて、築浅のRC造で利回りが8%ほどあるのなら、他の政令指定都市―たとえば名古屋、大阪、札幌なども検討していいかと思います。
減価償却のところでも紹介しているように、SRC造やRC造の建物(住宅)は、耐用年数が最大で47年となります。つまり10年経過していたとしても、30年を超える融資が受けられるわけです。
そのように考えると、SRC造およびRC造であれば、おおむね15年くらいまでは〝築浅物件〟ととらえても問題ありません。
「イールドギャップ」「キャッシュフロー率」の理解を
利回りをより掘り下げて考えるために、「イールドギャップ」と「キャッシュフロー率」について理解しておきましょう。
イールドギャップとは、「利回りと借入金利の差」を表す指標です。
たとえば、物件価格が5000万円の不動産で家賃収入が400万円得られれば、利回りは8%となります。この物件を購入するために、金融機関から受けた融資の金利が3%であったとすると、利回り8%と金利3%の差である5%が、イールドギャップとなるわけです。
利回りは、融資金利を加味しない数字です。そのため、投資効率そのものを測ることはできません。しかし、イールドギャップを指標として活用すれば、融資金利も考慮に入れた総合的な投資効率を確認することができます。さらに、イールドギャップに融資年数をかけると、融資年数も加味した指標が作れます。
次は、キャッシュフロー率です。キャッシュフロー率は、「年間の手残り÷総投資金額×100」によって求められます。
たとえば、月々の手残りが50万円だった場合、年間の手残りは600万円となります。そのとき、総投資金額が2億円であれば、600万円÷20億円で、キャッシュフロー率は3%になります。
つまり2億円の投資をして、そのうちの3%が手元に残るわけです。ローンを完済をしたうえでの手残りなので、3%というのはかなり良い数字です。このような物件であれば、あとは最大限キャッシュフロー率を維持できれば問題ありません。
高利回りを維持できれば、入居率7~8割でも問題なし
前述のとおり、川上物件はオーナーチェンジが基本です。そのため、「入居率(稼働率)」にも着目する必要があります。
そもそも入居率とは、その物件の総戸数(部屋数)に対し、どのくらいの入居者がいるのかを表す指標です。
アパートやマンションの場合、常にすべての部屋が埋まっているとは限りません。人気エリアにある駅近物件ならまだしも、空きが出てしまうのは自然なことです。
そうした事情も考慮に入れて、購入時に少なくとも7~8割は入居者がいる物件を選ぶといいでしょう。最も望ましいのは満室稼働の物件を購入することですが、7~8割でも高利回りを維持できていれば問題ありません。
極端な話、家賃を下げれば入居者を獲得することは可能です。たとえ現状、入居率が低くても、家賃を下げることによって入居者を増やすことは難しくないのです。大切なのは利回りとの兼ね合いです。
いずれにしても、入居率はキャッシュフロー率に影響を与えます。最大キャッシュフロー率を実現するためには、すべての部屋を埋めなければなりません。物件のポテンシャルを発揮するためにも、入居率を意識するのは大切です。
池永 健太
内胤ファシリティ株式会社